2011/04/16

テレビで「グリーン・ゾーン」を観つつ思った事

  WOWOWで録画しておいた「グリーン・ゾーン」を観た。マット・デイモン主演、ポール・グリーングラス監督による、すなわち「ボーン」シリーズのコンビによるものだ。作品はこの監督さんのテイスト通りのドキュメンタリータッチ。どこまでが事実でフィクションなのか、挿入される報道映像と共にイラク戦争、米国、大量破壊兵器の真実(?)に迫っていく。「ユナイテッド93」を撮ったグリーングラスだからこそ扱えるテーマでもある。

 デイモン演じるミラー准尉はイラクでの大量破壊兵器捜索を命じられる。しかし行けどもそんなものは見つからず、組織の一人として困惑するミラー。そんな中、旧イラク軍将軍の動きを察知、接触を試みる事に...米国、旧イラク軍、イラク市民、マスコミ、そして大きな力。ハリウッドのアクション映画というオブラートを使って、混沌としたイラク情勢を描く。終盤、ブッシュ大統領の旧イラク政府、軍の解体演説に相反し、米国の答辞に対するイラク国民の心中。大量破壊兵器の真偽はあれど、ラストシーンこそ監督の気持が込められている気がしてならない。

 実はこの作品を観ていて興味深かったのは、「大量破壊兵器」と今我々が対峙している「福島原発」の位置づけが似通って見えたからだ。相変わらず良く見えない真実、全てを知るのは現場、一部の当事者。そして翻弄され、疲弊する市民。今の福島原発被災者の立場、怒りはこの作品のイラク国民に酷似する。必死に現場で原子炉と戦う人々、これに反し日本政府や東電との構図にも非常に近い。大きな力は何処の世界でも正しい力とは限らない。

 イラクの問題は中東における長い歴史の中の出来事、まだ終わったわけではない。一方「福島原発」の出来事はまだ始まったばかり。そしていつ終わるのか知れない。一過性の事件、事故に留まらない。何年、何百年、次々の世代まで解決しないかもしれない。助け合い、支えあうのは当然の事。ただそれ故に日本国民は震災以降、心に何かすっきりしない思いを続けている。今そこにある危機を日本の政治はもっと考えてほしい。

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2007/10/27

NOVAでクタバル

 ついにX-dayが訪れた。猿社長が緊急役員会を開こうとした日の未明、その主(あるじ)不在の欠席裁判が行われた。社長解任のクーデター、会社更生法の申請と英会話学校NOVAは起死回生、最後の一手に出た...と普通、外野ならニュースを右手に受け流すところだが、今回は被害者。ボク自身、公称40万人と言われている受講生の一人なのである。実は社長が26日に役員会を開くとした時点、何かが起こると思っていた。その経緯は以前この場で述べた通りだ。

 NOVAの誇大広告ぶりは入学してみると良く解った。好きな時間のレッスン予約は取り難かった。そもそも講師の数が決まっているのに、受講生の希望通りに全てレッスンを組みようが無い。もちろんそれら全てを受け入れれば、労働基準監督署の監査の対象となろう。ただ実際それ以外にも抵触する点が多くあったのも事実。ゆえに講師、受講生両者に不満が山積していくのは必然。講師は教師ではなく、自らをInstractorと称していたのを思い出す。

 ただそれでも通い続けたのは、単にポイント行使だけが目的ではなかった。もちろん今の事態は今年六月経済産業省の処分によって決定付けられた。ただそれよりも、受講期間はしっかりレッスンを受けようという気持が強くなっていたからだ。それは通っていた場所(ブランチっていうんだな、この事件で初めて知った)の講師の真摯な姿勢も感じたし、レッスンが楽しかったゆえ。業務悪化以後、X-dayを感じつつ、通い続けた受講生の大半は同じ気持だったろう。ただ講師やスタッフたち最前線の努力は報われず、現在に至っている。

 願わくば休校前の受講体制復活を希望したいが、現実は厳しい。しかも40万円近いローンが残っている。法令下の支払停止、抗弁権の行使も可能だし、冷静にNOVA一ヵ月後の破産も想定した行動が必要。いまだ雲隠れしている猿前社長、40万人の受講者を見殺し、NOVAを徹底指導ができなかった経産省の罪も大きい。甘利経産大臣の他人事な会見を不快に感じながら、NOVAよりもボクのほうがくたばりそうだ。

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2007/09/29

この顔にピンと来たら...

