2009/06/15

「超合金の男 -村上克司伝-」を読む

 アニメや特撮番組制作者と玩具メーカーの関係は切っても切れない。富野由愁季氏が、作品製作における両者の軋轢を吐露していたが、それを知って以来、何処かしら、玩具メーカーに対して偏見を持っていた。実際そのように世に出た玩具は少なくなく、現在一人歩きしたガンダムシリーズ等例に漏れず、そこには玩具メーカーの圧力が見えてくる。しかし両者の関係に軋轢でなく、むしろクリエイティブな相乗効果を生み、エポックメイキングな玩具を提供してきた時代もあった。その中心に居たのが、本著の主人公、村上克司氏である。

 バンダイの人気玩具の代名詞、超合金。常に革新的なアプローチの影に村上氏があった。デザインの裏には子供を喜ばせる仕掛け、テレビ画面と玩具を結びつける驚きに溢れている。デザイン重視となれば、変形や遊びに目を瞑るところ。彼にそんな考えは無く、デザイン上成立している事は手元の玩具で実現させる。そんなコンセプトに基づき、番組の企画段階から参画。ただスタッフロールに乗る事も無く、知る人ぞ知る存在であった。「勇者ライディーン」「超電磁ロボコンバトラーV」「ゴールドライタン」「六神合体ゴッドマーズ」等合体、変形、コンビネーション、どれもが革新的な遊びを提供してきた。

 それだけでなくその手腕、デザイナーとしての目線が素晴らしい。特に「宇宙刑事ギャバン」のコンセプトイメージは、当時衰退期にあった東映特撮ヒーローの息をふき返らせる。メタリックヒーロー、デザイン、演出と斬新な作品開拓に一役買った。その渦中での村上氏の言葉、「俺がギャバンだ!」には唸らされる。この本では、同様にそれぞれの作品とエピソードで繋ぎ、村上氏の姿に迫っている。それだけでなく、玩具、アニメ、特撮好きにはたまらないエピソードでいっぱいだ。

 冒頭、玩具メーカーに対する偏見を述べたが、本書でそれを一蹴する熱意と常にクリエイティブである村上氏に圧倒された。もっとも今もマーチャンダイジングありきの戦略は絶えない。しかしその玩具に子供たちの姿が見えた時、村上氏、あるいは村上イズムの継承者たちによるものなのだろう。玩具は遊びを追求する、あるいは遊びを提供するものでなければならないのだ。幼少期、「勇者ライディーン」の超合金を手にした日の事は忘れない...彼の玩具、超合金に育てられた子供たちに捧げられた本である。


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2008/01/19

勇者ライディーン、ついに超合金魂で登場

何故だろう?何故だろう?心が燃える
クリックしろ、クリックしろと誰かが叫ぶ

この写真を見たら、そんな歌が頭の中をよぎった。

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 ついに超合金魂に「勇者ライディーン」が登場する事になった。昨年末、ホビー系雑誌に次回作として挙がったライディーン。マジンガーZが超合金の誕生なら、このライディーンは超合金の革命といっていいだろう。ロボットから飛行形態ゴッドバードへ、変形という要素を織り込んだライディーン。変形に神秘的で流麗なデザイン(安彦良和氏による監修)と相まって、小さかった我々の心を捉えて放さなかった。それがいよいよ超合金魂で甦る。

 実はボクが初めて買った超合金が、このライディーンだった。誕生日に外食の前、おもちゃ屋さんで買ってもらった。ライディーンはロボット形態のみと変形できるデラックス版の二種があり、買ったのは後者。幼稚園児にデラックスの意味は伝わらなかったろうが、「形の変わるほう」を手に入れる事ができた。動きのないロボット形態より、ゴッドバードがお気に入り。今もマジンガーZより、超合金といえばライディーン、そんな気持ちが強い。

 今回の超合金魂はライディーン本体のみと、もう一つデラックス版(限定版)が登場。男なら迷わずデラックス版だ。何とあの人面岩に黄金のライディーン像が付いてくるのだ。ライディーンの魅力に「フェードイン」がある。主人公ひびき洸がスパーカー(バイク)で飛び乗り、導かれるシークエンス。洸のテーマ曲とCV神谷明氏のセリフが耳に残る。幼少期のサブリミナルか?ヤバい、ヤバ過ぎる。ついにポチッとしてしまった。

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2007/09/09

いざ凱旋門

 リビングの模様替えがひと段落したところで、実家から自作スピーカーを持ち込んだ。スピーカーといっても、テレビ台を兼用。その名を凱旋門と申します。このスピーカーは我が心の師、長岡鉄男さん設計の傑作。長岡さんの特徴的なスピーカー作り、これはマトリクススピーカーと申しまして、前の三つのスピーカーユニットだけでサラウンドさせようとする代物。今ある市販サラウンドスピーカーの元祖みたいなもの。しかしテレビとDVDレコーダーの間にはアンプとこの凱旋門しかありませぬ。今流行のデジタルサラウンドでないのも大きな特徴。スピーカー結線だけでサラウンドさせるのです。

 スピーカー工作は10年以上ぶり。元々はMX-127AVという型番ですが、ペットネームが付くのが長岡流。設計は当時の雑誌「AV FRONT」1992年3月号まで遡ります。板材はネットでカットしてくれるところを探し、この店でシナベニア板を選んでいます。カット板にはちゃんと番号がふられ、この凱旋門の組み立ては二日で終わりました。ブランクはあっても、釘を打つのは楽しいものです。木目の映えるシナベニア板のため、オイルステインとニスで仕上げました。

 視聴に使ったのはお約束のDVD「007トゥモロー・ネバー・ダイ」。音出すとまだクセがありますが、エージングで解消するしょう。むしろ評価したいのは音の奥行き。前方の展開はスピーカーの見立てを越えています。もちろん音のレンジも広い。ただアンプは18年選手のケンウッドKA-5010で青色吐息な状態。本当は完調なアンプが欲しい。ただボリュームはマンション住まいという環境下、小音量での再生ならまずまず。暗騒音が上がればサラウンド、リアへの音周りも改善されるだろう。

 なお音声はDVDレコーダー、PS3共にHDMIにて映像信号込みでテレビKDL-V2500経由、アナログ出力でアンプへ結線。テレビのデコーダーの性能も気になる。ただPS3の場合、HDMIとマルチAV端子の同時出力ができなかったり、レコーダーとの使い勝手の両立を考えると、今の形が良さそう。レコーダーとPS3抜き、テレビ単独でもサラウンドできるからだ。スポーツ中継のためにレコーダーを立ち上げる必要もあるまい。もちろん現状でも、テレビの音とは一線を画しています。そして何より自分の音で楽しめるのが嬉しいのです。

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2007/01/20

遊舟ダイナミック大賞2007各部門賞発表

年始恒例、8回目を迎えた「遊舟ダイナミック大賞」。筆者の独断と偏見で2006年を振り返ります。

まずはコラム:2006年総括、格差社会とデジタル化
 小泉政権から安倍政権へ。政治的には大きな転換期を迎えてはいるものの、小泉時代から踏み出したものは少ない。昨年の参院選、郵政民営化さえ猿芝居だった事が露呈され、あの刺客たちも、今ではぞんざいな扱いを受けている。それゆえ現政権は逆風に見舞われているが、思ったほどのダメージはない。しかもサラリーマンに対する政策は真綿に締めつけるよう、成果主義の推進を促し、税制、格差社会の三重苦に見舞われていくのだろう。我々に知らされず、影は少しずつ忍び寄ってくる。 

