2026/09/11

「オデュッセイア」【IMAXレーザー字幕】を観る

今夜はクリストファー・ノーラン監督最新作「オデュッセイア」を【IMAXレーザー字幕】で観てきました。ノーラン監督といえばIMAX標準、しかも史上初長編映画として全編IMAXフィルムカメラによる作品です。ちなみに最上級のフィルム版上映は世界で40館弱ですが、日本はゼロ。IMAXレーザーでもその凄みの一端は感じられるでしょう。

ただ一つ不安だったのが、一週間の先行上映でIMAXポスターが全数捌けてしまうのでは?ということ。同じく先行上映があった「Michael/マイケル」では完全にしてやられましたから。でもこの作品は初日にちゃんと貰えましたよ。

さて作品自体のほうに話を移します。「オデュッセイア」とは古代ギリシャの詩人ホメロスによる最高峰の叙事詩。トロイア戦争、トロイの木馬、さらに神々や怪物たちによって物語が紡がれていきます。その中心にいるのがイタケの王、オデュッセウスです。

ギリシャ神話に疎い私はネットで基礎知識を入れて臨みました。もし何も知らない方なら、googleに”オデュッセイア ギリシャ神話 観る上で参考になる話”と入力して検索すると良いと思います。10数分で十分に対応できました。全編で触れられているゼウスの掟は重要。また神々は皆、名乗りを上げないので先に知っていたほうが話が頭に入り易いです。

ちなみに映画「ちいかわ」の元ネタ、セイレーンもギリシャ神話の怪物で本作に登場しています。

二度三度普通に観ることが多いノーラン作品ながら、SFものでない彼の作品は苦手です。史実物「オッペンハイマー」はIMAXで観た一度だし、戦争映画「ダンケルク」は個人的にイマイチでした。ただ本作は事前準備したことも功を奏したこと、そもそも「オデュッセイア」はファンタジー。ノーラン作品の中でケレン味は強めで面白かったです。

まず戦記ものとしてリアリティの凄み。実物大で作られた船、船上での描写や剣と矢中心のアクション、特に大男のレストリュゴン族による襲撃には圧倒されました。ポセイドンの息子で巨人キュクロプスの描写も映像的に進化が伺える上、世界観にマッチした見せ方も巧かったと思います。

物語はオデュッセイアの冒険譚と同時に、彼のイタケへの帰還が描かれます。これまでのノーラン作品でのマット・デイモンは損な役回りでしたが、本作では知的で強い王を見事に演じていました。10年に渡る冒険は彼を待つ王妃にもある事態が生じます。この辺の事情も予習しておいたほうがいいかもしれません。

アン・ハサウェイやトム・ホランド、ロバート・パティンソン、シャーリーズ・セロンら豪華キャストの中、個人的なイチオシは当然、盲目の豚飼いエウマイオスを演じたジョン・レグイザモですね。名バイプレイヤーの彼がこの大作で存在感を発揮していました。オスカーあるかもしれません。

とにかく全編見どころだらけの作品でした。ノーラン監督、いよいよ次こそは映画版「プリズナーNo.6」をお願いします。

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2026/09/10

「シェルター」を観る

今夜はジェイソン・ステイサム主演の「シェルター」を観てきました。元MI6のエリート諜報員だった主人公メイソンがMI6の裏組織から命を狙われるアクション映画です。同時に彼との出会いから一緒に逃走する少女ジェシーの物語でもあります。その点でいけば、若干「レオン」、いや「イコライザー」風味かもしれません。

ちょうど「上柳昌彦あさぼらけ」で上ちゃんが面白かったと言っていたので、ちょうどいい上映時間をサービスデーで狙っていました。実際、この映画は当たりのステイサム映画だと思います。実は何気にクチコミで避けてきた結果か、彼の作品の中でハズレを引いたことはないのです。

さて当たりといっても序盤はエンジンが掛かりません。理由はメイソンが組織から離れた人間だから。彼の住む灯台へやってきたジェシーを冷たく突き放します。ただある事故、交流を経てメイソンの人間性が出てくる頃には怒涛のアクションと共に惹き込まれていました。スピーディーで見応えのある殺陣も素晴らしいです。

この作品は「エンド・オブ・ステイツ」を撮ったスタントマン出身のリック・ローマン・ウォー監督と聞いて納得。アクションの見せ場のバランスがいいんです。序盤の逃走劇は「ボーン・アイデンティティー」を思わせる牧歌的な中で殺伐とした描写が繰り広げられます。その直後のカーアクションも迫力があり、圧倒されました。