 今更ながら告白するが、某英会話学校に通っている。ご存知、駅前留学、いや今では瀕死の状態のあの学校だ。あの報道以後、何があっても半分諦めモード。今は解約より英語を毎週話す機会を作る事のほうが重要と考えている。ただ既に今週新聞等でも報道された通り、全国のうち200校が閉鎖されるという。今のところ、ボクが通っているところはどうなるか判らないが、嫌な予感はしまくっている。しかし現実はそれ以上の悲劇が待っているのかもしれない。

 ここのウリの一つがお茶の間留学。学校まで通わずともの自宅でレッスン、または講師が病欠した時の対策として使われるもの。レッスンはネット経由で大阪本部の教師と結ばれている。だが実態は各学校の講師不足を補う手段の一つでしかない。そんな"お茶の間"をしたある日、画面の向こうからこんな言葉が飛んできた。
『NOVA Crisis』
講師自身が自らの言葉として使ったのは初めてだった。これまでいろいろあったが、口に出した講師やスタッフは居なかった。そして満身創痍のひと言「来月になったらどうなるかわからない」(もちろん英語で言っている)と言い出す始末。お茶の間の本部は大阪。しかも階上の社長サハシ(サルハシではない)は行方不明、トンズラしたというのだ。最後の砦、教師で作られた組合もいい子ちゃんばかりの犬ゆえ、役に立たないという。直近の給与は払われたが、来月はわからない。画面からは各地方学校には無い緊張感が漂う。全面撤退のD-DAYは近い。

 今すぐサルハシを更迭したいが、今何処の存在。今こそ民間ローラー作戦、猿橋包囲網。隠れていてもネット時代の力を侮るなかれ。この顔にピンと来たら110番。いやいやマスコミに吊るし上げてもらおう。そもそも事が起きたとしても100%返金は望んでいない。それよりもコイツを晒し首、社会的制裁を与える事が重要だ。しっかりと報いは受けてもらう。"お茶の間"の講師いわく独身、Bachelorな男。トンズラ直前、社員にPoetic Messageを残す胡散臭いヤツ。全国約40万人いる生徒の前、土下座程度じゃ済ますまい。

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2007/09/07

台風とF1戒厳令

 昨日からの台風9号のダメージは大きく、今朝の出勤時間帯を直撃した。高速が止まれば、下の道路が渋滞。車を避けるべく電車を選べば、運休の憂き目に会う。地道に駅で電車復旧を待っていると、路線バスを待つ学生の行列があった。運よく電車に乗れたとしても、交通マヒの連鎖は我々を巻き込んでいく。行列はバスがやってくるまでしばらく続いていた。

 9月に入り、本格的な台風シーズンとなった。東京だけでなくその道筋次第では、静岡県のような田舎もその影響を受ける。まして今回の台風はお隣、小田原をジャストミート。しかも時速20キロのノロノロ速度で大きな傷跡を残した。午前5時半に目が覚め、早めの出勤、遅刻対策をうつも、午前8時半現在なす術がない。車、電車共々、あらゆる手を尽くしたが完全なマヒ状態の最中にいた。

 そして今月は富士スピードウェイでF1グランプリが開催される。約30年ぶりの開催に揺れる地元、近隣市町の企業は開催日は時差出勤や休日に切り替える等、対策を講じている。かくいう我が会社もその影響下であるが、8月末になって初めて対策が公表されるという遅さ。しかも日勤者は通常通りの出勤である(影響のピークは土日だからいいけども)。だが正直、F1とは我々に未曾有の事態ゆえ、終わってみなければわからない事が多い。

 今回の台風でパニックに陥るこの周辺の住民が、最大14万人がやって来るF1を受け入れる事ができるのだろうか。28日から3日間、大量のシャトルバスが増発。一方、富士スピードウェイの近くに住む同僚は、土日許可書がないと車で外出できないと嘆いている。予選走行の金曜はその沿線、御殿場線で出勤を目論んでいるが、果たしてどうなるだろうか。そして9月7日午前9時現在、御殿場線全線、復旧の見込みが立っていない...

