2018/01/13

「キングスマン:ゴールデン・サークル」を観る

今夜は盟友N氏と今年劇場一本目「キングスマン:ゴールデン・サークル」を観て来た。前作のヒットを受けてのシリーズ第2弾。マシュー・ヴォーン印のキレッキレでポップな英国スパイが米国スパイと共闘し、巨大麻薬組織と戦う。

突然、集団に襲撃を受けるエグジー。脱出に成功するもキングスマンの情報が漏洩、本部共々破壊されてしまう。その主犯こそ世界的な麻薬組織ゴールデンサークルだった。まもなくリーダーのポピーは世界を恐怖に陥れる計画を実行する。難を逃れたエグジーたちはアメリカのスパイ組織ステイトマンに助けを乞う。

前作がスパイ誕生、紳士作りの「マイ・フェア・レディ」的なアプローチだったが、本作はがっぷり四つの「007」のオマージュが感じられる。冒頭に続くアクション、巨大な敵基地、そして雪山。前作同様に様々なガジェットも登場する。ただそれらがポップに彩られるのが「キングスマン」流。優れた続編は前作の韻を踏んだパロディでもある。

ロックでポップな音楽の使い方もいい。あの有名セレブが物語に絡んで登場。豪華キャストが霞むほどなかなか魅せてくれる。クライマックスシーンでは彼の曲が最高のBGMとなる。

欠点を挙げれば、心に残るような物語で無い事、やや長尺過ぎかな位(その点も007っぽいが)。でもグロい描写とドラッグが無ければ、週刊少年ジャンプのような映画なのに。

冒頭のカースタントもVFX処理が多く、全体のアクションはそこが持ち味ではあるが、ただシリーズとして飽き頃。物語としても店仕舞い感がある。「キック・アス」で注目され、「X-MEN」シリーズに新風を吹き込んだマシュー・ヴォーン。次のステージに期待したい。

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2018/01/03

「キャノンフィルムズ爆走風雲録」を観る

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

今朝は以前スターチャンネルで録ってあった「キャノンフィルムズ爆走風雲録」を観た。キャノンといってもカメラではなく、キャノンフィルムズ 。メナハム・ゴーラン主宰の映画制作会社の事。80年代に隆盛を極めたものの、その後解散。だが沢山の愛すべきB級作品を残している。彼らの半生を追ったドキュメンタリーだ。

イスラエル時代、映画作りに心酔するメナハム・ゴーラン。監督、制作と多種多様な作品遍歴の中、我々日本人に馴染みがあるのが「グローイング・アップ」だろう。青春もののお色気コメディ。イスラエルから世界を目指した頃の作品だ。そして間も無くハリウッドを目指す、立身出世する姿が描かれていく。

キャノンフィルムズはメナハム・ゴーランと従兄弟のヨーラン・グローバスによるチーム。のちにTHE GO-GO BOYSと呼ばれる彼ら。映画制作はメナハムが、資金調達はヨーランが行なう。渡米直後、大きなチャンスとまだ名の知れぬダンスの映画を作った。それが「ブレイクダンス」。香港映画ばりに秘密裏に短期間、低予算でMGMとの共同制作した。そして世界的に大ヒット。それを足掛かりに大きく飛躍する。

チャールズ・ブロンソンの「デス・ウィッシュ」シリーズにチャック・ノリスのアクション作、そしてジャン=クロード・ヴァン・ダムを見出す。ウェイターだったヴァン・ダムは客がメナハムと知ると、ハイキックを見せたという。その後の活躍はご存知の通り。それだけでなく個人的に好きな「スペース・バンパイア」もキャノン印。独立系ながら年間20本以上の作品を繰り出していく。

歯車が狂い出したのは起死回生で制作した「スーパーマンIV」。低予算が仇となり、失敗に終わる。芸術映画にも手を出すが、結果は出ず。ゴダールとのやり取りは何ともバブリー。ただヒット作の連発でなく、大ヒットを生まなければ会社の維持は難しい。結果、メナハムと金庫番のヨーランとの間に亀裂が生じ、袂を別つ事になる。