 そんな社会を映してきたテレビのデジタル化は進むところ、大多数の人々がアナログ停波の時期を見誤っている。2011年には駆け込み切り替えが殺到しそうな気配だが、今すぐ買い替えるに敷居は高い。何故放送を見るのにカード(B-CAST)が必要なのか、録画にも制約が多く、高画質化の恩恵は必ずしも歓迎されない。しかもハードの価格は大きく下落しているとはいえ、まだまだ高額なのも確かだ。大画面と小画面の方向性の違いは、格差社会の縮図ともいえる。

 実家のテレビはいまだアナログ。画質はソニーのフラットトリニトロン。まだ数年なのにソニータイマーの影響か、一台はチャンネルを変えるたびに画面はブラックアウト。これで映らなければ「買い換えようか」と思うところ、電源の入れ直しでとりあえず画が映るから困る。ケーブルテレビは地上デジタルに対応しているが、地方局のみ対応(郵政省の政策のため)で、首都圏キー局はアナログ波のまま。ケーブルテレビの恩恵は電波の安定性に留まろうとしている。これならCSもBSも直接受信のほうがよかろうと思う。

 まだまだメディアのデジタル化は混沌としている。HD-DVDとブルーレイの戦いは始まったばかり。プレステ3登場によって、ブルーレイ有利に思えそうだが、出荷台数が予定に足らない事、動因するはずのソフト、ゲームや映画共に物足らないラインナップに留まっている。そして何よりソニーに対する信頼性の低下は痛い。ソニーだけでなく、トヨタでさえ問題を抱える時代。その一つ一つは社会の縮図。そんな中、筆者の心を捉えたモノとは...

遊舟ダイナミック大賞、遊舟競馬賞.「ディープインパクト号」
Deepimpact 競馬の世界、一年間活躍し続ける事の難しさ。まして勝ち続ける事は容易いものではない。早くから世界を見据える競馬が、三冠馬ディープインパクトに課せられた目標だった。春の古馬GIを総ナメし、ライバルは世界とアピール。しかし万全とされた凱旋門賞挑戦は、初めて知った世界の壁、そして禁止薬物検出という後味の悪い結果となってしまった。ただ国内復帰後のディープは、そんな後味の悪さを爽快さに変える快走をみせた。勝ちタイムの平凡さよりも、鮮やかさは記憶に残る。有馬記念での次元の違う末脚は、ラストラン暮れの中山でも炸裂した。

 ディープ、彼に対しその戦績よりも評価したいのは、社会への認知度の高さだろう。オグリキャップ以来、競馬のイメージアップに貢献。実際、圧倒的な強さに興味を持った人も多い。シンザンやシンボリルドルフの堅実さに、ミスターシービーのような魅せる競馬も兼ね備えたディープ。追えば末脚は何処までも伸びていく。サンデーサイレンスの最高傑作、今「日本競馬の結晶」は新たなステージへ。有終の美、続く次なる種牡馬生活に向け、歴史は進んでいく。

 早い引退を惜しむ声は多いが、リスクある海外遠征への決断は評価したい。管理面の見逃しというケチはついたものの、ファンは世界へ近づいた瞬間を味わう事ができた。ファンを喜ばせるのも大事だが、競馬が血統のスポーツである事、次の血に繋がっていく事は重要な責務。五十一億円のシンジケート、千二百万円の種付け料、ビジネスと片付けられそうだが、競走馬が元気なまま引退するのも大事。繁殖牝馬は制限させるが、同じサンデー産駒の先輩たちが結果を残しているゆえ、チャンスは少なくないはず。今年の遊舟ダイナミック大賞は最後の馬券を獲らせてもらった上、これからの応援を込めて、ディープインパクト号に送りたい。

 ダイナミック大賞次点筆頭はちょいテレ。昨年始まったワンセグ放送だったが、パソコンでの利用はチューナー搭載PCや同ケータイだけと条件が限られていた。しかし秋に入って一般のパソコンユーザーのために本機が登場。一時入手不可能になる程の人気となった。ある程度の受信状況にあれば、キレイな放送を手に入れる事ができる。ただ筆者のような地方部では、「ある程度の受信状況」が曲者。しかしマンションなどの高層部での受信はすこぶるよろしい。受信エリアの拡充は待たれるが、外でワンセグは便利。なおちょいテレはデータ放送に未対応。またできれば今後、外で地デジできるチューナーユニットが欲しい。

 同じく次点はニンテンドーDSLite。しばらく静観していたが、ジェットブラック発売時、久しぶりに行列に並んで買った。脳トレ人気に食指を動かされ、「大人のためのDSトレーニング」と共に数ヶ月楽しんだ。長期出張を機会にその後は頓挫したが、シンプルを楽しむ点では、このDSに敵うものはないと思う。スペック重視のSCEとは全く別のベクトルの商品。続く次世代ゲーム機Wii購入層の基礎を作った。任天堂のマーケティング、底力を感じる。2006年内発売とされたワンセグ受信ユニットが待たれる。

 最後に推したいのが、ソニー密閉型インナーイヤーレシーバーMDR-EX90SL。時代はノイズキャンセルに進みつつあるが、こちらは純然たる定価一万円を超える高価なヘッドホンである。しかし単なるドンシャリに収まらない、出荷時一個ずつ仕上げたという音作りは必聴。唯一の弱点はカナル型のような、音漏れ対策が織り込まれていない点。しかし電車内等を除くアウトドアでは、高音質を提供してくれる。所詮聴くのはMP3だけどね。

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遊舟映画賞「クラッシュ」
Crash_1 2006年劇場で観た作品は三十一本(プラス一本)。観た時の印象が良くても、味わいの変わってくる作品も少なくない。例えば「ダ・ヴィンチ・コード」は本で楽しんだ直後に観たせいか、頭の中で映画の足らない部分を補完してしまったのだ。当時は面白く思えたのだが、今思うと随分とぞんざいな作りの映画だったと思う。エンターテイメントであっても、けっして心に残るような作品ではない。

 驚きのオスカー受賞となったが、やはり「クラッシュ」は優れた作品だ。同時期「ブロークバック・マウンテン」と比較されたが、けっしてその質は劣らない。今や時代の寵児となったポール・ハギスの仕掛けた毒、そして感動。アメリカの抱えた社会問題を時に冷たく、時に温かく見守った秀作。

 「ホテル・ルワンダ」は米公開からだいぶ遅れての日本上陸だったが、その衝撃ぶりに何も言葉は出なかった。そして何もできない自分に涙が流れた。ただその事実を知る事が大事。もちろん映画ゆえに事実との差は少なくないだろうが、そんな事など考えさせない力強さを秘めた作品。