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追伸.
その後、車での移動に切り替えたが、午前のうち沼津市内を抜ける事ができず、出勤を断念。間もなく有給休暇に切り替える事になった。

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2007/03/11

森進一「おふくろさん」騒動を考える

 先週は風邪に四苦八苦。カミさん直伝、風邪薬をリポビタン2000で飲み干す対策が功を奏し、会社を休まずにすんだ。ただ病み上がりのダメージは見えないところで進んでいた。声が出ないのである。出るには出るのだが、声域は狭まれ、発声も続かない。まるで森進一のようになってしまった。話す人、話す人に「大丈夫?」と声を掛けられるも、その先会話が続かない。いや声が出なかった。しかしボクのサービス精神は「こんばんは、森進一です」という第一声に溢れていた。そして土曜日には完治したようだ。

 ここ数日出勤前、朝の情報番組を見ていると、必ず耳に届いてくるのは、森進一の「おふくろさん」。しかも何度も最初のフレーズがリピートされ、完全に意識へ刷り込まれてしまった。実際、世間でもカラオケの選曲が増すなど、再び「おふくろさん」に注目が集まっている。それもこれも、作詞家と歌手の思惑の違いがぶつかった形。歌手の後付けした創作(とはいえ、曲前のセリフ)が御大作詞家の逆鱗に触れてしまった。

 物作りでも自己完結しているものであれば、確かに自分の責任を持って改作する事ができる。ただ共同作業の中で生まれたもの、今回のような楽曲に関しての改変は、協議をもって進めたいもの。表舞台は歌手森進一の代表曲だろうが、彼一人だけでは「おふくろさん」の誕生は無かったはず。我々の仕事でもそうだが、表に出るものが全てではない。ハスキーボイス=おふくろさんではなく、歌詞の共感、曲への感情移入がその背景にあるだろう。

 高校時代、放送部にいた頃、NHK放送コンクールに入賞した事がある。作品では脚本と構成を担当、地方大会で六位の成績をおさめた。ただそのまま全国大会に出品すると思いきや、リーダーなる者に構成を改変されてしまった。全国大会で発表された時の驚きを忘れない。ワイワイガヤガヤ、所詮高校の部活、彼は名目上のリーダーだったが、まるで自分だけの創作物のように弄られたのが許せなかった。間もなくボクは退部届を出し、そのまま離脱。だから川内康範さん、あなたの怒りよくわかりますよ。

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2006/01/25

個人的にこれまでの『ライブドア騒動』を振り返る

 ご存知ホリエモンことライブドア堀江貴文社長が捕まった。いや今では堀江前社長、堀江容疑者となった彼だが、あれだけチヤホヤしたマスコミは手のひらを返したように、一気に悪役まで押し上げた。まぁそんな事は先週の時点で「想定の範囲内」ではあったが、堀江氏最後の記者会見で「想定の範囲内ですか?」と質問する記者に失笑、いやそれは笑えないし、場違いな質問。たぶんあの記者はそんな質問をぶつければ、きっと全マスコミ、ニュースで採り上げられると踏んでいたのだろう。もはやマスコミはハイエナ同然、堀江氏は骨の髄までしゃぶられている。そんな堀江氏について書いたネタをここで振り返ってみたい。

