2026/06/13

「ヴィヴァルディと私」を観る

今日は盟友N氏と静岡シネ・ギャラリーで「ヴィヴァルディと私」を観てきました。18世紀初頭のヴェネツィアを舞台にした音楽ドラマ。ビエタ養育院という女子孤児が集い、音楽を奏でることで寄付を集め、あるいは彼女たちとの婚姻を仲介し経営を成り立たせていたのです。

そこに招聘されたのが当時無名の音楽家だったアントニオ・ヴィヴァルディです。物語は彼とバイオリン奏者チェチリアの師弟関係を中心に、少しずつ音楽によって院を立て直していく姿、一方でチェチリアの院内での顛末が描かれていきます。

基本的にこの作品は音楽映画だと思います。クラシック演奏の美しさ、しかも女性奏者たちによるもので劇場の音響と相まってその音色に聴き入ってしまいます。エンドロールでやっと「四季」が流れるのですが、クラシックファンなら劇中曲もヴィヴァルディ作と気がつくのでしょうか。

内容は音楽映画の皮を被った恋愛映画なんです。だからといって直接的な描写はほぼなくプラトニック。一つはヴィヴァルディとの師弟関係に芽生える愛、もう一つはチェチリアが持つ音楽への一途な愛。ただ一途になり過ぎて彼女は大きな転機を迎えることになります。

慈善事業とはいえ先日観た「決断するとき」の背景に似た点も感じます。ただ大きな違いは彼女たちは音楽があって生きる(活きる)ということ、しかも300年前のお話。この時代の女性たちの不遇ぶり、貧富の差、富める者、王族、軍人の横柄ぶりとの対比が生々しいです。

音楽だけでなく、愛を巡る描写も、またスクリーンに映る何もかもが全てが美しく、そこに酔える作品です。劇中ではヴィヴァルディ、チェチリア二人への感情移入もありましたが、養育院を見つめる院長の苦悩も垣間見え、ラストシーンでの彼女(院長)の思いが非常に印象が残りました。

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2026/06/12

「Michael/マイケル」【IMAXレーザー字幕】を観る

今夜は「Michael/マイケル」【IMAXレーザー字幕】を観てきました。「ボヘミアン・ラプソディ」の製作陣、「イコライザー」シリーズ等のアントワン・フークア監督によるマイケル・ジャクソンの半生を描いた音楽映画です。

80年代、洋楽シーンを席巻したマイケルの物語を中心にデビュー前、そしてジャクソンファイブ、さらにソロ活動に至るまでの彼の音楽活動が描かれていきます。中でも父親、ステージパパであるジョセフとの確執が今回の物語の骨子となっています。

一部掘り下げが浅いという見方が出ていますが、それらは時系列的に今回の物語以降(色々な噂レベルの)の話を指していると思うし、タイトルから察する通り、真の意味で独り立ちしたマイケルを描きたかったのだと思います。掘り下げの点でプライベートのマイケルから察する部分は多々ありました。

とにかくジャファー・ジャクソンのなりきりぶりが凄いです。「オフ・ザ・ウォール」時代は見た目若干の違和感があったのですが、「スリラー」製作エピソードに入ってからはマイケルと瓜二つでした(微妙な体格差はありましたけども)。

加えてPV撮影シーンで本当にちょっとだけ出てきたジョン・ランディス監督役(エンドクレジットに名無し)の方がとても似ていましたよ。またマイケルの部屋にソニーのベータムービーがあったりと、IMAX大画面のおかげで判別できました。

ジャファーによるダンス再現の素晴らしさ、IMAX砂被り状態で圧巻のライブパフォーマンス、そしてマイケルのヒットオンパレードと127分、これで飽きるはずが無いです。セリフの端々に殿下ら当時の音楽シーンを彩ったアーティスト名が出るたび、おじさんには堪らない作品となりました。

驚いたのはヴィクトリーツアーから40年以上経っていたことです。ペプシとの件、その裏話にあのお方の存在。多少の脚色はあれど、人間関係にウソは無いのでしょう。洋楽どストライク世代にはモータウン25周年コンサートで初公開のムーンウォークなど見どころだらけの音楽映画です。

