2019/01/14

「クリード 炎の宿敵」を観る

今夜は仕事が終わってから「クリード 炎の宿敵」を観てきた。原題はシンプルに「CREED II」だが、邦題にサブタイトル「炎の宿敵」と付く。すなわち「ロッキー」シリーズ第4作「炎の友情」とリンクするのだ。前作はもちろん、「炎の友情」も観ている必要がある。

ヘビー級王座を奪取したアドニス。父アポロ、そしてロッキーと同じ道を進んだ彼に思わぬマッチメイクが伝えられる。それこそ父アポロを倒し、死に追いやったドラゴの息子ヴィクターとの対戦であった。対戦を勧めなかったロッキーだが、アドニスは闘う事を決意する。

かつて映画「フライングハイ」で「ロッキー13」と茶化されていたが、スピンオフ扱いとはいえ本作で通算8作目となる。歌舞伎俳優や落語家のように代を重ね、物語はまさに王道で形式を重んじる。もはや「ロッキー」シリーズとは一種の伝統芸能かもしれない。

本作は闘う姿と共に家族がクローズアップされる。アドニス、ロッキー共に不器用だが、闘いと葛藤で得られた姿がラストシーンに繋がっていく。

もちろん「ロッキー」らしく音楽も大事。全体にストリート感満載のBGMを使いつつ、前作もそうだったがビル・コンティの「Going the Distance」にしてやられた。クライマックス、観ているこちらが温存したパンチを喰らったかのようだ。わかっちゃいるがそこもいい。

ドラゴ親子が4K職場で体を鍛えつつ、アングラボクシングで頭角を現す様は心に響いた。さらにドラゴがロッキーと対峙し吐露する姿は感慨深い。それだけでなくスタローン、ドルフ・ラングレン、そしてある人物の登場に時の流れを感じる。ただ本作では老いを感じさせるスタローンも、「ランボー」最新作ではキリッとした役作りをするだろうなと妄想。

想像を超える展開は無くとも「ロッキー」らしいカタルシスは健在。ここまでいったらアメリカ発の伝統芸能としてシリーズを続けて欲しい。

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2019/01/12

「SUITS/スーツ」シーズン2(吹替版)を観る

Amazonプライムで「SUITS/スーツ」シーズン2を吹替版で観た。前シーズンラストを受け、共同経営者ハードマンが活動を再開、ジェシカとの権力争いが始まる。

正直取り扱う訴訟の面白さは前シーズンに譲る、というか物語はシフトチェンジ。ほぼ全般、現事務所メンバーVSハードマンの構図で進んでいく。ジェシカとハーヴィーは主導権を握ろうと画策。だがハードマンは狡猾だ。ある書類を仕掛けに事務所メンバー間の信頼関係を壊していく。

シーズン2を通してみると何処か息苦しい。シーズン1はマイクの縛りに息苦しさを感じたが、訴訟を勝ち切る痛快さがあった。しかし全般的にシーズン2はダークだ。特に中盤からはドナを巻き込み、彼女の明るさにさえ陰を落とす始末。ドラマは総力戦となる。

個人的には愛すべき敵役ルイスの掘り下げが好きだ。単なる嫌な役回りではなく、人間味あるエピソードも多い。物語の中のハーヴィーとルイスに変わり無いが、観る側からは彼らの関係性が変わった気がする。そしてルイスはハードマンとの抗争のキーマンとなる。

翌シーズン3を前に抗争は決着もその代償に事務所を更なる激震が襲う。またマイクとレイチェルの関係にも変化が。子供が起きてきたので思わずチャンネルを変えてしまった...そしてシーズン3へ続く。

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2019/01/04

「SUITS/スーツ」シーズン1(吹替版)を観る

Amazonプライムで配信中の「SUITS/スーツ」シーズン1を吹替版で観た。アメリカの人気テレビシリーズ。物語はローカライズされ、韓国版、昨年は日本版も放送された。ずっと気になっていてシーズン1から観始めた。

