2016/02/14

「Kindle paperwhite」を使う

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 昨年末にAmazonのKindle paperwhiteを買った。きっかけはフィリップ.K.ディック「高い城の男」の購入。近所の何処の本屋でも見つからず。この間、Amazonの欲しい物リストにあったこの本の残数はゼロになっていた。これまでも興味を持った本がリアル店舗に無く、購入を先送りした事が何度もある。購入への不便さとガジェットへの憧れが一致し、Kindle購入に至った。

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 Kindle paperwhiteは買った時期から第7世代、Wi-fi版を手に入れた。本の虫でも無いので3G版は不要。少し価格の安い「キャンペーン情報付き」はAmazonのユーザーレビューでは圧倒的に不評のため、それだけは止めておいた。

 書籍の購入はKindleでもできるが、自分のスタイルとしてはPCのみで行っている。Kindleの操作はもっさり、スマホやタブレットに劣っているし、Webの参照も良く無い。購入した書籍は手元のKindleと紐付け、ダウンロードされる。バッテリは自分の使い方なら今のところ月イチフル充電で良さそう。

 Kindle paperwhiteのいいところは長時間読んでいても疲れない事だ。e-inkの恩恵、高解像度、フォントの見易さは他のガジェットとは一線を画す。また以前なら就寝前の読書でデスクライトは必需品だったが、Kindleのバックライトで十分(視力のために良いかは別にして)。ページ送り程度なら片手操作で読み進む事ができる。ただ寝落ちした際、Kindleが手元から落ちてハッとする事も多くなった。普段使いでは気にならないが、もう少し軽くても(Wi-fiモデル:205g)良いなぁ。

 画面の見易さを維持したいなら液晶保護フィルム、カバーは必須だろう。カバーは純正品以外もあり、今なら色、価格で選べる。ただフタを閉じると電源が落ちるマグネットタイプを選びたい。一応、2年の事故保証プランにも入っておいた。

 Kindleの書籍は青空文庫等、無料のものもダウンロードできる。無料マンガも多い。「恐怖新聞」「ゲームセンターあらし」なんて昔を懐かしむコンテンツもある。またお試しの延長で第1巻のみ期間限定で無料というのもあり興味深い。「ちはやふる」なんてリアル店舗で立ち読むなんてありえない。気がつけば、無料マンガのダウンロードばかりが増えている。

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 電子書籍は読書の概念を変える。他のガジェットとの住み分け、書籍の代替に十分と感じた。これまで「高い城の男」「赤めだか」と読んでみたが、最初の持っていた違和感、例えばページを読み進めた時の感覚(手に感じる残ページとか)、気にならなくなった。Kindleの章の読了時間推定とかは空いた時間の有効に役立つ(時々間違うけど)。一つのパッケージに有限だが、数え切れない数の書籍コンテンツが収まるのもありがたい。この時代の流れは止まりそうにない。

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2016/02/13

立川談春著「赤めだか」を読む

 Kindleで立川談春著「赤めだか」を読んだ。読むきっかけは年末放送されたドラマ「赤めだか」。談春さん本人は高視聴率終わった「下町ロケット」にも出演。「ルーズヴェルト・ゲーム」の時の悪役ぶりと打って変わった人情脆い番頭どころを熱演。もちろん彼のメインフィールドは落語。「赤めだか」は入門から真打に至るまでの自身を回顧した作品だ。

 ドラマを観てから原作本に入ったため、ドラマのために改変された箇所もあった。ドラマはニノ演じる談春は一人で河岸に修行へ出されたが、実際は関西と一緒。二つ目昇進での出来事、きっかけとなる演芸評論家の存在も原作にはない。ただそれ以外のエピソードはほぼ原作通りといった感じ(ドラマのみで補間されたエピソードもあり)。ただ原作は真打となる談春までを描いており、実はそこにこそ彼の大きな成長が隠されている。