 事実といえば「ユナイテッド93」を忘れてはならない。時期尚早といわれた9.11をテーマにした作品中、真っ先に公開された。映画的要素、劇的部分は全て廃し、スター俳優もおらず、実際現場に居た者までカメラの前に立った。リアル過ぎるものの、実際の恐怖を強く訴える。

 また「硫黄島からの手紙」も史実路線の一本。「父親たちの星条旗」との連作であったが、日本人である我々にはこちらのほうが重い。単なるタラレバや反戦でなく、また戦場における美学までも排除した。ただそこにある出来事を通して、国と国、すなわち人と人のの死闘を描いている。

 「ミュンヘン」もスピルバーグによる史実もの。スピルバーグらしいトリッキーなエピソードもあるが、「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」と異なり、全体的には彼独特のヒューマニズムが排除され、冷酷な殺し合いを積み重ねた作品となった。そして終わり無き戦いは今も続いている。

 「007/カジノロワイヤル」は久々のボンドシリーズ。「ミュンヘン」でも好演したダニエル・クレイグによるボンドが新しい。しかも原作タイトル、内容、アクション共々、原点回帰した力作。冒頭から走る、走る、釘づけとなるアクションが凄まじい。もちろん007らしい大味感も秘めている。ボンドの冷酷さを形成した大事なエピソード1。

 「スーパーマン・リターンズ」も英雄帰還な一作。オリジナルへのオマージュはオープニングロールに集約。それだけでなく、VFXとの融合も素晴らしい。シャトル救出の場面では手に汗握り、しかもその最後思わず嬉しくなるような演出が待っている。あまりのハマりっぷりに新星ブランドン・ラウスの行く末が気になる。

 邦画では「フラガール」。松雪泰子のなりっぷりとダンスの美しさ、大団円となるセンターのオープンでは圧巻のフラが待っている。また「ウォーターボーイズ」系と侮るなかれ。むしろこの作品は「プリティ・リーグ」であり、主人公たちの持つ背景が描かれてこその作品なのだから。蒼井優も松雪とガップリ四つの演技と踊りを魅せる。

 「武士の一分」は時期的にすべり込みとしよう。藤沢文学の両輪、寡黙で真摯な武士道、純粋な愛情を描いている。キムタクをミスキャストと断ずるのは安易。巨匠山田洋次とのコラボレーションは、今後の彼にとってプラスとなろう。けっして本作のキムタクは悪くなかった。強いて難点を挙げれば、物語の広がりが小品程度だった事か。

 「嫌われ松子の一生」は不幸と原作にないミュージカルの融合。箱庭的なCGもレベルが高く、まるで不幸な「フォレスト・ガンプ」のような作品に仕上がった。一度だけでなく、二度三度と観ていくと、妙に惹かれてしまう物語とストーリーテリングにハマる。海外出張時、再見した際にやっぱり面白かった。

 ワースト1はやはり圧勝で「Vフォー・ヴェンデッタ」に尽きる。哲学的とくれば、ウォシャウスキー兄弟(今では姉弟?かも)による製作。もう彼らの薀蓄(うんちく)はいいだろう。ビジュアル重視、しかも波のない物語に、睡魔よりも怒りを覚えるばかり。坊主になったナタリー・ポートマンの意義とは?無表情なV(あるいは誰が演じても同じV)、彼らの革命には付き合いたくない。早朝から観たオレの時間を返せ!とにかくつまらない一品。

2006年の個人的映画ベストテン
1:「クラッシュ」
2:「ホテル・ルワンダ」
3:3:「ユナイテッド93」
4:「硫黄島からの手紙」
5:「ミュンヘン」
6:「007/カジノロワイヤル」
7:「スーパーマン・リターンズ」
8:「フラガール」
9:「武士の一分」
10:「嫌われ松子の一生」
ワースト1:「Vフォー・ヴェンデッタ」

遊舟テレビ賞「結婚できない男」
Dysp0704 年末の特別番組編成の中、「結婚できない男」の再放送が放送されていた。既に春先の本放送、その時巷の評判は聞いていたが、連日観られる機会に一気に観る事ができた。そしてこれがやっぱり面白かった。独りヤモメの設計士桑野サン(阿部寛)を中心に、その『結婚できない理由』を描いていく。もちろんそれだけでなく、不器用ながら変わっていこうとする主人公の姿が、何とも微笑ましいコメディーだ。

 このドラマの見どころは何といっても、阿部寛のとても濃ーいー演技。独り者特有のこだわりを面白、そして真面目に演じている。時に『オレも解るよ』的なシーンも多く、感情移入してしまう。困った時はやたらネットで検索して解決したり、事件となった客船模型のスクリューの一件は、その一つといえる。ただこのドラマの桑野氏ほど、ボク本人は変人ではないけども。

 この作品が言いたいのは『結婚できない理由』=『変わり者』というわけでなく、結局は相手に心を開くか否かというシンプルなもの。意固地な独り者にとって、最終回で桑野サンのセリフ、「どうしてもっていうなら...」がなかなか言えないもの。人にとってモノへの執着より、最後は人との関わりが重要なのだ。そしてこの作品は大人向け「電車男」の雰囲気も漂う。この作品の中で描かれる機微にはニヤリとさせられる。

 また配役もいい。意中?の人となる女医の夏川結衣やお隣さん国仲涼子とのやり取り、犬のケンちゃん、さらに設計事務所のスタッフ、塚本高史と高島礼子、そしてその高島礼子実生活の旦那様、高知東生演じる建築家金田は箸休め的なキャラクターが可笑しかった。彼のHP上『ちょっと、いい友達ができました』での笑顔もいい(彼はトヨタ2000GTに乗ってるんだよね)。連チャンでこのドラマを楽しんだ分、細かな点に行き届いた作りを楽しむ事ができた。そんなわけでドラマ賞はこの作品にしたい。

講評と展望.
 今年、DVD賞、音楽賞、ゲーム賞を挙げる事ができなかった。その理由として、様々なコンテンツがHD化されつつある今、過渡期ゆえに注目できるものに出会えなかったのが本音だ。その全てに絡む形で登場したのがプレイステーション3。ソニーの浮沈に影響しうるコンテンツ母艦の登場。ライバル、ニンテンドーWiiとの違いが取り沙汰されるが、アプローチの違うゲーム機を同じ土俵に上げるのは論外。ただグリッドコンピューティング等、発売前に大風呂敷を広げていたPS3が、今やブルーレイ再生機としてAVマニアに売れているのは、少々皮肉なのかもしれない。

 相変わらずDSLite、Wiiとヒットを連発、任天堂の足許は磐石。ゲームはハイスペックよりもソフトの中身が命と消費者に訴えかける。もちろんプラスアルファ的な機能、DSならネットブラウザ、Wiiでの写真管理と忘れていない。明石家さんまと松岡修造のCMからも、そうしたWii本体の持つ面白さをアピールしていた。これからはWiiリモコンの優位性を生かしたソフト作り、DS並みのベストセラー登場が待たれる。まだサイは投げられたばかりだ。

 HD化の一方、いまだブラウン管で見る地上波アナログ放送。それが世間の実情だろう。たとえCMで草なぎクンが『ご理解下さい』と訴えようが、ウチの両親のように納得がいかない人も少なくない。HDだろうが、SDだろうが、観ているドラマの本質は変わらない。たとえ皺の数が数えられたとしてもね。これは前述にもある、世間のPS3に対する評価に同じ。そうでなければDSもWiiもここまでの評価は受けないだろう。しかし時代はHDへの道を進んでいる。