逃走劇はさらに大都市へ向かうとこれまた別の様相を見せてくれます。ステイサムのアクション共々、最後までそのテンポの緩急で魅了されました。単なるアクション作に留まらないのはメイソンとジェシーの心の交流が響いてくるからでしょう。ステイサム自身も製作に関わっており、物語の余韻から続編が出てくるかもしれませんね。

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2026/09/07

「白鳥とコウモリ」を観る

僅かな休憩のあとに今日の2本目は松村北斗、今田美桜共演の「白鳥とコウモリ」を観ました。先日亡くなった東野圭吾原作のヒューマンミステリー。2016年に起きた弁護士殺害事件の被害者の娘と容疑者の息子はその供述に違和感を持ち始め、やがて1984年のある殺人事件に意外な接点が生まれていきます。

「白鳥とコウモリ」の意味は最後まで観れば”推して知るべし”です。被害者家族、容疑者家族の立場を現代的に描いていきます。メディア、SNS等、伝播の速さはいうまでもなく、容疑者家族が追い込まれていくさま。その後の展開、事態の難しさはヒューマニズムを含め東野圭吾らしい描き方だったと思います。

対象的に1984年の事件はネット上で知れるものの、実態は風化の一途。聞き込む中、登場する地元民(エキストラかわからない位)が凄かったです。特に「地面師たち」でブレイクした五頭岳夫はその表情にタバコの吸い具合といい、エンドロールでやっと存在を気づくくらい完全に地元と同化していました。

ただ原作(未読)の持ち味なのか、演出なのか、解せない部分は色々あります。弁護士殺害に至る真の動機が最後に浮いてしまっていたことも大きな理由です。解決編がやや丁寧過ぎたのも気になりました。ひと昔前なら2時間ドラマになった話だと思います。それでも松村北斗(毎作、彼の演技具合がいい)、今田美桜(瞳に吸い込まれてしまいます)の存在感ある演技で最後まで集中し観ることができました。

なお二人の対峙のあとのブラックバックして間もなく、正直面食らいました。それは大森元貴書き下ろしの主題歌のことです。曲調がやや激しくこの作品の雰囲気に合わない気がしました。Mrs. GREEN APPLEのファンの方には悪いですが、エンドロールは二人のセリフの余韻に浸り、静かに終わって欲しかったです。

追伸.
この映画は日本テレビ製作ですが、冒頭で日テレロゴが出たあとにわらべのヒット曲「もしも明日が…。」流れてちょっとコケました。何故かというと世代だから判る、わらべといえば「欽どこ」(欽ちゃんのどこまでやるの!)の劇中歌でテレビ朝日の番組発だからです。ただわらべはこの曲で日テレの「ザ・トップテン」には出演していましたからアリといえばアリなのですが…

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「開戦前夜」を観る

今日のために休みを取っていたのですは、勿体ないので映画を2本観てきました。1本目は「開戦前夜」です。実在した「総力戦研究所」を描いた史実ドラマ。冒頭である登場人物に対する描写に対し、エクスキューズが付いてましたが、その誰かはすぐに察しがつきました。ただその描写を差し引いても当時の世論の向く先は決まっていた気がします。

先日観た「日本のいちばん長い日」が第二次大戦の終わりを、本作はタイトルの通りに日米開戦の始まりを描いています。それぞれに原作や製作上の思惑があってか、東条の人物像に違いがあるところが興味深いです。ただ開戦と終戦時で明らかに社会事情は異なるものの、既に戦況は芳しく無く敗戦必至の実情に大差はありません。突き動かすものは感情だけなのです。

冷静に国力、戦況を分析していく総力戦研究所の面々。今もロシアによるウクライナ侵攻、米とイスラエルによるイラン情勢が今も続きますが、短期決戦で終わる戦争はありません。「必ず戦争は長期化する」という分析は資源のない日本にとって何を言い表すか、例え資源国を占領してもその先を数字で論破していきます。ことあれば”大和魂”という言葉が虚しいです。

もちろんロシアやアメリカは今般の戦争に際し、同様のシミュレーションは行っているでしょう。想定内の結果なのか?結局、為政者の思惑一つで方向性は決まってしまいます。この映画でいけば当時の内閣(近衛、東条共)は国民感情と軍部事情で退路を断たれたゆえの顛末と描かれています。また陸軍の士気は「日本のいちばん長い日」の頃と明らかに違います。