 談春は真打昇進を賭け、6ヶ月連続のトライアルを考えた。しかも最後の回のゲストに柳家小さんを担ぎ出す。それこそ談春が談志(イエモト)にけじめをとる策。だが談志とかつて喧嘩別れした落語協会、その会長の小さん師匠とは兄弟弟子。旧態依然の落語協会に対する因縁、談春の知らぬ談志と小さんの関係、談志からのちに思いを知らされると談春だけでなく、読んでいる我々も心を震わせる。

 柳家小さんに続き、自称人間国宝コレクターたる談春の桂米朝師匠とのエピソードも可笑しい。談春の思いと裏腹に運の無さと大らかな米朝一門とのやり取り。大御所との対峙を可能とするのも談春の才能、人柄ゆえ。この本を談志(イエモト)の言葉を談志の声を想って読むと感慨深い。そしてその一語一句、エピソードを完璧に紡ぐ談春の文才に舌を巻く。ドラマに魅せられたなら是非読んで欲しい。

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2016/01/30

フィリップ・K・ディック「高い城の男」を読む

 フィリップ・K・ディックの「高い城の男」を読んだ。ディックといえば映画「ブレードランナー」「トータル・リコール」の原作で有名。今回読むきっかけは昨年、ディスカバリーチャンネルで放送されたミニシリーズ「SF界の巨匠たち」。そこで採り上げられたのがディックだった。このシリーズでは作家の先見性と現代テクノロジーがテーマだったが、ディックらしく人間のパーソナルな部分に迫っていた。

 「高い城の男」は第二次世界大戦で枢軸国が連合国に勝利した戦後ifを描いたもの。舞台は日本とドイツに分断、統治されたアメリカ。ただそのスケール感に反し、物語はディックらしくパーソナル。何人かの登場人物は絡む事があっても、主体はオムニバス形式。「古美術商」「タンポポ作戦」「易経」そして「高い城の男」とは?その顛末が描かれる。

 読みどころはアメリカに生まれた文化のカオス、作品内の小説「イナゴ身重く横たわる」の存在。「高い城の男」自体もパラレルワールドだが、「イナゴ身重く横たわる」も更なるパラレルを生む。枢軸国に統治される人々が読む連合国勝利後の世界は、現実と微妙に異なっているのが面白い。先に挙げた2作、他の著作同様、自分の居る世界、現実への疑問が展開される。

 惜しむらくパーソナルな内容ゆえ、物語のダイナニズムは限定的な事。そしてもう一つ、我が想像力が分断統治のアメリカの世界観を補えなかった事。欧米文化に彩られた今の日本の逆を行くせ界はさすがにイメージできない。ただ本作はリドリー・スコット総指揮でドラマ映像化されており、いずれ日本でも観る事ができるだろう。その時が楽しみだ。

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2015/03/19

再び「鍛えて最強馬をつくる」を読む

 最近競馬本を読み漁る中、昔読んだ「鍛えて最強馬をつくる」をもう一度読みたくなった。この本は故・戸山為夫調教師(当時)の遺稿。第7回JRA賞馬事文化賞を受賞した作品でもある。サブタイトルに"「ミホノブルボン」はなぜ名馬になれたのか”と立てられた通り、馬の調教論を中心に厩舎経営、人材教育、さらに自身の半生を騎手時代、調教師として経験を綴った本である。20数年前と違った感慨を受けただけでなく、その内容は今読んでも全く色褪せていなかった。

 当時脚光を浴びた坂路調教の事ばかりに目が行くが、改めて読んでみると戸山さんの人生が投影された競馬論になっている。それが馬作りであり、人作りでもある。志半ば騎手を辞め、実績のないまま調教師へ転身。人と同じ事をやっていては勝てない。それが強い調教、牧場と連携した強い馬作りへ繋がっていく。先日読んだ「世界一の馬をつくる」にも相通じる点でもある。牧場のあり方は競馬しか見ないファンには新鮮だろう。戸山さんはその先駆者の一人であり、持ち乗り制度の導入も率先した。