インタビュアーにこれまでの失敗を追及されるメナハム。だが「失敗はない」と言い返す。ひと花させたい意地が垣間見える。そしてヨーランとの再会。エンドロール前、スクリーンを見つめる二人が微笑ましい。その後、二人のコラボが実現しなかったのは残念。しかし心に残る作品ではないが、映画ファンには爪跡を残す作品ばかりが挙がるキャノン印。失敗作の烙印が押された「オーバー・ザ・トップ」でさえ、個人的には音楽共々愛おしい作品。そんな背景を知る上で欠かせないドキュメンタリーだ。

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2017/12/29

2017年総決算「映画篇」

今年映画館で観た映画はイベント上映の「野火」を除き26本。子供の付き合い「ポケモン」も除けば25本といったところ。うちトップ10ならぬ今年はトップ12は次の通り。

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1位「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」
2位「ドリーム」(原題:Hidden Figures)
3位「パッセンジャー」
4位「ハクソー・リッジ」
5位「この世界の片隅に」
6位「マンチェスター・バイ・ザ・シー」
7位「ブレードランナー 2049」
8位「22年目の告白-私が殺人犯です-」
9位「わたしは、ダニエル・ブレイク」
10位「メッセージ」
11位「沈黙 -サイレンス-」
12位「サバイバルファミリー」
各作品の詳しい映画評はこちら、

世間的には「ドリーム」を1位に挙げているが、天邪鬼な見解で「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を上位にとった。二作とも共通するのは史実である強み。映画特有の嘘もあるだろうが、それが気にならない程良くできている。特に「ファウンダー」が優っているのは作品の持つ毒の部分。それが今を生きる我々への教訓でもある。

「ドリーム」は当時の黒人女性の境遇、先見性、そして今に繋がっているという事実。本当に逞しい。彼女たち無くしてアメリカの宇宙開発、コンピュータ利用もここまで進まなかっただろう。同時に「ファウンダー」共々良きアメリカを描いた傑作である事に間違いない。

ジェニファー・ローレンスびいきに「パッセンジャー」は外せない。SF劇として良くできている。主人公の孤独に苛まれたゆえの行動には評価が二分されるが、二人の感情の行方は一つの可能性。エンディングでのモノローグが全てを物語っている。

「ハクソー・リッジ」「この世界の片隅に」ともに第二次大戦を扱った作品。だがそのアプローチは違う。「ハクソー・リッジ」は戦わずして戦地に向かう主人公の葛藤と奇跡。史実に加え一見プロパガンダと思いきや、戦争に関わる者たちを別の側面から見せる。「この世界の片隅に」は原作の世界観の持つ温かさ、反して戦争の怖さを伝える。

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」はあくまでフィクション。だが主人公の心の傷が生々しく、思わず感情移入してしまう。オスカー受賞、ケイシー・アフレックのどこか朴訥で不器用な演技に惹き込まれた作品だ。

「ブレードランナー 2049」は35年ぶりの続編。オタク臭を嫌う声もあるが、変わらぬ世界観は正統派。人とレプリカントの境界線、そして人の在り方とは。源流は前作に同じ。今に照らし合わせたアップデート、そして変わらぬP.K.ディックの世界そのものだろう。

「22年目の告白-私が殺人犯です-」は邦画でこれぞと思わせた作品。原作は韓国作品ながら脚本の練り込み、テンポ、演出とキャスティングの妙に惑わされる傑作。雨後の筍のごとく恋愛ものを乱造する日本映画界に喝を入れるような出来。

「わたしは、ダニエル・ブレイク」はケン・ローチ監督の社会派作品。現代、システム化された社会に立ち向かう主人公。日常的なエピソードの積み重ね。そこに人の優しさ、温かさを感じさせる中、彼を待つ末路とは。けっして他人事とは言えない社会構造に一石を投じる。

「メッセージ」は 「ブレードランナー 2049」を撮ったドゥニ・ヴィルヌーヴによる作品。"ばかうけ”共々、常識的な感性に問うまさにSF的な発想、創造した作品。ラストの後味は家族持ちの方なら共感できるだろう。