 このコラム、ライブドア(という言葉の)初登場2004年9月10日と遅く、もちろんプロ野球新規参入問題がテーマだった。球団オーナーを馬主になぞらえ、「別に若造でも、他のオーナーのフルネームを知らなくても馬主にはなれる。ライブドアならとっくに有力馬主となっているだろう」と称した。実際、彼も当時からホリエモンという馬を持つ馬主でもあった。ちなみに馬名は公募、二位に選ばれていたのは『ブンカツテイオー』という名だったとは何やら因縁である。

 続いて同年9月23日、「楽天「本拠地仙台」は完全な後出しジャンケン」とコメントを出した。この時、追い風であった「ライブドア」の大きな挫折でもある。球団争奪の相手が「楽天」、しかも目のつけどころまでもが同じ仙台と、「弱肉強食、確かにビジネスとしてはこうした戦略もアリ」と楽天のやり方を称しても、敗者を擁護したくなるのは日本人だからか。そして11月2日には新規参入球団が決定。
「選ばれなかったライブドアは痛し痒しの結果。痛いのは十二球団目に選ばれなかった事。痒しの意味は参入が見送られ、株価が上昇した事である。そもそも春先、球団買収を表明した時点でライブドアの認知度は大きく上がり、企業としての彼らの欲求は満たされている」
結局、この時が堀江氏のターニングポイントだったという事、今回の事件の伏線ともなった。

 そして翌2005年2月20日、「ビター・スイート・サンバ」でニッポン放送株問題に触れた。
「現時点ではその鍔迫り合いの最中という事。堀江社長の野望はその巨大なフジサンケイグループを手に入れる事にある」
「堀江社長に言うメディアの融合はよく解る。ネットによる配信による即報性、双方向性にテレビ、ラジオ、新聞の強みを融合させれば、さらに大きな力を発揮するだろう。ただそれは同時にライブドア側のコンテンツの枯渇を露呈し、結果として堀江社長を人生の一大勝負に押し出した」

問題は後述の『ライブドア側のコンテンツの枯渇を露呈』であり、3月17日の『ニュースは買うもの』へとつながっていく。

「特にインターネットのほとんどのポータルサイトは、ニュースを買ってきている。だからホリエモンの発言は別段、不思議なものではない。だが何でも欲しがるホリエモンと同様にメディアも貪欲だ。小さなスキャンダルが命取りになる事もある。もし自らそんな自体を引き起こしても、ホリエモンはそんなニュースを買うのだろうか」
そして3月24日「テレビのチカラ」というコラムで、堀江氏に対する見解を方向転換した。

「もしライブドアが、単なるコンテンツの取り込みにフジを狙っているのであれば、大きな勘違いだと思う。だからこそ今の放送業界は映画制作に活路を見い出し、マルチな展開から放送からの相乗、あるいは回帰効果を狙っている。その活動はむしろライブドアよりも貪欲。(中略)ライブドアはネットドラマが関の山、そこまで見据えたビジョンがあるとは思えない。ネットとメディアの融合というお題目だけでは、フジが懐疑的になるのは当然だ」

「やはりテレビ至上主義は歴然だという事。先に述べた貪欲さはテレビ、放送業界にメディアの雄たる誇りすら感じる。そもそもドラマやバラエティはダメでも、ニュースを中心とした情報コンテンツはリアルタイムで知りたいし、視聴者に対し今も最も強い力を持つ。電波は日本全国を網羅、しかも在京キー局はわずかに6局、情報発信の重みは大きい。だからこそライブドア堀江社長はテレビを窓口に、自らの主張を続けてきている」

結局、堀江氏をホリエモンとして育てたのは実はネットでもなく、テレビだったと皮肉った。

4月20日「大衆の面前で、ホラをさけぶ」より、
「「業務提携できることになり、ワクワクしている」とはいうものの、テレビを見てしらけてしまった人は多い。実はワクワクしている理由が、多額のニッポン放送株の売却益だという事実。そりゃあれだけのギャンブルを勝てば、誰でもワクワクするだろう。そして最もクビをかしげたのが、あれだけフジ支配のお題目にしていたメディア論。記者会見中ではひと言も触れず、何処かに消え去ってしまった事である。その事からも、ホリエモンにとってニッポン放送株売却の主旨が、単なるマネーゲームだったと言わざる得ない」