天才的な記憶力を持つマイク。だがその素質と裏腹にロースクールの代理受験で生計を立てていた。友人トレヴァーからある頼みを引き受けたマイクだったが、非合法なものと知る。逃げ飛び込んだ先、ある法律事務所の募集面接中だった。面接したハーヴィーはマイクの素質を見抜き、事務所へ迎い入れる。

やり手で裁判負け無しのハーヴィーと正義感マイクのコントラスト。法廷を舞台にしたバディものである。ただ二人にとどまらず、個性的なキャストの群像劇。上司で経営者のジェシカ、同僚のルイス、ドナ、レイチェルと多彩に人物相関があり、物語を豊かなものにしている。

各エピソードも面白い。マイクは隠し事という縛りがあり、スリリングに展開。ストーリーラインは一発逆転系となるが、ラストにガツンと来る背景が興味深い。

一見、高飛車なハーヴィーとマイクのやり取り、会話に挿入される映画ネタが堪らない。ハーヴィーを見ていると背筋を伸ばしたくなる。ハーヴィー演じるガブリエル・マクトの立ち姿がいい。それ程に"SUITS"を着こなしている。もう一つの主役がニューヨーク。セレブリティ感漂うちょっとしたカットが物語を支える。この雰囲気、さすがに日本版では出ないだろう。

シーズン1のラストで控える事務所内の派閥争い。シーズン2でいよいよ動き出す。

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2019/01/01

「不都合な真実2 放置された地球」を観る

あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。

さて新年からWOWOWで録ってあった「不都合な真実2 放置された地球」を観た。クリントン政権時代に副大統領を務めたアル・ゴア氏の活動と地球温暖化問題を追ったドキュメンタリー。前作はアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。

邦題サブタイトルは「放置された地球」、原題は「Truth to Power」(力への真実)。一見、異なる言葉だが、両者が結びついている事に気付く。前作での問題提起が具体的な異常気象となり、世界で猛威を振るい始めた。そしてその後のゴア氏の活動は順風満帆とは言い難い。

本作では更なる異常気象を扱いつつ、本作ではCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)の顛末を追っていく。

ゴア氏は元政治依存症(もちろんジョーク)と話す通り、今の活動は政治家としてではない。ただ問題解決に政治的アプローチは切っても切れない。国、企業を巻き込んだ駆け引き、交渉事の方がダイナミックだ。そうした行動はゴア氏の意図は無くとも、民主党のプロパガンダになってしまうのは残念。

ただ一方で草の根活動としてセミナーを催し、リーダーを養成する。地味ながら協定離脱したトランプ大統領への対抗策。これまでの彼の活動の中の回答でもある。そうした希望をもって本作は幕を閉じる。

前作に敵わないが、より拡大した地球温暖化の影響は衝撃的だ。海水温上昇がもたらす豪雨のタイムラプスに愕然。科学者は全ての事象を結びつけて説明すべきである。本作でも一部語られるが物足りない。それだけで映画が一本できそう。そして巨大台風が襲ったフィリピンの姿はまるで昨年夏の日本と同じではないか。現実は我々に警鐘を鳴らしている。

現実を直視する意味でこのドキュメンタリーは貴重。前作とセットで観る事をオススメする。

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2018/12/31

2018年総決算「映画篇」

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今年は劇場で26本の映画を観た。印象に残った映画を挙げてみると次の通り。結局ベスト10で収まらず、ベスト12になってしまいました。ただ上位は甲乙付け難く、順位はあってないようなものです。

1.「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
2.「スリー・ビルボード」
3.「日々是好日」
4.「ボヘミアン・ラプソディ」
5.「孤狼の血」
6.「万引き家族」
7.「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
8.「レッド・スパロー」
9「レディ・バード」
10.「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」
11.「search/サーチ」
12.「カメラを止めるな!」

1.「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
とにかくゲイリー・オールドマンのなりきりぶりが圧巻。加えて辻一弘さんの手による特殊メイクで違和感無く作品に没頭させてくれた。派手さは無いが、史実の重み、リーダーシップとは何かと問い掛ける。