またこの作品では軍の中で少なからず反戦を心に秘める人たちも出てきます。ただ彼らは本意を表に出せず、総力戦研究所に全てを委ねるのです。開戦を前にした4ヶ月前、本当の内閣を前に彼らはどのような結論を示したのか。我々はその後の結果、敗戦の事実を知っています。そんな数字で始まるドラマは重い数字でまとめられていきます。

逆に日米開戦を止めていたらどんな日本に?「高い城の男」のようになったのか、または別の世界線なのか、それだけでなく戦争というものを色々と考えさせられました。豪華なキャスト陣もあって必見の力作だと思います。

追伸.
大河ドラマ「豊臣兄弟」が主従を入れ替え、猿だった池松壮亮が静かに東条たちと対峙していきます。逆に仲野太賀は「豊臣兄弟」よりもやや明るめ、大河ドラマ同様にお父さんの中野英雄も本作に出演していました。

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2026/09/05

午前十時の映画祭16「許されざる者(1992年版)」を観る

今日は午前十時の映画祭16「許されざる者(1992年版)」を観てきました。クリント・イーストウッド監督、主演の第65回米アカデミー賞作品賞、監督賞他計4部門を受賞した作品です。イーストウッドの出演作は結構観ているつもりなのですが、実は見落としていた作品で、午前十時の映画祭のラインナップが出て心待ちしていました。イーストウッドがドン・シーゲル、セルジオ・レオーネ両監督に捧げた、実に渋い西部劇です。

賞金首のカウボーイ2人をある誘いから追うことになる老ガンマンをイーストウッドが演じます。その相棒にモーガン・フリーマン、対峙する保安官にジーン・ハックマン、さらにイギリス出身のガンマンにリチャード・ハリスと昭和の洋画ファンには堪らないキャスティングです。ちなみにハックマンはこの作品で助演男優賞を受賞しています。

冒頭で夕日をバックに流れるメインテーマ曲が渋い。Wikiによるとイーストウッドが手掛けた曲らしいですが、確かに彼が手掛けてきた監督作(作曲クレジットありの時)と共通する作風です。妻との出会いで殺しの第一線から離れた男が残された子供たちとの貧しい生活のためにもう一度銃を持つことになります。馬に乗り込む姿を見ると大丈夫?と不安になりますね。

当時62才だったイーストウッド。彼にとって”最後の西部劇”と銘打っただけにかつての作品群と一線を画す、単なる勧善懲悪に終わらない持ち味の一作です。登場人物それぞれに理由を持っていますが、娼婦を傷つけた男と手打ちを進めた保安官に理不尽さを感じさせます。特にハックマン演じる保安官の狡猾さは台詞の端々に表れてきます。彼には珍しい悪役ぶりです。

イーストウッド演じる主人公も絶対的正義の存在ではなく、女性や子供を殺した過去があります。ただ家族を持った今、亡き妻への想いを秘めて理不尽な者、友への復讐を果たす物語です。その扱いは実にストレートであり、終幕も呆気なく感じました。ただ帯同するキッドや銃を手におののくネッドを通し、アウトロー時代の終焉も感じ取れた名作です。

追伸.
「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」(以下BTTF3)に出てきた機関車、客車が登場し興奮しました。時代考証からすれば当然です。しかしながらBTTF3のほうが先に公開(1990年)されていたんですよね。本作でイーストウッドは列車、機関車のショットを印象的に撮っていました。暗がり、バーのシーンも然り。ファンサービスであると同時に彼がBTTF3を気に入っている証拠ですね。

ちなみに午前十時の映画祭16でラインナップされた「許されざる者(1960年版)」とは物語、登場人物共に一切関係性はありません。

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2026/09/03

「私はあなたを知らない、」を観る

今夜は「私はあなたを知らない、」を観てきました。坂口健太郎主演、「兄を持ち運べるサイズに」の中野量太監督オリジナル脚本による作品。工場で働く契約社員の夕平と新入社員紗月との出会い、そして母を亡くした朝子の運命が交錯する人間ドラマ。ニッポン放送「上柳昌彦あさぼらけ」で「時には懺悔を」と共に採り上げられた作品でもあります。

「時には懺悔を」も素晴らしい作品でしたが、個人的にはこの作品のほうが刺さりました。「時には懺悔を」同様、家族がテーマの一つに挙げられますが、ややアプローチが違います。男女間の結婚観の違い、夕平の純粋さとその行く先、彼の目前であの言葉を聞いた時の昂りは感情移入なしに観られませんでした。それは危険な想いなのかもしれませんが。