「「やっぱりマネーゲームなんだ」と最初から見ていたならよし。かくいう筆者はそうだった。だが見ていた大衆、国民の大多数は、お台場劇場の中で何か新しい風を求めていたという事。そもそも世論を味方につけるため、繰り出したメディア論も絵に書いた餅でしかなかったし、結果として何の提案もできなかった。ホリエモンは大衆の面前、にこやかに記者会見に答えていたが、その一方で大衆の求める答えは一つも無かった。いや最初からそんなものは無かったのだ。無いものを在るものとして扇動しただけの事」

そして今思えば、この時点のボクの見解は間違っていなかったと思う。

8月21日「衆院選の戦い方を見る」
「衆院選は民主党よりホリエモン出馬のほうがニュースになっている事実」とひと言。当時それ以上、コメントすべき事は既に無かった。

12月1日「今年の新語・流行語大賞発表」で再登場。
「ただしホリエモンのマスコミ利用は前年の流行語『新規参入』で心得たものだが、『想定内(外)』=ホリエモン=ライブドアの構図が成立、ホリエモンにとっても思わぬ広告媒体に成長している」
そしてあの記者会見での質問は何とも皮肉。そしてライブドア・ショック以後のネタへと引き継がれていく。

 ここまで振り返ると、堀江氏はかなりニュースな人だったという事。しかしフジテレビ問題の決着で筆者を醒めさせた。彼がネットを活かしたと言えるのは、堀江氏の求めた多数の株売買を成立させた事。反面、ネットの人だった堀江氏が、テレビを媒介に強さを見せつけ、その後も世間とマスコミは彼に飛びついた。衆院選、そしてライブドア株の株価高騰、犯罪者でなければ由、しかし結果は...いずれ明かさせるだろう。一応名目上、まだ堀江氏は容疑者である。

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2006/01/21

耳をすませば

 昨夜のテレビ東京「ワールドビジネスサテライト」を観ていたら、小泉改革、民営化の急先鋒、猪瀬直樹氏が出演。森林や不動産、金融資産等の国有財産の問題点について触れていた。これらのうち森林、不動産を足すと、日本列島の四分の一が国有財産の占める面積に当たり、地方自治体まで広げると列島の二分の一までに広がるという。「これは社会主義国家並み!」と猪瀬氏の見解、その内容は非常にごもっとも、誰もが納得のいくご意見。しかし見ていてどうにも気になった事が、それは猪瀬氏の鼻に掛かった声だった。

 彼の辛らつな意見に耳を傾けても、その声はとにかく聞き取りにくい。今まで彼の出演番組を目にするたび、常にそう思っていた。まるで聞いているこちらまで耳が、いや鼻が詰まってくるような気がする。聞いているほうがつらくなってくるのだ。ボクは医者じゃないから判らないが、慢性鼻炎なのだろうか、あるいは無呼吸症候群なのかと勘ぐってしまう。猪瀬氏、その仕事ぶりに休む暇は無いと思うが、一度医者へ行ったほうが...いやいや余計なおせっかいだった。

 ニュース番組のキャスター、コメンテーターに問われるもの。時間内で適切かつ気の利いたコメントを求められている。そして聴きやすい言葉。その声質は重要だ。NHKアナウンサーは判で押したように同じ言葉遣い、発音を求められているが、その原点は『NHK日本語発音アクセント辞典』にある。ボクは高校時代に放送部に在籍していたが、アナウンス係に人たちは競ってそのアクセントを模倣していた。NHK高校放送コンクールという目標があってこそだが、これはNHKに限らず、民放各局でもバイブルとして扱われているようだ。これだけテレビが普及した今、言葉が画一的になってしまうのはやむを得ないだろう。