 半ば強引に国が施策を進めるより、ユーザーを動因するコンテンツ作りのほうが近道。たった一頭の競走馬の登場により、熱狂的なファンは凱旋門賞を観にフランスへ集い、NHKは地上波放送で生中継を実施。そして世間の人々はディープインパクトの名を覚え、ラストランに熱狂した。この流れはコンテンツ作りの成功例といえる。そして来年、同じ流れの北京オリンピックが開催、相当の盛り上がりをみせるだろう。心底感動を味わうため、五輪に向けてのハード、ソフト両方の準備が2007年の課題となるに違いない。(2007/01/20)

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2006/01/01

第7回遊舟ダイナミック大賞各賞発表

年始恒例「遊舟ダイナミック大賞」。筆者の独断と偏見で2005年を振り返ります。

まずはコラム:2005年総括、景気回復乗って乗り遅れて
 皆さん、あけましておめでとうございます。昨年の紅白は白が勝ちましたね。今年もよろしくお願いします。閑話休題...2005年、清水寺で書かれた今年の漢字は「愛」。そもそもは日本漢字能力検定協会が全国公募、その集計された一位が「愛」だったという事。別に清水寺の大僧侶が選んだ文字ではない。しかし本当に今年を代表する文字は「愛」だったのだろうか。愛・地球博を引き合いに出すには短絡的過ぎるし、卓球の福原愛ちゃんや女子ゴルフの宮里藍ちゃんらの名から採ったのなら、オジサンのダジャレ以下。女性天皇の渦中の女子、その騒動に起因したのなら、それは筆者の好みの話題ではない。反面教師、世間を騒がせた犯罪に愛が足らないとのたまう方もいるだろうが、それは愛でなく単純にモラルの欠如に他ならない。

 確かに政治は好景気の兆しに助けられた感がある。だが小泉劇場はパフォーマンスを武器に大衆の興味に入り込んだ反面、徐々に本当の腹の底を現しつつある。その第一弾、数々の増税案の中、愛煙家のため息聞こえてきそう(ただ何度も言うが、喫煙者が社会の弱者だとは思わない)。もちろんそれだけでなく、貧富の差を増長させる増税案。総理は在任中は増税しないというが、2006年9月以降の保証は無い。マスコミ共々、もっと先にできる事を追求するが、そんな事何処吹く風。なし崩し的に政策を進めているのが、大衆の選んだ現政権なのである。ただ他に選択肢は無いのだが。

 なお昨年のこのコラムでも景気復調の兆しを述べたが、今年はそれが本物だと裏付ける出来事が多く現れた。個人投資家、デイトレーダーの台頭。みずほ証券の株式売買ミスは世間を騒がせ、20億円もの利益をあげた個人投資家まで登場。その一方、セキュリティ問題を提唱する結果となった。いやそれよりも4月、JR西日本の福知山線で起きた列車事故、トドメは暮れの団欒に衝撃が走った耐震強度偽装問題。ゼネコンを台頭させる構図を作った民間への業務委託が、その間隙を作った。内容はどうあれ、そのすべてにシステムの抜け道が見えてきた。確かに国、民間との役割を見直すいい機会なのだが、その代償はあまりに大き過ぎた。好景気の兆しは財布のヒモを緩ませる一方、時に身の引き締まる一年だったと思う。こんな年、どうみても「愛」じゃないでしょう。

 さてそんな一年を過ごし、買ったものを挙げていくと、かなり自分への投資に代替するものばかりだった。車、パソコン、ケータイ、携帯デジタルオーディオプレーヤーなど等。その中に新三種の神器の薄型テレビは含まれていないが、地上デジタル放送が広範囲となった2005年ゆえ、いずれ買う事になりそう。コンテンツの録画方法だけが宙に浮いているが、話し合いでなく時間が解決する方向で進んでいる。だが如何に情報を選別し、その中から有益なものを得るかがカギとなっていく。それゆえに街のお店で買い物をする事は限りなく少なくなった2005年。筆者が興味を持ったモノたちとは...?

[各リンク先]
遊舟ダイナミック大賞
遊舟特別賞
遊舟映画賞
遊舟DVD賞
遊舟音楽賞
遊舟競馬賞
遊舟テレビ賞

講評.

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2005/10/24

無敗・三冠・菊花賞観戦弾丸ツアー無事終了&プチ京都見物

 昨日はとにかく無敗の三冠馬誕生に酔った。公言通りに前日から深夜、寝台特急に乗って京都入り。弾丸ツアーの理由は日帰りにあったが会社から一報が入り、翌日月曜の出勤が回避された(そもそも会社自体は休日)。完全な弾丸では無くなったが、ツアー前半の疲れは間違いなく弾丸級である。しかも明日は日の出前、早朝からお呼びが掛かるとあって、この日記を書き終えたら、気持ちはスリープモードに切り替えなければならない。とはいえ、あの興奮と感動を味わった後、疲れなんて何処かにすっ飛んでしまった感が強い。

 競馬観戦を終えた昨夜、宿を取ったホテルに移動。実は朝一番の新幹線で帰る事を想定して、事前に宿はとっておいたのだ。それから夕飯を食べようと散策。宿は三条付近だったが、どうせ京都に来たのだから和食でも食べましょうと歩くが、なかなかいい店が見つからない。確かに宿まではよかったが、食事までは想定の範囲外だった。結局、歩くだけ歩いて関西のわりに濃口の中華そばと焼めしを食べ、ビール中ビンを飲む。石和温泉でドンチャン騒ぎしているであろう同僚を思い浮かべつつ、一人だけの弾丸ツアーを楽しむ。

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  ディープインパクトは上がり33秒3[平均時速64.9キロ]

 ホテルに戻るとテレビで日本シリーズを観戦。第一戦に続きロッテの猛打が爆発。そして菊花賞の生観戦コラムを書き始めるが、体は正直に疲れからアルコールを受け入れ、ゲーム終了の頃にはそのまま爆睡。気がつけば翌朝、今朝の午前七時。もし事前の予定通り、朝一番で戻る事になっていたら、完全に遅刻であった。ホテルで簡単な朝食(込みで6,000円台とは安い)、それから観戦コラムの残りを書きつつ、近場に二条城があるので朝からプチ京都見物に切り替えた。

 二条城は1603年に徳川家康が造営。その後、大政奉還の舞台にもなった歴史的な建物、世界遺産である。歴史マニアでないので細かい事は分からないが、とにかく建物内部は古くもその作りは繊細。二の丸御殿内、古くから多くの人が歩んだであろう廊下で歩を進める。微妙に鳴く廊下が興味深い。そして城内、とにかく外国の観光客が多く、建物を前に写真を撮る人が多かった。なお当たり前だが内部は撮影禁止。その上、外であろうが三脚使用禁止には正直参った。