何故なら他人事に思えなかったです。まず恋愛から結婚へシフトした時、当然経済力は求められます。それだけでなく二人の間で自己犠牲や様々な難題を乗り越えていかなければなりません。ただその関係性が終幕に向かうと急激な温度差が生まれます。この作品で痛烈に感じたのはその温度差の経過です。失う側へのシンパシーしかありませんでした。

そんな夕平の純粋さは危うさとの絶妙なバランスで坂口健太郎は見事に演じていました。また堀田真由演じる紗月も魅力的にかつ結婚への現実的な側面を体現。楽しい作品ではありませんが、二人の演技から家族、親子、子育てと改めて考えさせられました。朝子を演じた早瀬憩、倉田瑛茉も良かったです。

「あさぼらけ」の紹介はありましたが、それ以外の情報を聞かずに鑑賞も本当に観てよかったと思います。中野量太監督のストーリーテリングも見事でした。なお大好きなバイプレイヤーである渡辺真起子、滝藤賢一らが脇を固めています。「青春の殺人者」の原田美枝子がおばあちゃん役というのも隔世の感ですね。観た回の観客は私一人だったのですが、もっと評価されていい作品です。

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2026/08/29

「左利きの少女」を観る

盟友N氏と昼食後、再び伊東市の金星シネマで「左利きの少女」を観ました。昨年米アカデミー賞を受賞した「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカー監督が脚本・編集・製作で参加した台湾、英米仏合作映画です。ただ最後まで観ると非常に彼らしい持ち味を感じる女性映画に仕上がっています。

故郷に帰り、台北の夜屋台通りで麺屋を営む母シューフェンと二人の娘イージンとイーアン。ただ多額の借金の上、さらに店の賃料を滞納し生活は苦しかった。姉のイーアンはバイト、残された幼い妹のイージンは祖父に指摘された”左利き”に罪悪感を持つようになってしまうですが….

独特の画角、カメラワークと相まって台北の夜の街並みがカラフル、非常に美しい作品。鑑賞中に気付いていたのですが、やはりiPhoneを駆使した撮影だったようです。さらに「左利きの少女」イージン役のニーナ・イエの可愛さ(スキャンダルで謹慎中の日本人女優を想起させました)が画面を引き立てます。

中盤まで雑な編集(謎のシーン挿入とか)がありますが、あるエピソードに向けての伏線。邦画でも撮影は外国人という場合はありますが、編集する上でセリフも大事。テンポの良い会話劇に加え、そもそも中国語の作品をアメリカ人のショーン・ベイカーが編集する自体、実は凄いことだと思います。

女性映画と称しましたが、男の愚かさの一方で女性の強さを感じる作品です。イージンを陥れる祖父の言葉、イーアンを巡る運命とか。最後まで観ると二人乗りの原チャリ、一軒一軒謝りに行く件とかもだいぶ意味が変わってきますね。きっと別の見え方をするのだと思います。いずれ改めて観てみたいですね。

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「枯れ葉」を観る

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今日は盟友N氏と伊東市の金星シネマで「枯れ葉」を観てきました。「過去のない男」で知られるフィンランドのアキ・カウリスマキ監督による2023年公開の作品です。昨年、ピーター・バラカンさんのラジオ番組でも採り上げられていたと記憶してますが、やっと映画館で観ることができました。

物語は理不尽な理由で失職したアンサと酒を手放せないホラッパの出会い、その不器用な恋愛模様を描いた大人のラブストーリーです。昔、「過去のない男」を観ていますが、同様に独特の間(ま)で作られて一歩間違えればコント、ただそこを絶妙な持ち味にしています。

本作や「過去のない男」だけでなく、荻上直子監督の「かもめ食堂」も絶妙な会話の間を感じましたが、フィンランドを描くドラマ独特のもの。一方で初期の北野武作品に近い印象もあり、実はフィンランドと日本の文化は何処かで似通っているのかもしれません。

アンサのブレなさ、実直さ、それでいて寂しさを醸します。同様にホラッパの救いの無さ、一方で一途なところが微笑ましいです。アンナがホラッパを手料理でもてなすエピソードは料理の残り具合とか、食前酒の件とか、二人の間の化学反応が垣間見えます。果たして二人の行く先は…