追伸.
MTVの件、その裏側には驚かされました。またマイケルといえば「オフ・ザ・ウォール」の時、スズキの原チャリ、ラブのCMに出ていたんですよね。さすがにこの映画では出てきませんでしたけど。あとあの妹の名が無かったのは大人の事情でしょうか?伝記ものに出演するマイルズ・テラーを見ると何故か予告編の頃からニヤけていました。

できることならアーカイブをまとめたマイケル版の「EPIC」が観てみたいです。その時、タイトルは「MJIC」(Michael Jackson in concert)なると思います。

今回お金がなくてポイント鑑賞したんですよ。でも先週の先行上映のおかげ(予定数配布終了?)で公開初日ながらIMAXポスターが無かったのは残念でした。(おしまい)

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2026/06/07

「シラート」を観る

今日は盟友N氏とスペイン映画(フランスとの合作)「シラート」を観てきました。製作にはペドロ・アルモドバル監督の名があり、この映画への注目度はがぜん高くなります。疾走した娘を探す父とその子を追ったロードムービーです。

物語の時代背景は詳しく語られませんが、情報の断片からその推測はつくでしょう。タイトルのシラートについて冒頭で説明(よく覚えておいて欲しい)がありますが、中盤までその意図が解らぬまま物語は進んでいきます。そのおかげで常にアンテナを立てて鑑賞することになるのです。

まず特徴的のは米アカデミー賞でも音響賞にノミネートされたSE、音の使い方です。今回鑑賞したシネプラザサントムーンでは臨場感体感上映という志向で音響が強化されたシアターでしたが、冒頭から超重低音が体を突き抜けていきます。ほぼ全編呼吸のように超低重音が使われていました。

物語はルイス親子とレイヴパーティ(踊祭り)を目指す一団の行方が描かれていきます。常にアンテナを立てているせいでちょっと疲れましたけど、その後間隙を突くような出来事が待っています。そこから一気に緊張感は増し、タイトルの意図を思い知らされる事になるのです。

レイヴパーティを目指す一団に四肢の一部を欠損した登場人物がいます。後半以降でのメタファーを多分に感じますし、二極化した世界って、実は数年後の目の前の世界ではないかと勘繰ってしまいました。この映画が描く非情な世界。安心して生きられる、気兼ねせずに歩いていけるのは今だけなのかもしれません。

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2026/06/05

「FUJIKO」を観る

今日は夜ドラ「いつか、無重力の宙で」でも好演した片山友希主演「FUJIKO」を観てきました。この作品はMEGUMIプロデュースで彼女自身も出演しています。1977年から1982年の静岡を舞台に片山演じる富士子が出産、自立、紆余曲折を経て成長していく姿が描かれていきます。

水曜ビバリーにMEGUMIさんがゲスト出演した際、脚本のリテイクを20数回と聞きましたが、確かに良くできた女性映画だと思います。また編集が作るテンポが心地良かった。冒頭からその歯切れの良さが女優陣の演技(静岡県出身の岸本加世子を含め)を活かし、まるでMEGUMIナイズされたように元気が出る映画です。

作品は80年代初頭の女性観が反映され、今の視点では女性蔑視、特に親類の集まりのシーンでは隔世の感がありました。そうした時代の変化が知れるのも、この映画の面白いところです。また初代ウォークマンとか、カセットBHFとか、当時のファッション、風俗、事件が描かれ、特に県民として静岡駅前地下街のガス爆発事故も思い出しました。

だからといってフェミニズム傾倒の映画でありません。うじきつよし演じる父親、イッセー尾形演じる育ての父親の存在あっての富士子です。あるシーンではインスパイアを受け、また心の奥底の決断でそばをすすりつつ表情に表す姿を片山友希は印象的に演じていました。富士子と娘のコミュニケーションも良かったです。

先日のしずおか映画祭、戸田恵梨香さんの話ではないですが、女性の地位が弱かった時代に輝く人が描かれること、その意義を今こそ感じます。この映画もいずれ、しずおか映画祭でフィーチャーされると思います。富士子の生活レベルのと食事の変化も興味深かったです。桜えびとその天ぷらそばが美味しそうでしたよ。

