おでんの季節【介護日記】
17年ぶり一緒に住み始めてから半年、必ず父と一週間に一回は揉める。認知症の母と揉める事はないが、同じ屋根の下で住むと色々な事で父と衝突する。ウイークデイの朝晩の食事作りは父に任せているが、土日の夕飯はオレが作る。となれば、台所を舞台に色々言いたい事が見えてくる。
例えば包丁にしろ、道具にしろ同じものを使う。父は工事職人なので道具に気を使うのだが、こと食事作りに関しては男の料理を突き通す。要は作ったっきりで後片付けはほぼやらない。水切りカゴに置いたザルに材料片が残っているのはざら。フライパンは洗わない。こちらが使おうとすれば棚から油とコゲが残ったフライパンが出てくる。
「洗うのが面倒ならそのまま流しに置いて欲しい」と言っても通じない。ザルの件に関しては「料理中、置く場所が足らない」と言い出す。それらを含めて「洗います」と言ってもダメ。とにかく父は頑固な人だから。
「文句を言われるくらいなら一緒に住んでくれなくていい」と言い出し、「出ていけって事?」と問うとそうではないと言う。でも「自分の子に出ていけとは言えない」とそのまま黙ってしまった。
そんな揉め事のあったある夜。数日の寒さからそろそろおでんを食べたいなと思って食材を用意していた。ダンマリになった父を横目に台所で下ごしらえを始める。妻が作っていたのを見ていたし、ググればレシピは溢れている。とりあえず大根とじゃがいもを下茹で。
日高昆布を切り出してそれらと一緒に合わせておく。後は翌日、出汁類(中でもヤマサの昆布つゆは最強)を追加、ゆで卵に練り物、ソーセージ、鶏肉に牛すじと合わせて煮込む。より味が染み込むよう10数分加熱して放置。食べる直前に十分温めておき、加えてよく冷えた缶ビールを用意しておく。
揉めた父と缶ビールを交わし、おでんを食す。父は黙々と食べ、母は「美味しい」と喜んでいた。とりあえず停戦、まだまだ揉め事は絶えないと思うけど。
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