 人の声には感情、そしてその変化が表れる。その顕著な例が証人喚問の席に立ったヒューザー小島社長にある。最初に国会に召集された時、他の発言に対し、語意を荒げていたのが印象的だった。しかし先日の質疑の中では憔悴しきった姿、そして別人のような言葉遣いに変わり果てていた。彼の言葉にはあの「村西とおる」ばりの胡散臭さは消え失せていたのだ。それが演技なら相当な名優だろうが、そんなベールを感じなかった。ただボクの耳が節穴で無ければの話なのだが。

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2006/01/16

あの娘とスキャンダル

 矢田ちゃんが危ない。ドラマ「夢で逢いましょう」で共演した某男優(俳優廃業、歌手専念の噂も)とのロマンス。そのまま順調な交際、結婚、女優業続行、または引退、そんな青写真も見えてくる。確かにそこまでは別によかったが、その後はイケナイ。ラブラブで帰国も、某男優の怒号とそれを省みない二人の態度。マスコミなんて相手にしないって気持はあるだろうが、彼らは人気商売という事を忘れている様子。ある彼女の私設ファンサイトでは「今月いっぱいでサイトを閉鎖します」なんて貼り出されているし。

 一番の問題はせっかくのロマンスがスキャンダルとなりつつある事。態度より正しく意志を伝える、言葉に出すのが大事でなのにである。ここまで来ると両者の所属事務所もサジを投げたようだが、人気商売ゆえに今後の活動は多難が必至。特に大きな問題は彼女を使ったCMの数々。ヘタすれば次のCM契約は無し、総スカンを喰らう可能性も秘めている。今時、結婚を境に人気が下降するなんてナンセンス。それはドラマ「ママはアイドル」以前の話だろう。だからこそ「よーく考えよう、言葉は大事だよ...」なんて歌詞も浮かんでくる。

 さてその一方、ホリエモンが危ない。帰宅した頃の夜のニュース、大きな事件が飛び込んできた。ライブドアが証券取引法違反。まだまだ疑惑の段階だが、東京地検特捜部が大挙、総本山である六本木ヒルズを強制捜査。さぁ堀江社長、ネットやITの寵児とマスコミにもてはやされてきたが、今度のニュースの扱いは大きく違う。確かに彼はこのニュースの主役であるが、一躍『火中の人』、いや『渦中の人』となった。真偽の程はこれから明らかになるであろう。

 実は約九ヶ月前、ボクはこんな事を書いていた。「ニュースは買うもの」というコラムの中でこう締めくくっている。
「だが何でも欲しがるホリエモンと同様にメディアも貪欲だ。小さなスキャンダルが命取りになる事もある。もし自らそんな自体を引き起こしても、ホリエモンはそんなニュースを買うのだろうか。」

そして今日、先ほどライブドアのトップページからニュースを覗いてみると...
国内ニュース: 1月16日(月)21時5分更新
「[ライブドア]強制捜査 自民党幹部、堀江氏に早くも予防線」

ライブドア、どうやらこのニュースを買ったようです(苦笑)。

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2005/12/01

今年の新語・流行語大賞発表

 いよいよ十二月、師走である。とうとう今年ももう終わりなんですね。あちこちのマスコミで今年の総括が始まるそんな今日、「現代用語の基礎知識」でおなじみ、自由国民社の今年の新語・流行語大賞が発表がされた。大賞は『小泉劇場』と『想定内(外)』の二点。思い出してみれば、今年前半はホリエモンのフジテレビ買収騒動、後半は小泉総理による自民党圧勝が最大のニュースだった。その点で発信源の個性、そしてそれを形容した言葉、この二つの流行語の選出は相応しいと思う。

 ただ一般的に使い易かった言葉なら、後者の『想定内(外)』のほうだろう。日常的に使っていたし、あのニュース以後、活用の場は大きく広がった。普通に使うだけでなく、この言葉一つで笑いも取る事ができる。たぶん一過性の流行語に終わる事はないだろう。ホリエモンのマスコミ利用は前年の流行語『新規参入』で心得たものだが、『想定内(外)』=ホリエモン=ライブドアの構図が成立、ホリエモンにとっても思わぬ広告媒体に成長している。