追伸.
富士山はやっぱり静岡県人のアイデンティティーなんです。ラストシーンはその象徴。そして台所の壁に貼られた「間違えない、慌てない、仕方がない」という標語がとても刺さりました。見事な金言です。木村太一監督が考えたのかなぁ。私の部屋にもこの言葉を貼りたいと思います。

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2026/06/02

「拳銃と目玉焼」を観る

「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督の映画第一作「拳銃と目玉焼」(2014年公開)をNetflixで観ました。物語はオヤジ狩りする不良グループと対峙する主人公が自警団よろしく、自作スーツに身を包み退治していくというもの。そこに安田監督らしい人間ドラマを交えて描いていきます。

まず驚きは安田監督作ご常連の女優兼スタッフの沙倉ゆうの演じるヒロインのこと。自主制作ながらハードな役柄で、ある意味ギャップ萌えしてしまいます。っていうか、「侍タイ」の10年前ながら、今観ても変わらないルックスでそれも驚きです。

主人公の志朗は東島丹三郎から超絶フィジカルを取り除いたようなキャラクター。正義感は強いが、ヘタレ。奇しくも部屋に仮面ライダーが飾ってあり、またバイクプラモが趣味「東島丹三郎は….」よりもこの作品発表のほうが前なのでまさかの元ネタ…ではないですよね。(苦笑)

なお自主制作、素人のアクションシーンでそこがブレーキにならないよう、映像に工夫がなされています。ただ本来はアクションだけでテンポ良く行きたいところだったのでしょう。プロによる殺陣、それが実現するのは「侍タイムスリッパー」を待つことになります。

安田監督が「侍タイ」のために手放したNSXが登場したり、監督の名が沢山登場するスタッフロールは「侍タイ」あってのお約束、御愛嬌。それにしても安田監督の作品は映像がキレイです。「チャンバラトリオ」のゆうき哲也さんや安田監督作ご常連の紅萬子さんが出ています。

バイクの存在とか自警団のお仲間の「ダークナイト」意識した雰囲気も垣間見えます。野暮ですけど、あれだけ強力な武器だと間違いなく主人公は銃刀法違反で捕まっちゃいますね。先月、この映画を最後にNetflixを一時退会しました。

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2026/05/31

午前十時の映画祭16「スティング」を観る

今日は午前十時の映画祭16「スティング」を観てきました。ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード共演、1973年公開のアメリカ映画(日本公開は翌年6月)です。昨年、レッドフォードが亡くなっての追悼上映だと思います。

この作品は昔DVDで観ました。また地上波で何度も再放送される名作でアカデミー作品賞も受賞しています。ラストのオチはその後様々な作品でオマージュされるくらい有名なもので、もちろん忘れるはずがありません。ただロバート・ショー演じるラスボスをハメていく過程はだいぶ忘れていますね。

この作品の肝は1930年代のアメリカであること、そして競馬です。舞台はシカゴなのですが、この映画に出てくるレースの競馬場はベルモントなのです。ベルモントはニューヨーク州。すなわち当時の通信事情を逆手に取り、ノミ賭博場へ結果が届く時間差を利用して利益を得ようという作戦です。

そこで美味しい思いをさせつつ、いいところで馬券が買えない…これリアルに競馬場であります。そしてギリギリ買えた時って結構馬券は当たらないものです。もうこれ、映画の話では無いですね。

本作の話に戻ると、脚本がよくできています。ちなみにこの脚本を書いたのはのちに映画「メジャーリーグ」を撮ったデヴィッド・S・ウォード。単にユーモラスなだけでなく、緻密な積み上げ、あっと驚く仕掛けがあったりします。フッカーが二人に挟まれた時とかね。

物語の最終チャプターは原題「Sting」でトドメの一撃を指します。この痛快さがあるからこその名作です。なおちょうどこれから日本ダービー。ダービーの日に競馬のある映画を観るなんて、何かドキドキするじゃないですか。