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           二条城、二の丸御殿


 実は今回の京都遠征は公には内緒、だって会社の旅行を蹴ってまでも...である。土産は両親にだけ、おかげで土産代は助かった。ひかり号に乗り、二時間の道中。バイオTの本領発揮。処理は速いし(バイオC1比)、何よりバッテリーの持ちは、その後喫茶店に持ち込んだ合計三時間を経てもやっと50%を切る程度。これなら予備のバッテリーは要らないかもしれない。やっぱり新しいパソコンはいいね。無敗の三冠馬誕生と、旅の余韻に浸りながら、明日に備えて早く寝ようっと。

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2005/09/30

だからバカに泣かされる

 大阪の銃発砲事件は全国に飛び火。連鎖的に一般道、高速道路で似た発砲事件に広がった。だが日本は銃を持つ事が禁止された国。それなのに...飛び火した事件の凶器はエアガンである。エアガンはプラスチックの球を圧縮空気、またはフロンガスを使って飛ばす遊具。もちろん玩具であるから、ある程度威力は制限されている。しかしスポーツ要素を持った面を持ち、機能と性能は玩具の域を超えていた。しかも改造されれば、殺傷はできぬとも、車のボディを軽々へこませる力を秘めている。

 今、エアガンを所有しているユーザーは歯がゆい思いをしていると思う。ほとんどのユーザーは人を打つなんてもってのほかと理解(防具をつけ遊ぶサバイバルゲームを除く)、制約を受けながら遊んできた。そんな中、今回の一連の事件で肩身の狭い思いをさせられている。かくいうボクもその一人。こんな時期に外へエアガンを手に持ってなんてできやしない。しかもある有力政治家は早くも規制と声を上げている。確かに危険を秘めてはいるが、ルールを守ればこんなに楽しい玩具はないのに。

 この事件に関与してトヨタ車も叩かれている。それは一部の車種、クラウンとアリストのユーザー。ちょうど犯人ともくされる人間が運転していた車だからだ。そして他愛の無い会話の中、周りからは「アンタがエアガンで撃ったんじゃないの」と揶揄される。もちろん揶揄された人が加害者である訳が無いのだが、冗談だろうがあたかも犯人のように話は進む。そんな事を言われれば、一日気分なんかいいはずがない。クラウンとアリストのユーザーはそんな固定観念を作られ、正直迷惑に思う。本当にご苦労さまである。

 たった一人のバカのために、そしてバカのマネをするバカのために、真面目にルールを守ってきた者がバカをみる。極論はバカにバカをさせないために規制を行なう事、それが予防になると社会は考える。例えばこの事件の犯人が捕まって、ある有名マンガや映画のソフトが原因だと販売禁止になったとしよう。結局、事件は規制を生み、そのしがらみは連鎖的に全ての楽しみ、自由を奪っていく。言い出せばキリが無い。だけどバカはそんな事がわからない。そして究極、犯罪者は全て死刑にする事。これなら嫌でも犯罪はしない。死に勝る罰は無いからだ。ただそれでも犯罪はなくならないのだろう。だからこそのバカなのだから。

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2005/09/29

第三の選択「Hアス」購入

 とうとう念願の車を買い替えた。昨日の昼まで乗っていたのは初代ホンダCR-V。その前が同じホンダのシティターボ2だった事、当時はRV車の流行始めだった頃など、あんまり車そのものの魅力で買った印象は無い。ただホンダ初の本格RVという触れ込みもあり、ホンダ車を扱っていた近所の中古店に、実車をみないまま即発注していた。ホンダライクなルックスに4WD、リアゲートにはタイヤが鎮座。ただ4WDとはいえFFベース、しかも後輪に負荷が掛からないと四駆にならない仕様だし、買った店からは雪道は気をつけてと言われる始末だった。

 しかし九年乗ったゆえ、悪い車ではなかったと思う。ただあまりにも没個性、乗った印象も可もなく不可もなく。燃費は悪くも無いが、そんなに良くも無い中途半端さ。自分本人が趣味性を尊うのに、車がそんな感じでというジレンマに陥っていた。だからこそ次は個性的な車を...と選んでいたのが、ミニとBMW1シリーズだった。両車共に外国車。選んだ理由、まずミニはルックライク・アストンマーチンDB5、すなわちシルバーでボンドカー風に乗りたかった。実際、結構雰囲気は似ている。BMWは前作までずばりボンドカーだったわけで、その血統たる1シリーズに魅力を感じていた。

 だが両車に欠けていたのは道具としての側面。その上、心惹かれる何かが足らなかった。ミニはゴーカートに乗っているようだし、BMWは非日常感が強い反面、毎日これを強いられるのかとそれが逆にデメリットと感じてしまった。そして車を替えたいと強い願望は、先日の外国車展覧会で第三の選択を引き出した。それがオペルアストラである。とにかくシートに座った瞬間、見事に堕ちた。外国車のフィーリング、同じ日にステアリングも握ったが、乗り味にも参ってしまった。先に挙げたうわべの欲求は完全に消失、一目惚れ状態である。

 納車となった昨日は友引。ディーラーで説明を受け、愛車となったHアス(アストラ2005年モデルの意味)に座る。オプションはほとんど付けず、CR-Vの下取りと決算時期の相乗効果でそこそこの値引きは得た。それでも結構な札束が羽をつけて飛んでいく訳で、その瞬間を目の当たりにした。実際、路上に出てみると、BMW1シリーズの乗る楽しみに加え、肩の力の抜けた印象を持っているアストラ。それでいてドイツ車特有の乗り味を有する。FF車でスポーツというと嫌われる面はあるだろうが、乗っていて楽しさが伝わってくる。実はこれが一番欲しかった要素だ。

 納車のこの日はそのまま三島大社へ向かい、安全祈祷をしてもらった。ドイツ車と寺社でうたわれる祝詞はミスマッチ。ただボクも安全を祈願し、神妙に接した。駐車場に留まる姿、客観的に見ても惚れ惚れするアストラ。帰りにハイオクを満タンにし、意気揚々にアクセルを吹かす。しかしこれだけ惚れたアストラも、問題点は少なくない。でも余りある魅力に問題は小さいものだし、これまで培った使いこなしで何とかなるはず。そんな点はこれから触れてゆきたい。

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        ボクのアストラです。

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2005/09/10

オイラの輸入車ショー歌

 今日は午後からは近所で始まった「第12回インポート・カーフェスタinぬまづ」なるイベントに行って来た。そろそろ車の替え時と、次なる相棒を輸入車に白羽の矢が立ったからだ。今のCR-Vは前に乗っていた同じホンダ、シティターボIIからの流れ。当時、世の中がRV車に傾き始めた頃、しかもリーズナブルな価格だった事も購入を後押しした。だがそんなCR-Vもレア度は低く、乗っていて優越感を感じる事は無くなった。また車検もあと一年弱という時期も絶妙で、スイッチするタイミングに差し掛かった気もする。

 今回、オブザーバーとして輸入車経験の高い盟友N氏と共に来場。とにかく輸入車に乗りまくってきた。主なところはBMW、フォルクスワーゲン、ベンツ、シトロエン、プジョー、ボルボ等など。もちろんインドア展示会なので実際に運転はできないが、それでもシートに座った印象、見切りや車両感覚はよく判る。とにかく感じる印象はメーカー間、あるいはグレード間で大きく異なっていた。数分シートに座って、ステアリングを握っての感想と感覚。しかもその感覚が、案外に試乗と直結する事を後で思い知らせる。