 実はこの流行語大賞、ちょっと気になるのがトップテンに並ぶ言葉たちだ。毎年「何でこんな言葉が選ばれるの?」と思うものが少なくない。ただ珍しく、今年はそう思ったのは『富裕層』くらいで、あとは無難な選考だった。どの言葉も流行語として思い当たる年は珍しい。そして十二月の存在。この月に生まれた流行は翌年に引き継がれない限り、その存在は認められない。これは流行語大賞に限らず、トレンド、ヒット商品等、その全てが当たる。ただ国民皆が今年を回顧、総括し始める月だけにやむを得ない面は多い。

 さて今、個人的に流行語大賞候補を挙げるとすれば、そんな十二月に滑り込んでしまった『耐震計算偽造』に始まった一連の語群である。『姉歯』『イーホームズ』『ヒューザー』『小嶋社長』等など、さらに国会を巻き込んで言葉は増えていくばかり。本来、流行語の意義を考えた場合にその時世、社会を映す鏡といっていい。バブル、不景気、リストラを通過した日本経済。今回の『耐震計算偽造』の一件はそうした中のシワ寄せの一部。景気に光明が見えてきた日本経済だが、後遺症はまだまだ癒えない...そんな衝撃が浮かぶ言葉たちだと思う。

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  『唄うパイロット嶋進太郎』こと小嶋社長。
   今や時の人です[東京スポーツより]

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2005/08/24

生き残るためのフォーマット

 次世代光ディスクのブルーレイとHD DVDの規格統一交渉が、ほぼ決裂に終わりそうだ。年末にはパッケージソフトの第一弾タイトルが発売される事を考えれば、もうデッドラインを超えてしまった時期にあたる。お互いの窓口、ソニーと東芝は他事業で協力するも、次世代光ディスクに関しては、大人の事情で袂を分かつ事になってしまった。現在、現行記録型DVDはほぼ収束時期に入り、やっと二層記録式が出始めた矢先だが、スムーズな移行が求められる中で冷や水を差すような出来事となってしまった。

 二大フォーマットの対決はかつてのVHS対ベータ(ビデオテープ)、LD対VHD(ディスク)、8mm対VHS-C(ビデオカメラ)とあったように、この業界では定番となった戦いだ。統一によるウマミよりも、戦って勝利した時に生まれるメリットを優先する、それがこの業界の基本的な考え方である。稀にNECの発売したMVDISC(Multimedia Video DISC)フォーマットのような変り種も登場するが、それらは政治におけるミニ新党のようで、実際は一般への浸透に至らない。

 そしてその根底にあるのは「生き残るためのフォーマット」を模索する事。当事者にとってはまさに死活問題である。生き残るためには大きなものに巻かれるし、妥協もする。その違いが大同小異となりつつも、その小さな違いが当事者にとって重要と説く。そして主義主張を曲げようとすれば、やがて弾かれてしまう。そんな状況、どこかで見たことはないか。郵政民営化法案における賛成派と反対派、自民党内部の動向と似ている気がする。反対派の切捨ては、小泉総理の「生き残るためのフォーマット」の模索の末の出来事といえる。結果、反対派はミニ政党になっていった。

 二大政党制を説く民主党も、自民党に対するアンチフォーマットだが、大同小異な点は先の郵政民営化反対派とほとんど立場は変わらない。そもそも自民党やその他野党の人材が結集した「生き残るためのフォーマット」である。しかも結束でなく結集である点は見逃せない。だからこそいまだに意見のまとまらない、頼りない野党第一党のままなのである。いいモノ、いい政治をするには「生き残るためのフォーマット」から「喜ばれるフォーマット」への転換が必要。例えばパッケージソフト、現在のDVD-Videoは老若男女から大きな支持を得た事を省みると、できる限りの規格統一は不可欠。何事も同じ、モノ作りしかり、政治しかりなのである。

050824
         民主党はベータなのか?


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