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2026/05/30

「シンプル・アクシデント 偶然」を観る

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今日は盟友N氏と伊東市の金星シネマで「シンプル・アクシデント 偶然」を観てきました。昨年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品です。不当に残酷な投獄を受けた過去を持つ主人公が、目隠しされた際の義足の足音を頼りにその看守と思われる男に出会います。果たして本当に”その男なのか”…

空気階段のもぐらに似たワヒドにフレディ・マーキュリー似のハミド、ウエディングフォトを撮るカメラマンのシヴァ、被写体カップルのアリとゴリが看守と思われる男へ積年の恨みをぶつけていくのですが、何しろ彼らは男の顔を知らないため、決定打がないまま物語は進みます。

冒頭の展開で呆気に取られますが、主人公ワヒドの目的が判るとまるでミルクボーイの漫才のように”その男なのか””違うのか”の行ったり来たりを繰り返すのです。またその様が絶えず笑いと狂気の綱渡りで…緩急ある演出もこの作品の魅力だと思います。

中盤まではとにかく可笑しいです。追い込むワヒドたちも良心の呵責に苛まれていきます。またイランの社会事情なのか、やたらクレジット決済が出てきたり、それを拒めずに入金したり。ただやがて主人公たちの背景が見えてくると真の怖さがより増してくるのです。

その一つにイランの歴史、シリア内戦を知っておくべきなのかもしれません。今はアメリカと対峙するイラン政府ですが、自国民に対する不当な差別、拷問はこの映画のように行われていたといいます。トランプを擁護する気は毛頭ありませんが、これも一つの真実。

そんなジャファル・パナヒ監督の経験が反映された物語、特にラストシーンは目と耳を凝らして下さい。

追伸.
映画の前に金星シネマさんのご近所の町中華、紅牡丹さんでランチしてきました。道路側の雰囲気は謎だったのですが、お店に入ると明るくキレイな町中華店でした。盟友N氏とエビチリ、麻婆豆腐をシェア。おいおいOLのランチかよ(苦笑)。

そして嬉しかったのは温かい烏龍茶。口の中の刺激を和らげ、食後のデザート、マンゴープリンを美味しくいただけました。伊東は本当に美味しい店が多いです。

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2026/05/29

「箱の中の羊」を観る

今夜は是枝裕和監督最新作「箱の中の羊」を観てきました。綾瀬はるか、大悟(千鳥)共演の遠くない未来を舞台にしたSFドラマ。是枝監督原案による、かつて息子を亡くした夫婦が子供型ヒューマノイドを迎い入れる中で起こる出来事を描いていきます。

ネット上の作品評は芳しくありませんが、私は普通に良かったです。作品評の大半はスピルバーグの「A.I.」に酷似とありますが、合っているようで実は違うと思います。そもそも「A.I.」はピノキオがモチーフですし、本作の主軸は夫婦からの視点だからです。

まず序盤でのヒューマノイド翔(かける)との夫婦間の温度差です。ウェルカム気味の音々(綾瀬はるか)と距離を置く健介(大悟)。ヒューマノイドの体を取っても、現在におけるAIとの対峙に近い。家庭の中、技術の過渡期に起こり得る現象が描かれていきます。

結局、ヒューマノイドであっても子供と変わりないんです。親であることを捨てる、あるいは子供を突き放す。それは一時の感情だし、冷静に振り返れば愛情の裏返しです。物語はそんな二人にひと区切りを付けるためにあるプロットを用意しています。

ちょっとドラマ版「ウエストワールド」っぽいですが、あちらとの違いは野望でなく希望。そこだけはスピルバーグの「A.I.」に近いのかもしれません。なお個人的には綾瀬はるかからドライシャンプーを受ける大悟がとても羨ましかったです。

追伸.
”遠くない未来”ということでドローン(佐川急便)が飛んだり、EVが走るのですが、主人公二人のクルマがホンダのeなんですね。文字通り”いい”クルマだったんですけど、2024年1月末をもって販売終了となってしまいました。そしてホンダの販売業績は皆さんご存知のとおりです。