 そんな持ち乗り制度導入の経緯も興味深い。限られた人材の活用、もちろんそれも馬のためである。一頭の変化を知る事、運動時間への活用が利点。高コストは掛けられず、垢の付かない若手を登用した。安永調教助手のミホノブルボンへの起用もその流れである。そうした人材を育て自厩舎、競馬界へ還元する。寄稿当時、先に独り立ちした森調教師は戸山イズムの継承者でもある。ただそこに厩舎経営の難しさも垣間見える。

 持ち乗り制度の考え方は小島貞博、小谷内秀夫の二人の所属騎手を主戦とし、普段から調教に乗り、かつ実戦を使う事で馬の能力を引き出す事にも繋がっている。戸山さんが「厩舎のスタッフは家族同然」と述べる通り、ビジネス優先の経営ではない。予算の限られたオーナーに対し、如何に結果を出すか。それに応えた厩舎スタイルなのだ。ただそれだけに、戸山さんだからこその部分も多く見られる。非社台で戦えた頃、ミホノブルボンは最後の輝きだったかもしれない。

 現在、戸山イズムの後継者、森厩舎がビジネス然たるスタイルで成功と思いきや、社台馬の台頭は厩舎間の競争を激化させた。坂路調教、持ち乗り制度、インターバル調教も今や当たり前であり、アドバンテージではない。ただ戸山さんの存在が無ければ、日本競馬は10年遅れていたのかもしれないと思わせた。最後に今本来、愛弟子として戸山さんの後継者であるべき、小島貞博師の姿が無いのは本当に悔やまれてならない。

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2015/02/14

「世界一の馬をつくる」を読む

 「世界一の馬をつくる」を読んだ。ノースヒルズ代表である前田幸治さんが自身の取り組み、生産馬、所有馬、生産牧場、今や前線基地として有名な大山ヒルズを振り返る。二年連続日本ダービー馬を送り出し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのオーナー・ブリーダーである。オーナー・ブリーダーというとかつてメジロ牧場が有名どころだったが、今や解散。それだけでなく日本の馬生産界はサンデーサイレンス系の隆盛に社台グループの一人勝ち状態となっている。そこに一矢放ったのが、チーム・ノースヒルズなのである。

 今のノースヒルズは前田さんの貪欲さの賜物、それだけでなくチーム・ノースヒルズの成果なのは間違いない。そこにある前田さんのリーダー論、人の繋がりを尊う考え方、競馬への取り組みは結果を出しているがゆえ、本書は非常に読み応えがある。新参者ゆえに成功者、海外のノウハウを取り込んだというが、そこに行き着く判断力が素晴らしい。既成概念からの脱却、新人の起用。人を活かす組織作りは競馬に限らず、一般社会にも通用する内容である。

 ただ社台グループも黙っていない。この本の中でも触れているが、彼らもそのノウハウを得るべくノースヒルズを訪れている。「秘密ではなくなってしまうわけだが、それによって日本の生産界全体のレベルが底上げされるのなら大歓迎」とまとめている。そもそも二頭のダービー馬の父は社台グループの種牡馬とくれば、共存の上の出来事。あくまで「世界一の馬をつくる」ためにはとにかく貪欲、そしてチャレンジ精神に富んでいる。

 残念ながら現時点、ノースヒルズから世界一の馬は生まれていない。しかしトランセンドはドバイワールドカップで2着に善戦、今も二頭の現役ダービー馬が世界制覇へ控える。そのうちの一頭、いよいよ復活したキズナが京都記念に出走する。果たして今年の大目標、大願成就へのステップとなるだろうか。同じく素質馬ティルナノーグも同日の共同通信杯に出走、クラシック戦線を賑わす。これからもチーム・ノースヒルズへの興味は尽きない。競馬ファンなら必読の一書だ。