「沈黙 -サイレンス-」は遠藤周作原作の日本文学をマーティン・スコセッシが映画化。布教と異国文化の狭間、信教と信念、現実に揺れる宣教師。そんな主人公を「ハクソー・リッジ」のアンドリュー・ガーフィールドがこちらも極限状態で演じた。日米英の製作陣努力による賜物。

「サバイバルファミリー」は僅差、ベスト10に入れても良い出来。3.11を忘れた人々への警鐘。単に企画力だけに止まらない、矢口史靖監督の物語作りにいつも感心させられる。

その他も簡単に。今年のMCUやDCUのヒーロー群は出来不出来の差が大きかった。上位に入れるなら「ドクター・ストレンジ」かなぁ。それ以外では、映画に新たな視点を加えた面白さの「ハードコア」も捨て難い。冒頭のカーチェイスが圧巻も後半やや失速な「ベイビー・ドライバー」。「ラ・ラ・ランド」はサントラは出色の出来ながら、やはり音楽が古典的な恋愛映画である物語に勝ちすぎた。傑作「セッション」を超えられず。

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の旧作を否定するようなコレジャナイ感は随一。最後まで観れたのはルーカスの原作遺産ゆえ。ただガッカリ度でいけばダントツでクリストファー・ノーランの「ダンケルク」だろう。あまりに客観的な視点ゆえに感情移入のできない、拠り所のない作品になってしまった。

最後にイベント上映で観た「野火」は忘れられない。今、この国が向かう道への警鐘。製作者の主張。「沈黙 -サイレンス-」にも出演した塚本晋也監督の想いは受け止めた。

ビデオではノンフィクションの「疑惑のチャンピオン」、SF密室劇「エクス・マキナ」が印象的。ただ劇場での密室感、集中力は捨て難い。来年も沢山の作品を劇場で観たい。

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2017/12/27

「東京難民」を観る

今日は日本映画専門チャンネルで録ってあった「東京難民」を観た。暮れに観るには世知辛い作品。学費未納のために大学を追われた主人公が、ネットカフェ難民や日雇い労働に身を落とし、社会のどん底を歩んでいく。そしてそこで見つけたものは何か。

若者が身を落とす過程は北野武監督の「キッズ・リターン」を思い出させるが、こちらは笑いのオブラートが無く、よりリアル感が漂う。蓄えの無い主人公が行き当たりばったりの人生を送る中、煙草だけは手放さないのも妙にリアル。同じ境遇の人々が集まり、その痛みを噛みしめる。社会を作るのは所詮、金のある人間たち。自分たちの苦しめるシステムは作らない。そんな彼らの言葉から痛感させられる。

そして主人公が落ちるシステムが悲しい。巻き込まれるヒロイン茜の行く末。やがて二人が再会する時、溢れる言葉に何か熱いものを感じる。

主人公を演じる中村蒼、奇をてらったテレビドラマでの役とは違った演技。茜を演じる大塚千弘が文字通り体当たりで臨む。この作品の魅力は彼らの関わる人々、脇役の充実ぶり。特に日雇い労働者の小市慢太郎、そしてホームレスに井上順を配し、彼らの優しさが主人公の人生に一筋の光を当てていく。

群像劇、人間ドラマに定評がある佐々部清監督らしい手堅い演出。2時間を超える作品だが、最後まで見せる。人生に挫折した時、光を見出せるか。人生終わっちゃいないと感じられるか。エンディング、ささやかな旅立ちに高橋優の主題歌が重なる佳作だ。

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2017/12/15

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観る(ネタバレ無し)

今夜は「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を観てきた。前作同様、世間からのネタバレを避けるため、初日を選んだところ。

「フォースの覚醒」がエピソード4の韻を踏んでいたように、一見本作は「帝国の逆襲」の位置付けになるかと思う。しかし実際は違う。その印象を強めるのは、あくまで主役はルークだという事。レイやカイロ・レンもその影響下で物語を紡いでいるに過ぎない。その上でサブタイトルは何を意味するか。