 実は目星をつけていた車が二つあった。一つはBMWの1シリーズ、もう一つはこのイベントに参加しなかったミニである。という事でまず速攻で1シリーズに座った。さすがは走りを主張するBMW。また同時に1シリーズのコンパクトさはシートから感じ取れた。ただこれはドライバーのための車。リアシートは硬く、4枚ドアはあくまで...の存在。でもまず走らせてみたいなと思わせるのは、ルックスとステアリングから伝わるアイデンティティーなのだろう。営業氏から説明と試乗の案内をもらって、後は個人的にメーカーの違いを楽しむ事にした。

 気になっていたミニは「ディーラーへ行くのが早い」とN氏の助言。善は急げと車を飛ばした。ショールームでミニのステアリングを握る。確かに1シリーズよりコンパクトで見切りは明らかに楽。ただ圧迫感はこちらが上。車両感覚は目線の違いはあるが、シティターボIIに近い。実際、試乗してもその点を彷彿とさせた。スピードを上げ、ハンドルを切った時の重み、そして突き上げる感触はスポーティ。でも何かが違う。営業氏の前では好印象を語ったが、本音は少し冷めていた。

 そしてディーラーを出た時、N氏の更なる助言が第三の選択を引き出すことになる。実は第三の選択とは今日のイベントの最後、試しに乗ってみようとシートに座った車だった。座った瞬間、ビビッと来た。とにかく「運転しやすそうだ」とは二人共通の感想。広さ、座り心地共に申し分ない。第三の選択となった車のディーラーへ出掛けた。そして試乗。シートで得た直感は現実のものであった。とにかく運転しやすい。しかも欲しいパワーは充分、アクセル通りに得る事ができる。恋はするものでなく、落ちるものとは巧い表現だが、この車に関してまさに「恋に落ちた状態」となった。さてカタログから現実となるのはいつになるだろうか。

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     果たして第三の選択とは?

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2005/08/30

映画を観なかった八月

 今月も残すところわずか一日。北海道へ出掛けたり、一方では15日連続出勤なんて嬉しくない記録まで作ってしまった(明日も出勤なので16日連続は確実)。と八月を振り返ってみると、何か足らないものがある事に気がつく。ボクといえば映画、夏休みといえば大作が多くて観に行く事が多い。しかし今年の夏、八月は違った。大作は七月中に全て観てしまっていたし、八月上映の映画に食指の動くものは無かった。特に「スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐」「宇宙戦争」の二大対決に影が薄くなってしまったのだろう。

 その上、夏休みは当然子供向け作品が多くなる。興行側からみれば観客の見込める子供向け作品にスクリーンを割いている。だが正直、観に行く年齢をとっくに過ぎてしまったので、これらも当然パス。しかも地方となればミニシアター系も対象とならない。結局、この八月一ヶ月間、劇場に足を向ける事は無かった。ここ数年、毎月一本以上は映画館へ通っていたが、その習慣もあっけなく途絶えてしまった事になる。

 映画館で観ないならば、ウチにはホームシアターがある。テレビで映画を観るのとは次元の違う世界だ。しかしホームシアターにおいても映画を観る事は無かった。メリットとしてホームシアターは身近にある気軽さが身上だが、部屋を暗くする、スクリーンを準備する、プロジェクターに灯を入れる等とたくさんの儀式を必要とする。何度か観る中、それが意外とハードルになっている事に気がついた。その点、プラズマテレビ等の大画面ディスプレイはより気軽さは増すだろうが、高嶺の花だし、今も映画はスクリーンとの相性が圧倒的だと思う。

 映画を観なかった八月。ソフトとハードから考察してみたが、実はそれだけが理由ではない。やはり時間が無かった事が最大の要因。北海道旅行、連勤、そしてその疲れ。映画となれば二時間続けてしっかり観たいし、疲れた日の夜はDVDへ手が伸びない。しかし残暑過ぎれば芸術の秋。生活にも落ち着きが出てくるだろう。その上、映画館の作品傾向も大人向けのものが多くなっていく。気になる作品も多いし、これからが映画鑑賞に力が入る季節かなと思う。

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   目下気になるのは「チャーリーとチョコレート工場」

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2005/08/24

生き残るためのフォーマット

 次世代光ディスクのブルーレイとHD DVDの規格統一交渉が、ほぼ決裂に終わりそうだ。年末にはパッケージソフトの第一弾タイトルが発売される事を考えれば、もうデッドラインを超えてしまった時期にあたる。お互いの窓口、ソニーと東芝は他事業で協力するも、次世代光ディスクに関しては、大人の事情で袂を分かつ事になってしまった。現在、現行記録型DVDはほぼ収束時期に入り、やっと二層記録式が出始めた矢先だが、スムーズな移行が求められる中で冷や水を差すような出来事となってしまった。

 二大フォーマットの対決はかつてのVHS対ベータ(ビデオテープ)、LD対VHD(ディスク)、8mm対VHS-C(ビデオカメラ)とあったように、この業界では定番となった戦いだ。統一によるウマミよりも、戦って勝利した時に生まれるメリットを優先する、それがこの業界の基本的な考え方である。稀にNECの発売したMVDISC(Multimedia Video DISC)フォーマットのような変り種も登場するが、それらは政治におけるミニ新党のようで、実際は一般への浸透に至らない。

 そしてその根底にあるのは「生き残るためのフォーマット」を模索する事。当事者にとってはまさに死活問題である。生き残るためには大きなものに巻かれるし、妥協もする。その違いが大同小異となりつつも、その小さな違いが当事者にとって重要と説く。そして主義主張を曲げようとすれば、やがて弾かれてしまう。そんな状況、どこかで見たことはないか。郵政民営化法案における賛成派と反対派、自民党内部の動向と似ている気がする。反対派の切捨ては、小泉総理の「生き残るためのフォーマット」の模索の末の出来事といえる。結果、反対派はミニ政党になっていった。

 二大政党制を説く民主党も、自民党に対するアンチフォーマットだが、大同小異な点は先の郵政民営化反対派とほとんど立場は変わらない。そもそも自民党やその他野党の人材が結集した「生き残るためのフォーマット」である。しかも結束でなく結集である点は見逃せない。だからこそいまだに意見のまとまらない、頼りない野党第一党のままなのである。いいモノ、いい政治をするには「生き残るためのフォーマット」から「喜ばれるフォーマット」への転換が必要。例えばパッケージソフト、現在のDVD-Videoは老若男女から大きな支持を得た事を省みると、できる限りの規格統一は不可欠。何事も同じ、モノ作りしかり、政治しかりなのである。

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         民主党はベータなのか?