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2015/02/07

「波のうえの魔術師」を読む

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 石田衣良原作の「波のうえの魔術師」を読んだ。Amazonを開いた際、何気に目に飛び込みずっと気になっていた。ドラマ化されていたようだが、あまり覚えていない。

 就職浪人の白戸は小塚という老人と出会う。テストされた白戸は小塚の下、株式取引を学ぶ。やがて合格を勝ち取った白戸は株式市場という波に乗り込んでいく。そんな中、小塚は白戸にある計画を持ち出すのだった。

 この作品は一見、経済もののようだが、中身は青春小説である。石田衣良らしく何処かに青臭さに大人の目線、そして痛快さを秘めている。主人公・白戸則道の成長物語であり、ラストに控えるほろ苦さ。物語の違いはあれど「ショーシャンクの空に」に相通じる味わいがある。

 経済小説としては株式取引、小塚老人を通して経済学、市況感が描かれており、勉強にある。そこにバブル時代に社会問題となった変額保険を取り上げている。そこにまつわる復讐劇こそこの物語、もう一つの柱。物語に時節が織り込まれているからこそ、リアリティが生まれる。そこがこの作品の面白いところだ。


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2014/05/06

「誰も書かなかった 武豊 決断」を読む

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 島田明宏著「誰も書かなかった 武豊 決断」を読んだ。天皇賞・春で一番人気に支持されたキズナ、武豊のコンビであったが、追い込んで4着と惜敗。ただここ数年、競馬界で逆境に立たされた武豊が、復活のキッカケを生んだのがキズナとの出会いと言っていい。鮮烈なデビューからスペシャルウイークでの初ダービー制覇、自身が重圧に耐えて騎乗したディープインパクト、そして今までの姿を武の「心友」である著者の目を通して振り返る。まるで武豊の道程を間近で見る思いがする作品だ。

 国内での実績はこれまで伝聞されたものも多いが、そこに裏打ちされた勝負師、武豊の姿がこの本に著されている。常にプロフェッショナルである武の本音が著者の目を通して感じられた。平成三強(イナリワン、スーパークリーク、オグリキャップ)の全て、伝説の桜花賞出遅れ、サイレンススズカの死、そしてディープインパクトの衝撃等、読みどころは多い。中でもダービーを勝つまでの試行錯誤は5勝という形で今も続いているが、そこに至った意識こそが成せる業なのだろう。これからも若駒から彼が騎乗、ダービーに参戦した馬に注目せざる得ない。

 本作で特に興味深かったのは海外での騎乗の事だ。海外GI制覇ばかりに目が行き、アメリカ、フランスと長期滞在での出来事はこれまであまり伝わって来なかった気がする。思うように進まなかったアメリカでの最初の武者修行からのちにフランス、ハモンド調教師からのオファーに至るまで確実に実績を積み、世界的な評価に至っている騎手は日本で今や武豊以外にいない。それだけにフランスで本格参戦した最初の年に途中ケガで帰国を余儀なくされた点が残念でならない。

 その後、ご存知有力個人馬主との確執、2010年の落馬以降での騎乗馬の激減に至る。今の社台グループとの関係は著者の言葉は少ないが、生産界と騎手の最強コンビこそが世界で戦うべきと言っているし、ボクもそう思う。短期で効果を上げる外国人騎手起用にばかり向かうだけが日本競馬の未来ではない。そしてこれまで武豊が築いた人の繋がり、実績こそがキズナでの復活、GI100勝目を後押ししたのだ。とにかくこの本では実に一つ一つのエピソードが細かく描写されている。読み始めるとあっという間。春のGI真っ只中、是非この本でこれまでの武豊、彼の競馬の旅を追体験してみてはどうだろうか。