2.「スリー・ビルボード」
復讐に燃えるトンデモ母ちゃんの物語と思いきや、惹き込まれる、優れた群像劇。そりゃそう、演技の高さは今年のオスカー受賞(主演女優賞、助演男優賞)のお墨付き。不幸の連鎖とやるせなさ、終幕での感慨は言葉にならない。

3.「日々是好日」
世間的に今年亡くなった樹木希林さんの作品として知られるが、今や彼女の代表作。もちろん主演黒木華の代表作でもある。茶道、師弟関係、日本文化を主人公の成長と共に伝える。観終わった後、日本人として誇らしくなる。

4.「ボヘミアン・ラプソディ」
音楽映画にハズレ無し、栄光と挫折に王道を往く物語。どこまで史実か異論があるようですが、クイーンの楽曲は永遠。ライブエイド再現で感動。ブルーレイが出るなら、カットされた来日エピソードも観てみたい。

5.「孤狼の血」
東映王道ヤクザ路線の継承、「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督による男臭い群像劇。ダイワマンこと役所広司のヒールっぷりと現代っ子松坂桃李のコントラストと昭和の残影が興味深い。原作は続編ありで和製「インファナルアフェア」となるか。

6.「万引き家族」
カンヌ映画祭最高賞パルムドール受賞、是枝裕和監督作品。リアリティーとファンタジーの狭間に見える重いテーマ。家族、幸せ、豊かさ等を考えさせられる。加えて今の朝ドラ観てると、本作での安藤サクラのカメレオンっぷりに驚かされる。

7.「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」
MCUの大ラス前。サノスにとことん追い詰められる人類、アベンジャーズ。最大のスケール感と帝国の逆襲ばりの終幕に唖然。後は「キャプテン・マーベル」とアベンジャーズ完結作で来春が待ち遠しい。

8.「レッド・スパロー」
お気に入りのジェニファー・ローレンス主演最新作。彼女の魅力満載のオーソドックスなスパイもの。教官のシャーロット・ランプリングも怖いが、それを喰うジェニファーの魅力、体当たりの演技にメロメロ。

9「レディ・バード」
若手次世代シアーシャ・ローナン主演。親友間、親子間の関係描写に巣立ちをテーマにした青春ドラマ。恋愛オンリーで雨後の筍のような邦画群とは大きく違う。何よりフェロモンムンムンのジェニファーとは対局の爽やかさもいい。

10.「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス」
約30年ぶりの続編。アルバム制作の背景、成功とその後が描かれていく。陽気なキューバサウンドと共に、前作からの月日はある種の別れを感じさせる。

11.「search/サーチ」
企画力とそれを具体化した技術の勝利。SNS時代、溢れる情報の中に潜む虚実。伏線とミスリードを仕込みつつ、スクリーンならぬディスプレイで全てが展開されるサスペンス。映画館でも見落とす情報量もPC視聴が楽しみ。

12.「カメラを止めるな!」
こちらも企画力の勝利。言わずと知れた邦画今年最大のコストパフォーマンス映画。前半の緊張感と後半の落差。作品作りしない方にはピンとこないかもしれないが、あるある感満載の後半で劇場は一体感に包まれた。

さてこれ以外の作品は一定の満足感を与えてくれたものの、ダメだったものもある。次の4作はダメだった作品。いずれも途中寝てしまったのは共通の出来事。
悪ノリ過ぎ?ノレなかった...「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
演技合戦だけ?の...「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
円谷訴訟の被害者。金は掛かっているのだが...「レディ・プレイヤー1」
意欲作ながら、尺1時間でよかったのでは...「15時17分、パリ行き」

テレビシリーズも観たが、「24」「ウエストワールド」「高い城の男」「SUITS」はいずれもホント面白かった。シリーズらしく観続ける麻薬性がある。

来年後半、近場にもう一つ郊外シネコンができるらしいが、希望はIMAX設置。ここぞって作品で観たいよなと思う。でもできるかなぁ。ただのシネコンなら近所だけでいいよ。まぁとりあえず来年も映画を沢山観たいです。