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2005/08/05

まるごと手作りスピーカーの本

 今日の帰り、本屋に立ち寄ると「まるごと手作りスピーカーの本」なるものを見つけた。先月からの月刊誌「ステレオ」の特集といい、夏はスピーカー工作の季節。そんな時期に合わせたのか、学研の「大人の科学マガジン」のVol.8は何とスピーカー特集である。もちろん付録がつくのは言うまでも無い。スピーカー特集にスピーカーが付かないなんて...何とスピーカーが付録だった。しかもあのフォステクス製、7cmフルレンジスピーカーなのである。

 ただこの付録のスピーカー、ただものではない。単にユニットが付いてくるわけではなく、スピーカーユニットを組み立てるのである。コーン、キャップ、磁気回路、ダンパー&ボイスコイル、フレーム等、接着剤を使って組み立てていくのだ。確かにユニットをエンクロージャー(箱)にはめるだけでは、付録として内容的に物足らない。そこは「大人の科学」と名が付く通りに琴線に触れる作りである。ただ音はフォステクスブランドの折り紙付だが、仕上げは自己責任だという事を忘れてはならない。

 この本の内容だが、そんな手作りスピーカーの楽しみ、ポイントを押さえた入門篇に留まらない。何と8ページに渡って長岡鉄男さんの特集があった。ここでは「長岡鉄男の残したもの」と題し、長岡氏が辿ってきた人生、長岡イズムが語られている。もちろんバックロードホーンの名機「スワン」やホームシアター「方舟」も登場する。本格的な特集本に比べて充実度は劣るが、それでも長岡イズムの一端に触れている。また個性的な市販スピーカーの背景、さらにマトリックススピーカーまで少ないページ数ながら楽しい。

 さて家に帰ってから気がついたのだが、付いているスピーカーキットの事。賢明な方ならお分かりと思うが、一個しか用意されていない。すなわちモノラル仕様なのである。実は39ページ下にもこのように記述されている。「このスピーカーを使ってステレオにしたい等の場合は...」それでどうすればいいのだと読み進めていくと「もう1セット追加のご購入いただきますようお願いします」との事。お後がよろしいようで(苦笑)。

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2005/08/04

iTMSで音楽を買ってみた

 今日からAppleの音楽配信サイト「iTunes Music Store(iTMS)」が始まった。噂はかねてからあったものの、主要レーベルとの調整、使用料金、そして日本での本格的展開に時間が掛かったようで、今夏にやっとサービスの目処が立った。しかしソニー、ビクターといった内外にドル箱アーティストを持つ老舗レーベルは参加していない。特にソニーは競合するデジタルオーディオプレーヤーを発売している以上、黒船Appleに門戸を開く事は容易くない。とはいえ、早速数曲ダウンロードしてみた。

 購入、ダウンロードは簡単。しかも筆者のようなApple storeにアカウントを持つユーザーには、呆気ないほど簡単である。iTunesのミュージックストアから、希望の曲を検索。最初の購入時、Apple storeと同一のアカウントとパスワードを登録する事で全て終わり。一般のユーザーにとってもこのアカウント取得の山を越えれば、めでたくiTMSよこんにちはモード。もちろんiTunesは必須なのは言うまでも無い。ちなみにダウンロードファイル形式はAAC(Advanced Audio Codec)である。

 買ってみたのはアルバム「Live! III - 綾戸智絵 Meets 山下洋輔」。このアルバムはDVDオーディオというけったいなフォーマットで発売されているが、ファンの要望でDVDビデオで再発売された経緯がある。通常のCDアルバム形式では手に届かない作品ゆえ、思い切って買ってみた。楽曲はアルバム、一曲単位とどちらも選択できるが、アルバム単位で購入。価格はDVDオーディオ版の半分以下、13曲で1,500円。しかもショップまでの足代は必要ない。その上音質は皆さんの想像通り、可も不可も無く...である。iTunesやiPodで聴く限りは問題ないだろう。

 iTMSでは専用、オリジナルのコンテンツ、楽曲があり、参加するアーティストに興味があれば面白い存在。だがやはり二大巨人(ソニー、ビクター)がいないのは大きなハンデ。サザンオールスターズにオレンジレンジ、サンボマスターと今をときめくアーティストからビッグタイトルまでが網羅されていない。しかしCDコピーに消極的だったエイベックスがiTMSのメインレーベルというのは何とも皮肉な話。それに時間の問題、だってiTMS-Jは始まったばかり。黒船来襲、そしてスティーブ・ジョブス自らが動く意味とは。そう、もう扉はノックされたのですよ。

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2005/08/02

さらばメモリースティック

 実は一週間後に北海道旅行を計画している。三年前に道南から札幌のルートで牧場巡り、札幌競馬観戦というひとり旅を行なったが、今年も同じような計画を立ててみた。既に飛行機、宿泊先の手配は全て済んでいるのだが、それ以外の準備も必要。それ以外の準備とは、旅行の記録アイテムの事である。三年前ならサイバーショット、デジタルハンディカム、クリエと全てがメモリースティックスロットを持っていた。むしろメモリースティックに合わせて揃ってしまったといったほうが正しい。しかしクリエはこの七月いっぱいで生産中止、デジカメはサイバーショットというこだわりも無くなりつつある。しかもデジカメはキャノンのパワーショットに食指が動いた。そして今日、買ってしまった。

 メモリースティックを使ってるなぁと思うのは、せいぜいサイバーショットからの写真ファイルをパソコンに移す時くらいだ。またクリエでメモリースティックに書き込む事があったとしても、バックアップか、同じく写真の保存先に選ぶ程度。付属のアプリ「データインポート」を使ってしまえば、USBケーブル経由で情報は取り込める。そもそもクリエのメモリースティックスロットのカバーを開ける事はほとんどないと思う。保存以外の用途にはお呼びがないからだ。

 当初、メモリースティックは単なる記憶媒体だけでなく、様々な方向性が示唆されて登場した。ブルートゥースや無線LANユニット、テレビチューナー他、モックアップながらソニーらしい期待に溢れていた製品だった。しかし実際のメモリースティックは、ダウンサイジングと転送速度のマイナーチェンジばかりが続き、他のメモリーカードとの明確な差別化はできなかった。PSPだけが唯一強みを見出せる製品である一方、プレイステーション3がメディアを問わない作りになったのは注目される。

 今回デジカメを買い替えてみて、メディアにこだわって買う事は全く無かった。それはあっけないもの。他メディアならマルチスロットで対応できる時代だ。そもそもDVDファミリーに代表されるように互換差を埋める技術は何らか実現しており、今やフォーマットをダシにユーザーを引き込む事は難しい。メモリースティックだけでなく、ソニーの戦略の不味さは薄型テレビ、ハンデは取り戻したが携帯デジタルプレーヤーで実証済み。全て根幹技術、フォーマットの取捨で失敗してきた。そして今やデジカメでメモリースティックを採用するメーカーは、ソニー以外記憶に無い。

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2005/07/17

ボク流の映画の観方

 今週は映画館へ行かなかったので、ボク流の映画の見方について書いてみたい。まず映画は身近なエンターテイメントである。時に高壮で時に馬鹿馬鹿しく、しかも運が良ければ心に何かを遺してくれる。ただこの最後、「心に何かを遺す事は希」なのだが、出会えた喜びは代えられないもの。これは読書にも似ている。ただ読書は作者と読者の想像力の戦いであるのに対し、映画はその間を監督や脚本家が受け持つ。もちろん読者の想像通りに進む場合もあれば、全くの期待外れというケースも少なくない。たとえ原作が傑作であろうが、監督が名匠だろうが、脚本が全てだと思う。

