2024/07/21

午前10時の映画祭14「フェーム」を観る

今日も盟友N氏と一緒に午前10時の映画祭14「フェーム」を観てきた。今回初見、1980年公開のアメリカ映画。音楽芸術学校に集う若者たちの4年間を追ったアラン・パーカー監督作品。監督初期の作品であり、80年代を代表する音楽映画でもある。

冒頭の入学オーディションの描写では粗削り、雑味たっぷりな若者たち。だが学校生活や人間関係を通して成長していく彼らを描く群像劇となっている。生徒の短くも個性的なエピソードで繋ぎ、ここぞと時間を割いた音楽シーンで魅せる。中でも有名なのが主題曲「フェーム」をフィーチャーした場面だろう。

もちろん歌うのは当時21才のアイリーン・キャラ。本作でアカデミー歌曲賞、のちに「フラッシュダンス」でも受賞。この「フェーム」では出演者として登場する。ここでの群集シーンが素晴らしい。このシーンを大スクリーンで観られる喜び。彼女の歌声とリズムに沿って活き活きとしたダンスが彩る。

アイリーン・キャラ以外は無名のキャスティング(公開当時は彼女も無名か)。そこは監督の作品で同じ音楽映画、群像劇の「ザ・コミットメンツ」と相通じる点。4年間を134分で描く中、彼らの成長が見えてくる。巧みな監督の演出もあって物語は淀みなく流れ、時間を感じる事無く幕を閉じる。

彼らの将来や家族等を描く中、生徒たちの悩みに時代を先取りするようなテーマも控える。またテクノムーブメント、オーケストラとポップの融合等、当時として音楽の扱い方も目新しかったのではないか。音楽映画にハズレ無し、本当に素晴らしい名作。

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2024/07/20

「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」を観る

今日は盟友N氏と「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」を観てきた。傑作「サイドウェイ」のアレクサンダー・ペイン監督、ポール・ジアマッティ主演コンビによる人間ドラマ。本作でメアリーを演じたダバイン・ジョイ・ランドルフが今年の米アカデミー助演女優賞を受賞した。

ANN0で佐久間Pもコメントしていたが、冒頭から1970年に拘った作りが目をひく。銀塩感だけに留まらず、ノイズ感まで再現。アンガスを演じたドミニク・セッサら生徒たちは今風のルックスに在らず。車に風俗、ファッションに至るまでスクリーンに映る全てはその時代にタイムトリップさせてくれる。

そんなクオリティに物語が負けていない。頑固で皮肉屋の教師ポール、クラス内で馴染めていないアンガス、ベトナム戦争で息子を亡くしたメアリーら、心にキズを持つ者たちが物語を紡ぎ、SNS時代にはない交流が暖かい。後半は「サイドウェイ」よろしくロードムービーの様相で進んでいく。

芸達者ぶり、監督の当て書きに応えるジアマッティの演技と凄み。今の格差社会を映したような毒の効いたセリフも刺さる。ドミニクとの深い交流の後でのポールの男気は彼の人生を通してみれば当然の行動。冒頭の憎たらしさが可愛げに変わるラストシーンも清々しく映る。バックに流れる70’s音楽も心地よくてサントラが欲しくなる。

セリフだけに頼らず、語り過ぎず、それでいて心に沁みる映画でアレクサンダー・ペイン監督の演出が素晴らしい。鑑賞後に「この映画を好きな人に悪い奴はいない」とN氏が呟く。疲れた時代を生きる身に癒しのような今年屈指の名作だ。

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2024/07/15

「チャレンジャーズ」を観る

今日は盟友N氏に誘われて「チャレンジャーズ」を観てきた。ゼンデイヤ製作・主演、3人のテニスプレイヤーの13年に及ぶ愛と友情の変遷を描いた物語。彼女も出演した「スパイダーマン」シリーズのプロデューサー、エイミー・パスカルが製作に名を連ねる。

すごく気になっていた作品で首都圏では一ヶ月以上前から上映されていたが、やっと我が地方にやってきた。テニスを扱っているが、基本的には恋愛映画。想像以上の内容で、2時間超の作品ながら3人にフォーカスされた物語に惹きつけられた。