一見、他愛のない物語なのですが、素朴なエピソードとユーモアの積み重ねが愛くるしいです。まして年増のアンサとホラッパの何処か頑固で不器用ぶりについ感情移入してしまいました。中年男には堪らないです。また監督のウクライナへの思い、今その瞬間まで垣間見えたり。一方でカラオケや演奏楽曲も面白かったです。またパブの壁面や映画館のポスターに目が行ったり、映画ファンとして全編興味深い作品でした。

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追伸.
今回も中華紅牡丹さんで昼食、日替わり定食を選びました。酸辣湯麺(スーラータンメン)に春巻、さらにいつもデザート(マンゴープリンか杏仁豆腐)。何気に前回食べた旨辛麻婆豆腐よりも辛いかもしれません。ただ感じた辛さの数は旨辛麻婆程で無かったです。またスープがあんかけ風で熱が下り難いのも辛みを強めたのでしょう。なので最終的にはスープまで飲み干してしまいました。

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2026/08/28

「時には懺悔を」を観る

今夜は「下妻物語」「告白」等で知られる中島哲也監督の最新作「時には懺悔を」を観てきました。1990年代を舞台に西島秀俊、満島ひかり、役所広司ら主役級の俳優が大挙出演する人間ドラマ。ある探偵が殺された事件を追う同業の佐竹、そして浮かび上がる人物と背景とが描かれていきます。

物語は登場人物たちの現在と過去を錯綜させつつ、徐々に真実が明らかになっていく作りです。西島演じる佐竹を始め、何処かに影を持つ登場人物たち。劇中の彼らの親子関係を通して血の繋がりや子育て、家族の形を問い掛けます。

しかも劇中に登場する子供たちは実際に重い障がいを持ち、彼らも物語の中心に居ます。綺麗ごとで済むはずもなく、関係性のリアルさも伝わります。中でも新くんの表情に嘘はなく、しかも彼を育てる哲夫、演じるクドカンが非常にいい味を出していました。

ただ前半は解り難い部分が多く、かつ敢えて不親切な構成で惑わされている感じがします。だからこそクドカンが登場する中盤から物語が核心に進むことで一気に惹き込まれていきました。西島演じる佐竹、満島演じる聡子も子を持つ親であり、様々なシンパシーを生んでいくことになります。

それぞれの親子の形、今の自分の立場から思うところは色々あります。ただどんな形であれ、切っても切れないものをこの作品は描こうとしているのだと思います。そのせいか、淋しく映る家屋のラストシーンが印象的でした。

追伸.
過去イチの演技を魅せるクドカンですが、風貌といい、着ているものといい、個人的には劇中ずっと押井守監督と見間違える程にソックリでした。居酒屋の件は心底楽しそうでしたね。だからこそ対象的なエピソードが光りました。

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2026/08/23

「原田眞人映画祭」@沼津市民文化センターへ行く

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今日は盟友N氏と沼津市民文化センターで行われた「原田眞人映画祭」へ行ってきました。2025年に亡くなった映画監督原田眞人さんを作品を通して偲ぶイベントです。原田監督は沼津市出身であり、地元を愛すだけでなく、その作品の中でも息づいていました。今回、沼津のフィルムコミッション、ハリプロさん主宰でこのイベントが開催されました。

作品は第1部「BAD LANDS」、第2部「日本のいちばん長い日」を上映。また出演俳優である大場泰正さん、戸塚祥太さん(A.B.C-Z)、そして御子息であり編集に携わる原田遊人さんによるトークショーと盛り沢山でした。遊人さん曰く原田家新年会に呼ばれる監督に認められた二人ということです。

原田監督が舞台出身の大場さんとの出会いに翻訳劇への酷評が興味深かったです。何せキューブリックに日本語訳を認められた原田監督ですから、(あくまで想像ですが)その翻訳に言葉や文化の根幹に感じた違和感を正直に言ったのでしょう。トーク中の話題にもあった「日本のいちばん長い日」森陸軍中将を説得する大場さん演じる井田の鬼気迫る表情は作中で印象に残りました。

戸塚さんも同じ「日本のいちばん長い日」での登場シーン、さらに撮影初日のエピソードトーク。セリフに集中したあまり、固まってしまったこと。大場さんと同じ舞台の多い戸塚さんも初めての映像作品、しかも原田作品の撮影スタイルに圧倒されたそうです。また遊人さん曰く50メートル先に話すように間近で話す(怒る)監督も原田組の特徴らしいです。