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2018/12/23

「日日是好日」を観る

多分今年最後の劇場鑑賞となるであろう「日日是好日」を観てきた。黒木華主演、先日亡くなった樹木希林さん出演の作品である。将来の目的無いまま、茶道の世界に入った主人公典子の姿を追った物語。

大学生の典子は従姉妹の美智子と共に作法を習うべく、武田のおばさんの教える茶道教室へ通い始めた。古風で格式高い茶道の世界に戸惑うも、典子は武田の人柄と指導もあって惹きこまれていく。

茶道で映画というと利休が主人公のものばかりだが、本作はあくまでパーソナルで現代劇。出会いは可笑しくもやがてその奥深さに魅了される。茶道と人生を重ねて成長し、新たな一歩を踏み始めるところで終わる清々しさ。映画の王道を踏みつつ、茶道を通し日本文化を伝えてくれる。今の邦画のラインナップを見れば貴重な存在。この映画を観ると日本人である事が誇らしくなる。

黒木華は茶道の素人からスタートする役柄だが、年に沿って落ち着きを持って演じている。和装もよく似合う。でもそれ以上の存在感はやはり希林さん。初見から所作、立ち振る舞い、教え方まで茶道の先生にしか見えない。しかも時に発するユーモアは希林節に溢れる。その姿一つ一つが微笑ましい。今も彼女は映画の中で生きている。

本作が五感に訴えた映画である事も素晴らしい。美術、色彩まで無駄が無い。雨音、静寂さえ茶道なのである。さらに大画面、映画館で無ければ体感できないだろう(反面、シネコンゆえに他館の重低音が響いてきてしまったけど)。一部勿体無いと思える表現、演出もあるが、あまりある位に心に訴える佳作。原作を読みたくなった。

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2018/12/06

「ウエストワールド」シーズン2を観る

Amazonプライムで配信開始された「ウエストワールド」シーズン2、全10話を日本語吹替版で観た。個人的にこれ程待ち遠しかったテレビシリーズも珍しい。パーティーでの大惨劇、アンソニー・ホプキンス演じるフォード博士の仕掛けがついに動き出す。

本シリーズの見どころは事前告知のあったショウグンワールドだろう。娘探しに出たメイヴがその世界に迷い込み、自分を映したような存在を知る。その姿、アカネを演じるのが菊地凛子。さらに真田広之に加え「ヒーローズ・リボーン」の祐真キキ、「ウルヴァリン: SAMURAI」のTAOが将軍世界を彩る。彼ら日本人俳優の活躍が嬉しい。

今回は吹替版で観始めたが、第5話「アカネの舞」はメイヴ演じるサンディー・ニュートンが日本語を操るため、一度観た話を字幕版で観てみた。流暢とはいかないまでも、真田広之が指導した通りに心の通ったセリフが伝わってくる。是非、第5話は字幕版でも観て欲しい。

また第6話の終幕、志を果たしたメイヴたちが望む箱根越しの風景は見覚えあるところ。それも嬉しかった。ただあくまでショウグンワールドは一つの並行世界であり、本筋はドロレス、バーナード、ウイリアムの物語となる。

ジョナサン・ノーランの作る話の骨格は、さすがノーラン兄弟と思える多重構造。しかも単純にロボットの反乱だったオリジナルと異なり、他のSF作品のエッセンスが注ぎ込まれている。特に新世界に関する考え、描写はP.K.ディック的でもあり、SF観は21世紀以降の発想と言える。スクリーンサイズに注意して物語を観て欲しい。

個人的に琴線に触れたのは第8話「キオク」。脇役と思っていたネイティブ・アメリカンのホスト、アキチタを巡る話。愛する人と引き離されても、転生し彼女の姿を追い掛けていく。ホストの感情、AIの自立、進化を物語る。アキチタだけでなく、ホスト、人に限らずそれぞれの物語が散りばめられており、優れた群像劇でもある。