冒頭でのタシ、パトリック、アートら3人それぞれの描写は成功と挫折を物語る。だがジュニア時代に遡った時、見えてこなかった接点が現れる。誰もの憧れの存在であったタシ。そんな彼女に惹かれるパトリックとアート。3人はその若さと相まった恋愛関係が生まれていく。

丁寧な描写はせず、現在に向かって断片的にエピソードが挿入されている。ただ3人の心理面、その関係性は物語のクライマックスまで変わらない。パトリックとアートの決勝戦。タイブレークでお互いを晒す二人に対し、呼応し絶叫するタシが映った瞬間、3人の成長を見た気がする。そこが清々しい。

単純な恋愛映画にならないのはテニスシーンの迫力にあると思う。特にタニを演じるゼンデイヤのプレイは力強く美しい。また3人の恋愛描写、特にゼンデイヤは製作も兼ねただけあって大胆な描写まで魅せる。「I TOLD YA」のTシャツはツボでとても欲しくなったよ。

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2024/07/13

「密輸 1970」を観る

今日は韓国映画「密輸 1970」を観てきた。「モガディシュ 脱出までの14日間」のリュ・スンワン監督による実話を基にした海洋クライムアクション。1970年、韓国の漁村クンチョンを舞台に、環境悪化で失業に追い込まれた海女たちが金品の密輸入に巻き込まれていく。

予告編からコミカルな作品と思いきや、割にシリアス。笑いを散りばめるも突然に血生臭いシーンも多い。しかも海女のリーダーであるジンスクがただ一人不遇の期間を過ごす事になる。この手の韓国映画は描写がハードで結構な犠牲。ラストシーンは明るくも個人的に痛快とまではいかなかった。

突然に姿を消したチュンジャ、彼女に疑いを持つジンスクの二人を軸に物語は進むが、序盤単調に見えた事、また体調のせいか睡魔が….ただ群像劇、人間関係が見えてくると面白くなってくる。ジンスクたちに密輸犯、チンピラに税関と四つ巴で伏線を交えて複雑に絡みあっていく。

クライマックスは「007/サンダーボール作戦」を彷彿とさせる海洋アクション。いや007を超えたシーンも。基本あまちゃんなので装備無しでのアクション。演者本人(スタントダブル?)による悪党との攻防は手に汗握る見どころ。「ムービング」のチョ・インソンもあるシーンでかなりのアクションをみせる。

この映画もう一つの魅力。最初からエンドロールまで韓国演歌が流れ、たぶんその時期を知るご当地の観客は琴線に触れる演出なのだろう。我々でいえば、八代亜紀や石川さゆりの歌が流れる世界。邦画でもそうした演出の映画を観てみたくなった。

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2024/07/07

「ルックバック」を観る

今日は「ルックバック」を観てきた。「チェンソーマン」の藤本タツキ原作によるアニメーション映画。原作者の黎明期を反映させたと思われる過去への憧憬、そしてクリエイター達へのレクイエム。しかしながら新たな渇望の下、創作に向かう主人公の姿が描かれる。

この映画は58分の短編。特別料金1,700円均一でハードルを上げてしまうが、終始がっつり気持ちを掴まれた作品。軽妙に始まる本作だが、マンガ、アニメファンには避けては通れない出来事が形を変えて控える。その顛末にタランティーノ作品を彷彿とさせるが、原作者もタラのファンだと知って納得。

この語り口をみて、マンガ最良の映像化はアニメーションだと改めて思い知る。所詮、実写化なんて映画会社、メディアのエゴ。原作マンガは未読だが、おそらく原作を正しくトレースしたのだろうと思う。コマの行間を補うような大胆かつ映像作りに魅了された。感情を揺さぶる映像美も素晴らしい。

物語は貪欲で切磋琢磨する主人公たちの成長が小気味よく描かれており、その積み重ねも琴線に触れる。ちょっとドライな藤野と京本の関係性も物語の顛末と相まって心に沁みた。(昨日観た)重厚さを装った凡長な大作よりも、短編でも濃密な本作のほうが遥かにいい。