ストーリーテリングは前作の比でなく、よく作られているから152分の上映時間はダレない。ただ主な要因はルークとレイアの存在感によるもの。全てルーカスの作ったオリジナル(原作)の持つ力である。特に年老いたルークはオビワンやヨーダの位置に立つ。ジェダイに関わるやり取りも同様に意味深い。ただそれだけに気になるところもあった。

それこそルーカスの世界観、様式美が崩されている事だ。ルーカスだったらこんな作り方はしないだろうと思うシーンが多くあった。新型Xウイングのホバーリング、殺陣の撮り方、賭博場等、常人の想像力に収まるようなコレジャナイ感、またデザイン面で新メカ等にやり過ぎ感を受ける。

加えてファーストオーダー側の導引力とその崩れ方が呆気ない。これまでの絶対悪であったシスやダース・ベイダーに遠く及ばず。善と悪の対峙、特にダークサイドとこれもルーカスの様式美に対し、終わってみるとパンチが足らないと感じた。

そういった欠点を補うのが、ジョン・ウイリアムズのスコア。スタッフが入れ替わろうが、ここだけは作者(作曲者)がオリジナルと同じ。ここぞというところで最高のオケが待っている。

結局、オリジナル三部作(六部作)と切り離し、ルークとレイアの行く末を見守る気持ちであれば、本作を観ても良いだろう。ただオリジナルへの思いが強い程、感想は微妙かもしれない。

最後に本作撮影後に亡くなったキャリー・フィッシャーのご冥福をお祈り致します。

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2017/12/02

「ジャスティス・リーグ」を観る

今日はDCエクステンデッド・ユニバースの「ジャスティス・リーグ」を観てきた。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」からの更なるヒーロー集合作。本作からアクアマン、ザ・フラッシュ、サイボーグが本格参戦する。

怪物ドゥームズデイとの戦いにスーパーマンを失ったブルースとダイアナ。危機を感じた二人は仲間となる超人を捜す。だが時期を同じく、アマゾンとアトランティスを襲う一団。それこそかつてマザーボックスを獲り逃がし、幽閉されていたステッペンウルフであった。二つのマザーボックスを手に入れたウルフは、人間界に残る一個を求めて動き出した。

ザック・スナイダーが作品完成前に離脱、「アベンジャーズ」のジョス・ウェドンが仕上げたといういわく付き。2時間と比較的短い上映時間もその影響だろう。前半は超人スカウトとステッペンウルフの無双バトルが続く。そして「ジャスティスの誕生」のテイストは変わらず、前日の疲れもあってか途中で睡魔に襲われる始末。

その理由はマーベルに比べCG色が強過ぎる事、ゆえの既視感ありのバトルが挙がる。「アベンジャーズ」第一作のようなワクワク感が無い。それも初参戦組のネームバリューの無さによるところだが、三人は個性的で物語のアクセントの一翼を担う。今後、彼らの単独作が楽しみではある。

本作はバットマンとワンダーウーマンによるツートップ体制で引っ張る。特に単独作経由となったダイアナは本領発揮。ブルースも時に笑わせる。反して無粋なバットマン。バットスーツが初期のオーソドックスに戻った事もあるが、DC復帰のダニー・エルフマンのスコアが似合う。本作でのイチオシはココ。冒頭に流れるバットマンのテーマは、さりげなく彼の手掛けた第一作のアレンジだ。

次作への伏線を残して終わるが、これまでと違う展開を期待。まだまだ豊富なタレントのいるDC。これならゆくゆくはアマルガム・ユニバースもあるのかもなぁ。

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2017/11/03

「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観る

今日はMCU最新作「マイティ・ソー バトルロイヤル」を観てきた。雷神ソーの単独作にして三部作の最後を飾る。第一作で王座、第二作で恋人ジェーンのために戦ったソーが、本作では窮地に立つアスガルドの民のために戦う。

戦いの中、ソーの見る悪夢。それこそ烈火に包まれるアスガルドであった。やがて幽閉されたオーディンは再会するソーにアスガルドの危機を伝えるのだった。まもなく悪の女王ヘラが現れる。