原田監督は「日本のいちばん長い日」以降、原田監督の作品の常連となり、「BAD LANDS」でも”教授”役で出演。異なる作品とキャスティングを遊人さんは小津安二郎監督の作品出演者になぞらえてお話されていました。例え異なる作品であっても何処かに過去作との関連性を与えているのだと。

一方で戸塚さんはスケジュールの関係で原田作品一作のみとなりましたが、実現に至らなかったマネージャーに恨み節も(苦笑)。遊人さん曰く原田作品22作への関わり(出演を含めて)の中で「おニャン子・ザ・ムービー 危機イッパツ!」で関根勤さんとの対峙、幼少期ながらしっかりとしたセリフを挙げていましたね。ちょっと観たいな。日本映画専門チャンネルでの録画が残っているのかも。

さて映画のほうの話へ。2作とも未見です。ただし「日本のいちばん長い日」は岡本喜八版を遠い昔、テレビで観た記憶がありますが、内容はほぼ覚えていません。第1部「BAD LANDS」ですが、2023年公開の原田監督の最終作。大阪を舞台に特殊詐欺組織と過去の因縁と対決していく主人公の姿を追う犯罪映画です。

主人公のネリを演じたのは安藤サクラ。犯罪に手を染めた彼女の過去が痛々しいです。父親、元カレ(?)と何やってるんだと思わせる人たち。組織の頂点と社会の底辺の人々の対比、とことん描写した裏社会。ある意味「KAMIKAZE TAXI」系の犯罪作と言えるかもしれません。

143分の作品ですが、原田作品の特徴でもある緩急あって最後まで見応えがありました。そして本作の見どころは安藤サクラの演技だと思います。主人公の運命、陵辱に耐えうる表現力、それを具体化する演技。男の映画と称される原田作品ですが、「わが母の記」以降、それだけではないことがわかります。

この作品で出色は盟友N氏と同意見で曼荼羅役の宇崎竜童ですね。主人公の後見人として関わった男の生きざま。序盤は弱々しく、しかし後半以降はかつての男の強さを見せつけます。特に俳優の持つ背景までこの作品の力にしている気がします。安藤サクラ、宇崎竜童、そして大場さんもしかり。

さて「日本のいちばん長い日」ですが、半藤一利原作のノンフィクションの2度目の映画化で2015年公開となります。終戦日の1945年8月15日までの政府、軍部、天皇、そして日本を描いた作品です。今回原田版を観て、賛否の否の部分は何となく分かりました。歴史劇らしいケレン味、重厚さを削ぎ落とし、原田監督得意の緩急で迫った作品だからです。

必要最低限の状況描写、それを埋める俳優陣の演技。群像劇なので歴史的事実を時間を追って描いています(そういえば「BAD LANDS」も経過を追った描写がありましたね)。軍部だけが突出していた時代との違い、外堀が埋められたゆえの苦しみのあとが伺えます。そこに様々な覚悟があるし、終戦となる日に至ってもそれは変わりません。

原田監督が撮りたかったという3つのテーマの一つが終戦。日本を変えた出来事として残りの2つ、「関ヶ原」(戦国時代)と「燃えよ剣」(幕末)でこちらも撮られています。この作品の観易さは両刃ですが、戦後生まれ、特に若い人たちの門戸として、観たあとにこの作品の行間(歴史的事実)に触れて欲しい意図も汲み取れます。または今の平和の意味、投げ掛けとも。

それだからこそ演者と歴史に実在する登場人物たちの一体感が重要です。山崎努演じる鈴木貫太郎総理、役所広司演じる阿南陸軍大臣、さらに軍部の将校たちも皆、物語の中に対等で運命の日に向けて収束していきます。本木雅弘演じる昭和天皇のひと言が実際の天皇陛下ご本人を彷彿とさせるシーンもあり、より玉音放送の重みを感じました。

最後に今回の2作共に最後まで目が離せない作りでさすが原田作品と再認識できました。原田眞人監督の作品で未見のものはまだありますが、できれば大画面、スクリーンで観る機会が望ましい気がしました。是非、第2回「原田眞人映画祭」には遊人さんが挙げた日本未公開の海外撮影作「栄光と狂気」が観られれば良いなぁと思います。

追伸.
会場入口には先日の追悼回顧展の縮小展示が作られていて、会場の皆さんが集まっていました。そして原田監督といえば「北口亭」からのお花が送られていましたね。「しずおか映画祭」(今回も磯村勇斗さんのビデオメッセージあり)で何度もネタになりましたが、「北口亭」の餃子は出演俳優の皆さんにも大人気だったそうですよ。(おしまい)

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