この作品を観に来ていたある家族、母親が小学生の息子に「わかった?(どうだった?の意味だと思う)」と聞いていたが、やはりあの出来事をどう受け止めるかはあるだろう。ただ主人公たちが何かを掴み、物作りをする姿は何らか刺激になるはず。子供たちには最高峰の映像と共に本作を映画館で観て欲しい。

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2024/07/06

「フェラーリ」を観る

今日は盟友N氏と映画「フェラーリ」を観てきた。ドラマ「マイアミ・バイス」や映画「ヒート」のマイケル・マン監督作品。1957年を舞台にイタリアの自動車メーカーフェラーリの総帥エンツォと国内最高レベルの公道レース、ミッレミリアに挑む姿が描かれる。

時代は「フォードVSフェラーリ」よりも前の物語。レースの厳しい側面がクローズアップされた予告編から想像していた物語はかなり違った。ミッレミリア自体は「マセラティVSフェラーリ」だが、大半はエンツォの私生活に割き、妻で共同経営者でもある「ラウラVSエンツォ」で物語は進んでいく。

自動車映画の王道から外れた作りで前半から非常にとっつき難い。しかも退屈。早逝した愛息ディノを巡る夫婦間の亀裂、自動車販売を巡る苦境、エンツォにもう一つの家族の存在。織り込まれるエピソードはリアルでも、映画として物語が融合されているかは疑問。

迫力のレースシーンは用意されてはいるものの、官能的なエンジン音、フェラーリらしいデザインなど、クルマのカッコ良さアピールは僅かに感じる程度。前半のクラッシュ(VFX)はイマイチでコントかと見間違う描写。やっぱ「フォードVSフェラーリ」のような王道が好きだなぁ。

ただミッレミリアのレースシーンはそれら前半の鬱憤を吹っ飛ばす勢い。しかもフェラーリの進退問題に発展するアクシデントは目を覆う惨状、生々しさが描かれる。冷徹に結果を分析し対処するエンツォ。最後の勝利はレースとビジネスを両立させた瞬間でもある。

映像などから知るエンツォ本人に対し、アダム・ドライバーのルックスはちょっと違うかなと。あの性描写の違和感とかも。でもそれを言い出すと本作は英語劇だし、微妙なズレは多い。鑑賞前はマイケル・マンらしい男の群像劇になるかと期待したのに....しかしそれらを除いても「フェラーリ」は物語共々、最後までノリ切れなかったのが正直な感想だった。

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2024/06/29

ジャン=ポール・ベルモンド傑作選GRAND FINALE@kino cinéma横浜みなとみらい「リオの男」「おかしなおかしな大冒険」を観る

今日は盟友N氏の誘いでジャン=ポール・ベルモンド傑作選GRAND FINALEで「リオの男」「おかしなおかしな大冒険」の2本を観てきた。

ベルモンド傑作選GRAND FINALEは新宿武蔵野館、kino cinéma横浜みなとみらい他、全国数カ所で上映されているが、近くとなると横浜が最有力となる。さらにコロナ対策として車移動がいいのでは?と。加えて先週スイスポのタイヤを全交換した事も横浜遠征を後押しする理由となった。

スイスポの話は別の機会としてとりあえず今回は映画の事を。「リオの男」は1964年公開の作品。

一週間の休暇を得た航空兵アドリアンの彼女アニエスが誘拐された。そんなアニエスを追い掛けて辿り着いたのはリオデジャネイロ。実はその誘拐の裏にある古代像の存在があった...