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2009/06/15

「超合金の男 -村上克司伝-」を読む

 アニメや特撮番組制作者と玩具メーカーの関係は切っても切れない。富野由愁季氏が、作品製作における両者の軋轢を吐露していたが、それを知って以来、何処かしら、玩具メーカーに対して偏見を持っていた。実際そのように世に出た玩具は少なくなく、現在一人歩きしたガンダムシリーズ等例に漏れず、そこには玩具メーカーの圧力が見えてくる。しかし両者の関係に軋轢でなく、むしろクリエイティブな相乗効果を生み、エポックメイキングな玩具を提供してきた時代もあった。その中心に居たのが、本著の主人公、村上克司氏である。

 バンダイの人気玩具の代名詞、超合金。常に革新的なアプローチの影に村上氏があった。デザインの裏には子供を喜ばせる仕掛け、テレビ画面と玩具を結びつける驚きに溢れている。デザイン重視となれば、変形や遊びに目を瞑るところ。彼にそんな考えは無く、デザイン上成立している事は手元の玩具で実現させる。そんなコンセプトに基づき、番組の企画段階から参画。ただスタッフロールに乗る事も無く、知る人ぞ知る存在であった。「勇者ライディーン」「超電磁ロボコンバトラーV」「ゴールドライタン」「六神合体ゴッドマーズ」等合体、変形、コンビネーション、どれもが革新的な遊びを提供してきた。

 それだけでなくその手腕、デザイナーとしての目線が素晴らしい。特に「宇宙刑事ギャバン」のコンセプトイメージは、当時衰退期にあった東映特撮ヒーローの息をふき返らせる。メタリックヒーロー、デザイン、演出と斬新な作品開拓に一役買った。その渦中での村上氏の言葉、「俺がギャバンだ!」には唸らされる。この本では、同様にそれぞれの作品とエピソードで繋ぎ、村上氏の姿に迫っている。それだけでなく、玩具、アニメ、特撮好きにはたまらないエピソードでいっぱいだ。

 冒頭、玩具メーカーに対する偏見を述べたが、本書でそれを一蹴する熱意と常にクリエイティブである村上氏に圧倒された。もっとも今もマーチャンダイジングありきの戦略は絶えない。しかしその玩具に子供たちの姿が見えた時、村上氏、あるいは村上イズムの継承者たちによるものなのだろう。玩具は遊びを追求する、あるいは遊びを提供するものでなければならないのだ。幼少期、「勇者ライディーン」の超合金を手にした日の事は忘れない...彼の玩具、超合金に育てられた子供たちに捧げられた本である。


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2007/09/08

造顔マッサージを始めてみる

 先週、日テレの「世界で一番受けたい授業」を観ていたら、田中宥久子なる女性が登場した。61才とは思えぬ肌ツヤ、シワの無さ。これまでの痩身の概念を覆すという話だったが、ボクには話半分。しかし妻から「本を探してみて」とリクエストが入り、すかさずAmazonをチェックした。この人の著作は大きく二つ、全身篇と顔篇である。妻との結論は、とりあえず顔からやってみようという事になった。顔がダメなら、全身も...という結論だ。

 発注したのは「田中宥久子の造顔マッサージー10年前の顔になるー」。DVD付きはカスタマーレビューを見た結論からのセレクト。間もなくAmazonから届いた頃には、妻は準備よくスキンクリームを用意していた。そう、このマッサージにはクリームが必要なのだ。油分が少ないほど良いという。それ以外には何も必要ない。夫婦共に顔中クリームまみれになっていた。何しろ話し半分だったが、とりあえずDVDを再生してみる。

 このマッサージの骨子は、顔の筋肉に沿った11ステップの実施。そして「必ずリンパに流す」動作が入る。老廃物を押し流す、これがこのマッサージのキモだ。造顔愛好者なら「リンパに流す」のひと言で、思わずニヤリするだろう。またこれら11ステップのマッサージも、筋肉の流れ、動きに沿った裏付けあるもの。全身の皮膚は一枚で構成されている、その考えに基づいている。すなわち伸びた皮膚を元の位置中に戻すのだ。中には小学校時代やっていた目の体操に近い動きもあった。DVDの真似をしながら約10数分し、マッサージを終えた。