原題の「ログナロク」は世界の終末を意味するが、ソーとヘラの無双同士の戦いはCG絵巻で食傷気味であった。

ただ本作の魅力は別。世間では邦題「バトルロイヤル」に異論も、劇中にツェッペリンの名曲が流れる中、前二作と異なるハイテンポなノリに思わず納得してしまった。もちろんソーの傍らに好敵手ロキの存在は欠かせない。クリス・ヘムズワースもさることながら、トム・ヒドルストンは最高だ。特に今回の兄弟二人の応酬は円熟味を増し、思わず笑ってしまう事が多かった。

その要因としてMCUからの外血「ガーディアン・オブ・ギャラクシー」の世界観による部分が大きい。ただ個人的に未見であり、何となく脳内補完で問題は無かった。しかし本作を楽しむために前二作は必須。だからこそのギャップも楽しめる。ドクター・ストレンジとのやり取りも面白かった。またソーと「アベンジャーズ」のツートップを組むハルクも他作と異なり、お笑いパートを受け持つ。そこも新鮮だ。

確かに本作は心に訴えるもの、テーマらしいものもなく、傑作とは言い難い。ただ「アベンジャーズ」で見れないソーの個性を知るには必須。「アベンジャーズ」次作に繋がるであろう、その流れを知るためにも重要な一作だ。

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2017/10/27

「ブレードランナー 2049」を観る(ネタバレ無し)

前作から30年後を描く続編「ブレードランナー 2049」を観てきた。前作監督のリドリー・スコットが制作総指揮、「メッセージ」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。主演のライアン・ゴスリングに加え、前作の主人公デッカード、ハリソン・フォードも登場。レプリカントを巡る陰謀と謎に迫る。

2049年、捜査官Kはかつて反乱を起こした旧型ネクサスを追っていた。容疑の掛かるサッパーに接触したKは処分(逮捕)するも、サッパーの口にした言葉が気になっていた。調査を進めるKは現場に植えられた木に”ある"ものを見つけるのだった。

サイバーパンク、ディストピア、ビジュアルとその先見性から名作SFの誉れ高い前作。本作はテーマと方向性を押し進めつつ、新たな視点で作られた続編だ。冒頭の30分は今風、やや洗練され過ぎかと思ったが、2時間40分の上映時間ずっとスクリーンに見入っていた。

前作からの世界観はシームレス。建物、スピナー、街中とミニチュアを使った前作に沿い、加えてヴァンゲリスの音楽を踏襲したハンス・ジマーらによるスコアに違和感はない。あくまで30年後の世界。ネオンにある明らかなタイアップ群は巨額の大作ゆえに目を瞑ろう。

物語は主人公Kが自らの問いに答えるべく、謎を追う姿が描かれる。その問いこそ前作のテーマ、技術が進む中で人間と機械の境界、原作タイトルのエッセンスに溢れている。前作から飛躍した設定も年を経たデッカード登場の必然ともなる。ドゥニ・ヴィルヌーヴは前作の韻を踏みつつ、こうしたテーマの数々を巧みに紡いでいく。

だから前作を観てからでないとほぼテーマも内容は伝わらない。前作、レイチェルに惹かれたデッカード、ロイの死に様に共鳴した人なら、今回の登場人物たちにも感情移入できるだろう。それも前作を何度も観て、熟成されてきた想いゆえなのである。本作でその想いはより深く掘り下げられていく。そして終わってみてもう一度観てみたい思わせる。

あと個人的に完全男目線、本作に登場する女優陣に目を奪われた。特にKのパートナー、ジョイが見た目共々良いです。Kとの関係がまさに"今"を映している気がしてならない。またディストピアに徹した前作と比べ、本作は少しだけ温かさも垣間見える。その一つが雪景色だ。ライアン・ゴスリングの表情共々、情緒的で佇むKが美しかった。

追伸.
今回も様々な謎が提供されるが、全て回収される訳ではない。またエドワード・ジェームズ・オルモスがかなり体格が良くなっていたのは驚いた(苦笑)