アドリアンの冒険を描いたスラップスティックコメディー。冒頭はフランス、パリに始まり、それ以外大半はブラジルが舞台。近代的なビル群と貧困層の住む海岸際はの描写はおしゃれな街パリと対照的に映る。そこが何処か日活の無国籍映画にも相通じる持ち味。

60年代の作品ゆえ、展開に荒唐無稽さはあるが、当時30才のベルモンドの勢いと体を張ったアクションで最後までみせる。しかも誘拐、追跡劇と思いきや後半はインディ・ジョーンズ、いや「ロマンシングストーン」を彷彿とさせる宝探しに変わっていく。とはいえ、アドリアンの宝はアニエスなのだけど。

そんなアニエスを演じたのはフランソワーズ・ドルレアック。彼女の妹はカトリーヌ・ドヌーヴとN氏からの情報。さすが血は争えないなぁと思ったいたところ、実は25才で急逝されたとウィキで知る。彼女のコメディエンヌぶりがとっても良かったのに。なお「リオの男」、映画としてはまぁまぁかなと。

ちなみにベルモンド大好きな盟友N氏の本命は「おかしなおかしな大冒険」。「リオの男」と同じフィリップ・ド・ブロカ監督、ベルモンドとの再タッグでの4作目。諜報員ボブの冒険を軸にもう一つのドラマが絡み合う1973年公開のアクションコメディー。

いやぁこちらの作品はとても楽しめました。大満足です。映画が始まってからマンガっぽい展開が続くが、それにはちゃんと納得の理由。そしてもう一つのドラマが繋がった時、登場人物たちのリンクするエピソード、セリフがめちゃ可笑しい。原題「Le Magnifique」は「壮大な」という意味でこれも納得。

この映画が楽しめた最大の理由とは?ベルモンドの存在感?当たり前でしょ。でも最大の理由ではない。ずばりヒロインを演じたジャクリーン・ビセットにノックアウトされたから。当時20代後半でめちゃ可愛く綺麗でセクシー、もうメロメロです。映画は彼女の存在だけでも成立しています。フランス語も見事に操る才女ぶりに普段着でメガネ姿も堪えられません。

これに40才のベルモンドが寄り添う。銃を片手に007オマージュのアクションの数々。一方しがない姿も板につく。この作品を盟友N氏が観たかった理由、少しだけわかった気がする。この頃のフレンチコメディーっていいよなぁ。

さて今回、映画を観たkino cinéma横浜みなとみらいですが、近年映画製作も携わっている木下グループ(木下工務店)の映画館。そうした背景もあって映画館はとても綺麗だし、ミニミニシアターながら椅子の作りも拘りを感じた。両脇のカップホルダーが隣との共有でなく単独、背もたれも座面に合わせチルト。横浜という立地におしゃれで音も画も良い映画館でした。

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2024/06/22

「九十歳。何がめでたい」を観る

邦画はハードな作品を連チャンしてきたので、今日は「九十歳。何がめでたい」を観てきた。佐藤愛子の原作エッセイを基に作られたコメディー。「生誕90年記念作品」とあるように主演 草笛光子のための映画でもある。断筆宣言した作家にエッセイ連載が持ち上がり、担当編集の吉川が現れるのだが…

冒頭は執筆活動から離れた生活感で物語はスロースタート。エンジンが掛かるのは唐沢寿明演じる吉川との出会いからで一種のバディものの様相で物語は進んでいく。ただ仕事の一方で家族との事で悩む吉川。だが佐藤との出会いで吉川の心境にも変化が現れる。

佐藤側のエピソードは原作に基づいているだろうし、エンドロールでも再見できる。草笛さんでも可笑しいが、佐藤さん本人のインパクトもなかなか。またエッセイの部分はそんな佐藤さんのユーモア、アイデンティティーを反映させた草笛の演技がいい。原作を読みたくなったよ。

人情喜劇の松竹らしく吉川に家族仲のエピソードをぶち込んでいるが、そこがどうかと。ここはフィクションであくまで創作と思われるし。エッセイの中にもっとエッセンスはあったろうし。決して完全ハッピーエンドではない苦い後味だけは今風で良かったと思うけど。

個人的にツボだったのはタクシー運転手を演じた三谷幸喜。大河ドラマ「真田丸」で草笛を起用した三谷。今回の客演はその恩返し。ただルックスはまさにYes!高須クリニックの高須院長。演技はリアリティーよりもはやコントだったね。


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2024/06/15

「HOW TO BLOW UP」を観る

今日は盟友N氏の誘いで「HOW TO BLOW UP」を観てきた。原題は「How to Blow Up a Pipeline」でズバリ「パイプラインを爆破する方法」なのであるが、あえて 邦題がPipelineを外した意味は結末まで観ると解らない事は無い。