パークでのホストの反乱はどうなっていくのか。バーナードに仕組まれたものとは、そしてドロレスの目的。時系列は複雑に思いきや、伏線となって最終話に結びつく。物語のテーマは深く、シーズン1同様に全て理解するのは難しい。そしてシーズン3に向け、新たな始まり。物語は更なる広がりを見せそう。大オススメのテレビシリーズだ。

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2018/11/22

WOWOWで「マザー!」を観る

WOWOWで録ってあったジェニファー・ローレンス主演、ダーレン・アロノフスキー監督作品「マザー!」を観た。お気に入りのジェニファー主演とあって観る動機は十分。ただ日本劇場公開が直前で中止となったいわく付きの作品ゆえ、内容は一筋縄でいかない。

田舎の一軒家に住む詩人とその若妻。夫は創作に、妻は家の修繕に勤しむ。だがある日、詩人を訪ねる男が現れた。妻は止むを得ず招き入れるも、男は騒動を引き起こす。そんな招かれざる客を発端に、彼女の周りで様々な出来事が起きていく。

ダーレン・アロノフスキーの作品群を顧みれば、本作がクセの強いものだろうと推測できる。何処か不条理と思える展開も作品を通した伏線であり、終幕に繋がっていく。とりあえずその終幕が観たくて、最後まで観てしまうといった感じ。

正直、この作品を劇場公開しなかった日本の配給会社の判断は理解できる。観終わった今、映画ファンならまだしも、一般の観客にこのオチを理解できるとは思えない。物語の謎解き描写も敢えて浅く、オチがオチと思えないだろう。

撮影中、ジェニファー・ローレンスが心理的に追い込まれたという噂話があるが、納得。とにかく観客の心理とすればジェニファーの視点で物語を追うため、かなりこの物語の展開は堪える。"汝の隣人を愛せよ”こそ詩人創作の源泉ゆえなのだが、全てを奪われていく様が辛い。

この作品をもう二度と観る事はないだろう。ただ録画を消すか消さないかと言われれば、ジェニファーだから残しておこうか。

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2018/11/09

「ボヘミアン・ラプソディ」を観る

今夜は「ボヘミアン・ラプソディ」を観てきた。イギリスのロックバンド「クイーン」、そしてそのメインボーカル、フレディ・マーキュリーの人生を描く。テレビドラマ「ミスター・ロボット」のラミ・マレック主演、「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガー監督作品。

1970年ロンドン。ブライアン、ロジャーのバンドの演奏を見るフレディ。偶然ボーカルが脱退した彼らにフレディはその声を聴かせた。惹かれるようにバンド活動を始めた3人はフレディの発案でアルバム制作に取り掛かった。そしてメジャーレーベルEMIと契約、ロックバンド「クイーン」としてスターダムを駆け上がっていく。

言わずと知れたフレディ、クイーンの物語。80年代の洋楽で育った身として、描かれる音楽シーンが自分の音楽史とオーバーラップする。クライマックスまで扱う楽曲のエピソードは数曲に絞って印象的。一方ソロ楽曲は亀裂を生むキッカケとしてあっさり。ストーリーラインはクイーンとフレディの音楽活動と人生を辿る。

もちろん性的マイノリティーであるフレディのエピソードは、最初は暗示的に、やがて具体的に描かれる。ただ単に作品のテーマは彼らの軌跡だけでなく、彼らの求めた”家族”を描く事だろう。フレディは一旦失った家族=クイーン、盟友たちとの関係を修復するところで物語は結ばれる。その想い、そしてフレディの背負う運命は、クイーンとしてライブ・エイドでのパフォーマンスに結実していく。

最初は違和感のあったラミ・マレックのフレディも、80年代での彼は本物と見間違うほど。ウェンブリースタジアムでの4曲、20分のパフォーマンスは当時を彷彿とさせる。作品の構成上、ここでの楽曲を温存させてきたからこそ、観客は引き出される感情もある。ブライアン・シンガーの描く音楽と物語のバランスは浅過ぎず、深過ぎずに絶妙。名曲の数々に聴き惚れ、長時間を忘れる作品であった。

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