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2026/05/23

「第1回しずおか映画祭 DAY1」@清水マリアートへ行く

今日は盟友N氏、そしてN氏のご同僚と清水マリアートこと静岡市清水文化会館で催された「第1回しずおか映画祭 DAY1」へ行ってきました。本当に奇跡だと思います。特に第2部の予約開始は祝日夜だったこと、DAY2と重なったことで激戦必至となりました。DAY2は全滅しましたが、おかげさまで第1部と第2部のチケットが取れました。

DAY1は映画祭代表の磯村勇斗さん、映画パーソナリティーの伊藤さとりさんの進行で第1部はヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」を中心に役所広司さんを迎えてのトーク、第2部は原田眞人監督「駆込み女と駆出し男」から戸田恵梨香さんを迎えて上映前トーク、そして上映後にはスペシャルトークショーが用意されていました。

さて「PERFECT DAYS」は2度目の鑑賞です。そのおかげでいくつかの発見がありました。とにかく思った以上に役所さんのセリフが少なかったこと、それでいて表情と演技で魅せるのです。象徴的なのはラストシーン。上映後のトークで映像通りに音楽を流しての演技したと明かしていました。しかもNina Simoneの「Feeling Good」も脚本上決まってのこと。歌詞を噛みしめるような表情は当然です。

またこの作品は16日で撮影を終えたそうです。ラストシーンもファーストテイク、また環境音、サイレンが鳴ってもそのまま収録でそこがヴェンダース流と役所さんは振り返っていました。また監督は雨男だったらしく、確かに雨のシーンは多かったですし、それを逆手にとって印象的に撮られていました。

イタリアのウディネ・ファーイースト映画祭で生涯功労賞を受賞した役所さんに会場から大きな拍手。「しずおか映画祭からも生涯功労賞を」と促す場面も。ちなみに静岡市はカンヌと姉妹都市であり、ならカンヌに縁のある俳優として、磯村勇斗代表が現場(たぶん「八犬伝」)で役所さんを強襲してオファーをゲットしたそうです。

もちろん役所さんといえば、原田眞人監督とのコンビが多いのですが、アメリカ仕込の映画の造詣の深さを強調されていました。また亡くなる数日前に面会、その時も映画製作への情熱を傾けていたそうです。そして第2部上映の「駆込み女と駆出し男」の面白さ、戸田恵梨香さんの演技を絶賛していました。

ちなみに第2部の「駆込み女と駆出し男」は今回初見。2015年公開で先日再見した「わが母の記」の2作後の作品です。井上ひさし原作を原田監督が脚本化、江戸時代に実際あった女性のための駆込み寺での出来事を描いていきます。

昨年の大河ドラマ「べらぼう」や役所さん、磯村くん共演の「八犬伝」と同じ時間軸の物語です。だから水野忠邦や滝沢馬琴も出てきます。おかげで物語の理解が深まりました。戸田さんの上映前のトークにもありましたが、男女平等と言い切れない時代を描いています。

そして観終わって思ったのですが、男性主体の映画が多かった原田作品の中で女性を描くことに重きをおいていました。確かに主演は大泉洋なのですが、女優陣の輝きが違います。満島ひかり、戸田恵梨香のダブル主演といってもいいし、多くの女優陣による群像劇にも見て取れます。

樹木希林さんを筆頭に脇役に至るまでどの女優さんを観てもいいのですよ。また10年前の作品ながら、現在大活躍の俳優さんたちのブレイク前の姿が散見されました。本当にこの作品は当時の社会風刺と共に面白かったです。あまりのテンポの良さにまるで大泉洋による落語をみている錯覚さえも感じました。

戸田さんは先日のNetflix「地獄に落ちるわよ」の細木数子を引き合いに出しましたが、女性の弱い時代に輝く姿を演じる事が多いと触れていました。ちなみに「地獄に落ちるわよ」の戦後直後の描写は静岡県島田市のオープンセットで撮影されたそうです。