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2017/10/18

「ドリーム」(原題:Hidden Figures)を観る

今日は映画「ドリーム」を観てきた。原題は「Hidden Figures」。隠れた人々、肖像、数字など。本作を観た後だと尚更、その意味合いが深いものだと感じる。あえてこの作品の欠点を挙げるなら、安易な邦題だけだ。今年観た映画の中で屈指の出来である。

1961年アメリカ、NASAに勤める黒人女性のキャサリン、メアリー、ドロシー。時は公民権運動の最中、彼女たちは社会や職場での差別を受けつつ逞しく生きていた。だがアメリカはソ連との宇宙進出競争も世界初の有人宇宙船開発で遅れてしまう。テコ入れを図るNASAの中で組織と戦いつつ、彼女たち3人は徐々に頭角を現わしていく。

50年経った今だからこそ、まるで滑稽に思えるエピソードが続くが、肌の色、男女間等、彼女たちを待ち受ける壁ゆえの出来事。当時立ち向かう心中は計り知れず。だが自らの才能を活かし、新たな挑戦へ時代を開いていく。NASAへの貢献はエピローグの通り。本作はもう一つの「ライトスタッフ」だ。

本作を観ると、NASAがソ連に遅れをとったのも納得いく部分もある。その象徴的な出来事としてコンピュータの導入が描かれていくが、そこが何とも。ドロシーの先見の明が無ければ、どうなっていたのだろうかと思う。

ディテールは理系だが、本作の魅力は時代を生きた彼女たちの姿にこそある。とにかく3人を演じる女優、タラジ・P・ヘンソン、ジャネール・モネイ、オクタヴィア・スペンサーが素晴らしい。時に笑わせ、だが強く意志を通す姿は心に響く。特にキャサリンが隔離された事務所との行き来の果て、ハリソンに直談判する姿は涙無しに観れない。

60年代、差別の時代の反面、その氷解も感じる。発射準備中のグレン飛行士の言葉が心強い。この作品の描くアメリカは好きだ。良いアメリカを象徴する秀作である。

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2017/10/14

「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」を観る

シリーズ最新作「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」を観てきた。オリジナル版シリーズ、リ・イマジネーション版、そして知る人ぞ知るテレビシリーズと親しんできた「猿の惑星」。いよいよマット・リーヴス監督・脚本によるリブート版がクライマックスを迎える。

人類との戦いから機を待ち、身を隠すシーザー達。だが大佐率いる軍隊に隠れ家を急襲され、多くの仲間を失う。仲間と別れ、怒りを露わに復讐を誓うシーザー。大佐たちのアジトを目指す中、民家に人影を見つけるのだった。

リブート版の特徴である高潔さがより色濃く、一方で盟友コバに手を掛けた負い目に苛まれるシーザー。そして危険が家族に及び、自分の姿がコバと変わりない事に悩む。そこに最強の敵である大佐、彼が知る事実に大きな決断を迫られる。

冒頭に大きな出来事があるが、その後前半は淡々と進む。物語のダイナニズムとしては前作が勝るが、終盤に結びとしての盛り上がりが待っている。三つ巴の決戦の後、シーザー達の末路はオリジナル版「最後の猿の惑星」を彷彿させるものがある。またシリーズのファンとしてはオリジナル版へのリスペクトが散見され嬉しい。

アンディ・サーキス演じるシーザーはモーション・キャプチャーながら、ハリウッド最上級のVFXで表現される。このリブート版の強み、猿達の存在感、画面での融合は本作最大の魅力。それだけ物語に没入できる。またウディ・ハレルソン演じる大佐も一見冷徹、だが単なる悪役に収まらない役割を担う。

「猿の惑星」の魅力は猿同士(または人類)のコミュニケーション。そこに生まれる対立は我々の抱える問題を暗喩するものであり、指導者の理想像がシーザーなのである。ちなみに8日後に控える衆院選。「自ら倒れても志捨てず」という指導者は今の世の中...居ないでしょうけどね。そんな輩にシーザーの爪の垢を煎じて飲ませたい。

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