 クリームを落として鏡を見た妻は、自らの顔の変化に気づいたよう。実際、アゴがすっきりしたようだ。ボクの場合も頬周りに変化があった感じ。この造顔マッサージの痛気持ち良さも売りの一つである。僅かな痛みは脂肪のせいでもあるらしい。さすがに我が顔が小顔になるまいが、少しでもすっきりするのは悪くない。一日一回、継続は力なり。数ヵ月後、街で会っても気づかれない...なんて事はないのかぁ(^^ゞ

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2006/05/10

横山秀夫「クライマーズ・ハイ」を読む

 「ダ・ヴィンチ・コード」の後に読んだのは、横山秀夫さんの「クライマーズ・ハイ」である。実は横山さん原作の映画「半落ち」を劇場で観た後、その原作の持つ内容に心打たれた。そしてちょうどその劇場公開時にベストセラーになっていたのが、「クライマーズ・ハイ」だった。まもなく単行本を買ったのだが、仕事が忙しいのを理由に手付かず。そして、そうこうしているうちにNHKでドラマ化された。ただそのドラマはあえて観ず、やはり原作を味わいたいと今に至った。ただ読み出してしまえばあっという間に読破。まさに感情移入どっぷりの内容であった。

 1985年、日航ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落した大事故。そんな現実の事故を起点に、新聞記者でもあった著者が挑んだフィクション小説。事故に直面した地元新聞社、編集デスク一週間の戦いを描いている。もちろん戦いといっても、彼らの武器はペン。主人公は日航デスクに任命された悠木。彼はペンだけでなく、出稿にあたっての戦い、同僚との葛藤、そして自分との戦いにさらされていく。そして「下りるために、登るんさ」山仲間であり、同僚だった安西の言葉が、その事故を回顧する悠木の心中に去来する。

 NHKでドラマ化された際、何処まで原作に忠実かは判らない。ただ原作では群馬という土地柄、政治背景を織り込み、それが悠木を惑わせていくのだが、そこでもし政治家の名前が置き換えられていたりとかすると、幻滅したかもしれない。ドラマとはいえ、NHKだけに尖った表現はできないように思える。ただそれは原作のディテールであって、この原作本来の惹きつけるものは全く別のところにある。それはサラリーマン生活をする者にとっては、痛感以上の気持を悠木に注いでしまうところだと思う。

 物語は事故が明らかにされる中、社会の縮図、それが主人公の在籍する新聞社の中で展開していく。過去のスクープに囚われた上司たち、彼らを越えようとこの事故現場に張りつく若手たち。さらに販売部門、「水爆」と呼ばれる社長、読者、そして事故に直面した中で何を伝えるべきかと葛藤する悠木。その葛藤がとにかく歯がゆい。特に何かを代替するように突き進む彼の姿、さらにある決断に至る描写は、その文章から緊迫感が伝わってくる。岐路に立たされ、最後にとった悠木の行動。偽善ではなく、彼のそうありたいと思う気持を強く感じた。

 とにかくここで描かれるのはヒーロー像ではない。どちらかといえば今の自分、いや上司等の身近な姿が重なってくることだろう。読者の際するそれぞれの立場、違いはあれども必ずそこに人間関係、そしてさらに家族の姿が見えてくる。特に悠木の息子に対する相違は、衝立岩(ついたていわ)を諦めようとした時、その思いを氷解させる出来事に直面する。そこだけに限らず、この本を読んでいると何度か涙腺を刺激された。そしてとりあえず、「もうちょっと頑張ってみるか」と元気をくれる。「クライマーズ・ハイ」は社会で揉まれる中堅社員、働くお父さんのための応援本かもしれない。

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