また今回初対面の磯村くんから戸田さんの芯の強さ(=丹田の力と言っていたかな)の秘密は?との問いに、その理由の一つに阪神淡路大震災被災のことをおっしゃっていました。死を身近に感じ、反面生きることへの執着、戸田さんの秘めたる強さはその答えの表れなのかもしれません。また目標はイーストウッドという戸田さんのひと言は映画ファンに刺さりましたね。監督をしたいのではなく、年齢ごとに見合う映画に出たい。ちなみに戸田さんが言い間違えていた作品は「クライ・マッチョ」です。ちゃんと盟友N氏はわかっていましたよ。

また戸田さんは原田監督との仕事を通して、その熱の強さを感じたそうです。とにかく熱い。脚本を沢山の資料から構築。その中で暖簾の丈がおかしいと激怒し、撮影中止でオフになったと回顧していました、

役所さん、戸田さんのトークを通じて感じたことは俳優トップの方の姿勢ですね。自分の言葉を正しく伝えるのはもちろん、共感と様々なものへのリスペクトを感じます。密度が濃かったです。そんな中、先の通りに役所さんから演技を絶賛された戸田さんの喜びぶりが印象に残りました。

第2部上映後にはスペシャルトークショーは磯村くん主演の次作「Mentor」のもの。トークショー磯村くんの相手は同じく主演の末澤誠也さん(Aぇ! group)でした。コールが掛かると女性からの反応が見て取れました。役所さんや戸田さん相手とは違った磯村くんも肩の荷が降りた感は伝わってきました。

また末澤さんの唐突な好きな食べ物は?と聞かれて「中央亭の餃子」と苦笑いする磯村くんにこちらまで苦笑いしてしまいました。この件はプレ開催の沼津でもありました。なおこの映画は10月公開だそうです。スペシャルトークショーにもしかして綾野剛?と期待していましたが、たぶん「しずおか映画祭」沼津開催まで温存するかもと思っています。「ヤクザと家族」とかで来てくれそうじゃないですか。

ちなみに「Mentor」も沼津を始め、静岡県でのロケーションだそうです。

本当に映画ファンにとって密度の濃い一日でした。できれば明日も行きたかった。なお次回は静岡県西部での開催。浜松への遠征は大きなハードルになりそうです。

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2026/05/22

「パワー・トゥ・ザ・ピープル ジョン&ヨーコ・ライヴ・イン・NYC」を観る

今日の2本目「パワー・トゥ・ザ・ピープル ジョン&ヨーコ・ライヴ・イン・NYC」を観てきました。1973年マディソン・スクウェア・ガーデン(あのボストンバッグでおなじみ)で行われたチャリティコンサートの映像を映画化したものです。

先週の「EPIC」でも感じましたが、古い音楽映像のレストアは劇的に良くなっています。この作品も冒頭から映像、特に音が素晴らしかったです。また観客の興奮共々、劇場特有の包囲感、臨場感がライブ色を強くさせます。まるでその場所に居るようです。

ジョンの疾走感ある「ニューヨーク・シティ」で始まり、ご存知「イマジン」「マザー」の他、ジョンが『エルヴィス大好きだよ』と「ハウンド・ドッグ」。2週連続でエルヴィスのナンバーが聴けるとは。しかも今回は「カム・トゥギャザー」と2週連続でビートルズナンバーが聴けました。

驚いたのはヨーコの絶叫系ボーカルの「ドンド・ウォーリー・キョウコ」「オープン・ユア・ボックス」には圧倒されました。遠い昔に観たレノンの音楽ドキュメンタリー「イマジン」では微塵もそんなところを見せなかった気が。しかもセクシーなコスチューム。

レゲエ調のリズムにある政治家の言葉を読み上げるヨーコ。その直後、最高潮のアンコールは「平和を我等に」。二人が被った日本から送られたヘルメットの文字にニヤけてしまいます。大合唱の輪の中に見覚えのある独特のムーブのアーティストが…やっぱりスティーヴィーでしたね。

今、この映画を公開する意味。混沌とした世界、力だけが全ての時代に戻ってしまいました。このライブでのジョンのメッセージはシンプルです。

「Stop the War」

それを言えるアーティスト、”今”いるかなぁ。だからこそヨーコとショーンはそんな”今”公開したんだろうなと思います。

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