物語は主人公たちがある理由から石油会社に対する抵抗としてパイプライン爆破を思い立ち、その計画と背景を追いかけるスリラー。しかもこの映画はインディペンデント系。B級、いやC級感プンプンで進んでいく。ただ1時間44分が少し長く感じる程に散漫で中盤までややパンチ不足な印象だった。

その理由に実話でもなく、スター不在で観る動機を見失いつつ物語が進んでいく点にある。エンターテイメント色はあまりない。序盤を観て同じように犯罪プロセスを追う日本映画「太陽を盗んだ男」を想起したが、リアルとエンターテイメントの匙加減が絶妙だった。本作は全般ドキドキがなく、正直に作り過ぎたような気もする。

それでいてタランティーノ映画のオマージュなのか、現在進行形と過去を交錯させる作りが消化不良に思えた。彼らがグループを組む過程が語られつつもキャラの造詣の甘さ、計画実施の中で一体感が無かったのもマイナス。送油プラントでのあのカップルの一件は余計だよなぁ。

結局、言わんとしている事は環境問題悪化への警鐘、主人公ソチのそれを達成するための真の目的。邦題ではソチの破壊したかったのはPipelineに限らないのだと言いたかったのだろう。でももっとエンターテイメントしてテーマを語って欲しかった。

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2024/06/09

WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」を観る

WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」(全10話)を観終わった。マイケル・マン製作、ジェイク・エーデルスタインの手記を原案としたドラマシリーズ第2弾。主演はアンセル・エルゴートと渡辺謙で二人は製作陣に名を連ねている。

物語は前シーズンで東京進出を狙う戸澤が突然雲隠れの後、別人の如く復活。勢力を拡大する戸澤、抵抗する千原会、ヤクザ撲滅を画策する警視庁、そして戸澤が近づく権力とある事件の関連をジェイクたちが探っていく。

日本と東京、その時代(ミレニアム前後)を魅力的にかつアンダーグラウンドの世界まで映す。漂う緊張感、旧来ヤクザ独特の世界と戸澤の画策するビジネスヤクザのぶつかり合い。これらをエンターテイメントに昇華し最後まで力強い。本シーズンラストにクリフハンガー要素は無く完結編というべき潔さ。

ジェイクによる原作本で言及されたヤクザ幹部のエピソードがベース。結末はこのドラマと違うようだが、それでも反社会勢力(ヤクザ)と政治の関係性を描く事に手抜きはない。原作本を読めば実際もっと根深い事を知るが、このドラマのエンターテイメント性がある種の可能性としてオブラートしてくれている。

もちろんこのドラマの軸はジェイクと片桐刑事の絆。それぞれに大きな山場を迎え、家族と対峙していく。ジェイクは記者としての成長、片桐刑事は時代の狭間で警察組織の中で翻弄される。そんな中で”諦めない”長田警視との信頼、片桐刑事との相棒感が良かった。長田役には真矢みきがマッチしている。

行き届いたストーリー、英語のセリフ、スタイリッシュな映像とか適度なハリウッド感を押さえつつ、「将軍 SHŌGUN」と同様に日本製作陣、キャストの底力も感じた。ZX(ゼクロス)こと石田組長を演じた菅田俊、若手リーダーの佐藤を演じた笠松将の堂の入った演技、戸澤を演じた谷田歩のコワモテな存在感。

先の真矢みきに限らず、シーズン2全般で爪痕を残したのが若頭葉山を演じた窪塚洋介。戸澤ほどの知性はない暴走ヤクザ。何をやらかすか解らない怖さが伝わってくる。きっとこのドラマを起点に世界へ飛び出していく人材も少なくないだろう。

なおドラマに魅せられた方は是非原作本を読んで欲しい。できればジェイク自身が日本語で改訂したKindle版がオススメ。出版社を通さない強み、今ある日本の政治の混沌が透けて見えてくるはず。本シーズンの最終話、明調新聞の丸山に上司の社会部長が語る本音が今の現実と重なる。こういう点もこのドラマの魅力なのだろう。

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