 これは映画オリジナル脚本の作品にも当てはまるだろう。脚本以上に面白さを伝える事はまずあり得ない。ボクは映画評価する上、まず第一に脚本の出来不出来が大きなウェイトを占めている。大体、冒頭数十分観ていればその点は判る。その上で初めて監督の演出、さらに俳優の演技等に目が行き始める。そこで監督が何を言いたいのか、しっかりとしたテーマは不可欠である。もちろん俳優が大根だったとしても、ある程度まで我慢はするが、評価は落ちるだろう。

 だが意外に見逃せないのがコストパフォーマンスだと思う。日本公開の映画ほぼ全てに当てはまるが、ハリウッド大作、期待作は沢山のお金がかかっている。VFXに対するウェイト、そればかりに力を入れ過ぎた物語も少なくない。結果、こけおどしに走った作品をいくつも観てきている。そして非常に失敗作となる可能性が高い。最近はVFXの進歩=コストとならなくなったせいか、実は日本映画にその傾向が強い。実際、そう思うと思い当たる作品もあるだろう。第一印象、金掛けた作品に辛くなるのは当然の経緯である。

 だが実は一番大事なのが、映画を観る時の体調なのだと思う。ボクが朝から映画を観るのはその点を優先するからだ。実は体調次第で観た映画の心象は変わってくる。大敵は眠気、寝不足。行列のできるラーメン屋さんへ行くと「体調で味が変わる」と壁に書かれている事があるが、その点に相通じる。ただ人によって体調のピークは違うので、そこは配慮されたし。例え面白い作品も眠気でウトウト、感動2割減ではせっかくの劇場鑑賞も台無しは控えたい。

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2005/07/16

ドラマ版「電車男」第二回を観る

 今朝、録ってあったドラマ版「電車男」第二話を観た。正直、朝から観ていて思わずウケた。このドラマのノリ、何度も言うが、午後10時プライムタイムに似つかわない。しかもウケ狙いな演出も多く、そこがどうもこのドラマの取捨を決めるみたいだが、ラブコメディと割り切ればなんて事は無い。ただ主人公がオタなだけだ。通常のドラマならオフビートに用いられるオタの描写を、真逆に取り扱ったところがこのドラマのキモにもなっている。元々パロディ色の強い作品だから、実は映画のパロディも多い。

 第二話で使われた映画、冒頭から挙げていくと「ゴースト」「スターウォーズ」「ザ・ロック」「プリティ・ウーマン」等など。またセリフの中には「ラストサムライ」まで登場する。例えば「プリティ・ウーマン」はイイ男へ変身する流れというように、その使い方もそれぞれの映画の印象的な扱いをモチーフにしている。ただ「ザ・ロック」については音楽のイメージを利用しているだけだけど、ただ最近流行の『ありえねぇー展開』にはマッチしていた。また「ベイダーのテーマ」はそのタイミングが絶妙。朝からその瞬間、爆笑してしまった。まぁそれに限らず、ディテールのこだわり、解れば解るほど深いのは、エンドロールのタイアップ数で知れよう。

 そしてあまり関係ないが、冒頭はショッカーが登場し、80年代を代表するドラマ「毎度おさわがせします」のCCB「ロマンティックが止まらない」で締めていた。確かにプライムタイムに似つかわないが、まるでかつてのTBS火曜夜9時や同水曜劇場を彷彿とさせ、フジのアイドル起用が目立った時期のドラマとその作りはラップしている。そう思わせるほど、このドラマの作りは青春モノやラブコメの王道を行っていると思う。作りが古いと言われては仕方ないが、そのテンポがこれを補っている。

 ちなみにこのドラマ、二話まで見て気がついたが、ネット社会に対する説明は一切無い。それが当たり前に感じるボクらにとっては想定の範囲内だが、2ちゃんねるやネットのやり取りの知識が皆無な人には何が何だか解らないかもしれない。従来の視聴者層が何処までついて来れるかがカギ。セリフの端々の言葉、用語に反応できるかだ。だが第一回の視聴率が18%を超える事実からも、そんな心配は無用なのだろう。社会の変化に視聴者も変化する。その現象の最たるがこの「電車男」なのだから。

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キレイに例えると男版プリティ・ウーマンって事?

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2005/07/07

あれから五年...「スピーカー工作の愉しみ」に思う

 本屋で立ち読みしていたところ、「STEREO」誌に目がいった。考えてみれば七月号の時期、スピーカー工作の特集の頃合いである。いつもなら毎年言われなくとも気がついて、スピーカー工作の特集の号を買っていくのだが、今年は発売から半月経ってやっと気がついた次第。特に我が心の師、長岡鉄男さんが亡くなって以降、「STEREO」誌を読む事が少なくなった。この間「FMファン」も無くなった。そう、亡くなってから五年経っていた事に気がついた。

 「スピーカー工作の愉しみ」は長岡さんに教えてもらったようなものだ。コンポを組む上で音の出口はスピーカー。実はオーディオを始めて、最も混迷を極めたのがスピーカー選びだった。約十五年前、初めて買ったのがパイオニアのS-55TWIN。まだその頃スピーカーというと598と呼ばれる価格帯、ドンシャリな音作りがウケていた頃だった。そんな中、S-55TWINは『音場感と定位』を武器に、バーチカルツインという形を定着させた。

 だがその『音場感と定位』ってヤツがクセモノだった。それ以前に理解する知識と経験が無く、正直その言葉をよく判っていなかった。間もなくサブに同じパイオニアのS-101Customを買ったのもそのため。だが今思えばそれを実感するのに、あまりにも部屋がヤワ過ぎた。部屋もオーディオの重要なコンポーネントの一つなのだが、ヤワな部屋の支配力がスピーカーの音場感を上回り、十分な効果を得るに至らなかったという事。音とは、スピーカーとは何か、迷走していた時期だった。

 そんな時に出会ったのが長岡さん設計のD-101aスワン。自作スピーカーの世界は知っていたが、メーカー製とは違う世界に疑問を持っていた。頭の中ではメーカー製=優秀、自作=やや落ちるという思い込みが占めていた。でも『見る前に跳べ』と父の手を借りて作る事になる。そして音を出した瞬間、目から鱗が落ちた。小径ユニットから出る音とは思えない音。部屋に勝つ、スピーカーの持つ支配力を初めて思い知った。その後、自作スピーカーの魅力にハマり、今のスーパースワンに至っている。

 そしてあの日から五年経った。スピーカー工作も久しくやっていない。いやそれ以上に取り組むビジュアルもオーディオも迷走している。いやそればかりか、自分のありとあらゆる出来事に迷走している。昔は困った時に長岡さんの激辛コラムがあった。オーディオばかりでなく、世間を見つめる冷静な視点と言葉。心のカンフル剤、とても刺激になった。実は部屋の奥、買ってあるフォステクスのスピーカーユニットが眠っている。今年の夏こそは久しぶりにスピーカー工作をしようか。スピーカーに限らず、モノ作りをしていると無心になれる。今、最も必要なのはそんな時間かもしれない。

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