2023/07/15

「君たちはどう生きるか」を観る(ネタバレ無し)

今日は宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるか」を観てきた。タイトルに使われた原作本は未読。鑑賞前のネタバレはキャスト2名と主題歌の件のみ。ほぼ何も知らない状態で観る事ができた。観終わって感じる事はいろいろあるが、力作と感じさせない力作といったところ。

タイトル以上のキャッチコピーは不要。だからといって作品中、テーマのゴリ押しは一切なく大人から子供まで観られる作り。しかも物語、映像表現、愛らしいキャラクター等々宮崎作品の集大成。ただ様々な暗喩が感じられ、タイトル共々大人ほど難しく考えてしまうかもしれない。

大人になって失ったものとか、母と子、命とか、争い事とか感じる点は多々あったが、力を抑えた演出や映像だからこそ伝わるものがある。あっさりさは好みの部分もあろうが、自分にはピタリと波長が合った。エンドロール中、作品に込められたメッセージを噛みしめる。

ちなみにあるキャラクターに誰の声かと?耳馴染みだなと感じたが、エンドロールで判った。彼は本当に巧い。様々な世界をシームレスに繋いだのも彼のおかげ。これまでの宮崎作品でもユーモアを醸す狂言回し的なキャラは出てきたが、そのキャラクターこそ影のストーリーテラー。それ以上は言えないなぁ。

また事前情報が無かった事が幸い、アンテナ全開で鑑賞したのも良かったと思う(劇場にはチラシさえ無かったし)。観るなら公開直後の今がいいかもしれない。

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2023/06/16

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」を観る

今夜は「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」を観てきた。マイルス・モラリスを主人公とした約3年ぶりの続編。前作と同じ日本語吹替版の選択肢もあったが、上映時間が少し早い字幕版を観る事にした。これまでのマーベル作品に全てのスパイダーバースを織り込みつつ、想像を超えた世界が繰り広げられる。

ポップでグラフィカルな世界観を継承、それでいてCGを駆使しスピーディーで大胆な映像に圧倒された。これをみると日本のアニメが最先端と呼ぶ時代は終わったと思わせる。アメリカのアニメキャラデザインは少々苦手(例えば「スターウォーズ」のアニメシリーズとか)だが、この作品なら許容する。ズバリ、グウェンが可愛いから。

さて物語は前作と対を成す上、本作はその三部作の中核。だからこの作品だけで完結しない(元々「アクロス・ザ・スパイダーバース」自体は二部作の予定だった)。それを知った上でもなかなか衝撃的な展開が待っている。マイルスがスパイダーマンを巡る運命に翻弄され、自らその扉を開いた時...早く、もう次作が待ち遠しい。

これでもかと夥しい数のスパイダーマンたちが現れるが、一見では見通せまい。劇場での把握は困難でビデオ案件。メインの物語に絡むスパイディはグウェン以外もなかなか特徴的。この辺の描写は前作より「ドクター・ストレンジ2」の世界観、語り口が色濃いかもしれない。そういった点が巧くミックスされていると思う。

140分の上映時間も緊張は途切れずに最後まで見逃せない。ただちょっとした物足らなさがあるとすれば、完結しない故の宙ぶらり感からかも。ただ本作が次作のハードルを大きく上げた事だけは確か。凄い映像体験にソニーのスパイダーマンユニバース、アニメだけは大成功と言っていい。

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2023/02/23

「BLUE GIANT」を観る

今日は間髪入れず10分後に映画2本目。ジャズアニメ「BLUE GIANT」(ブルージャイアント)を観てきた。上京したサックス奏者の大がピアニスト雪折と出会い、かつての同級生の玉田を巻き込んでジャズトリオを結成。デビューライブから彼らが目標とする「SO BLUE」のライブまでを描く青春サクセスストーリー。

アニメと侮るなかれ。最初から最後まで音楽に溺れて物語に浸たれるいい映画。実は原作は第一巻(Kindle本)だけを持っているが、その後機会無く止まっていた。原作は大の学生時代から描かれていたが、映画でその辺は回想止まり。上京後の2年間を主に小細工せずどストレートな構成。

大の演奏は既に秀でた存在。雪折とのコンビネーションと玉田のスキルアップでトリオは成長、3人の友情も演奏を重ねて強く結び付きあう。声を充てた3人(山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音)は違和感なくとても良かった。演技がいいからそのまま物語に惹き込まれていく。

そして何より音楽、ジャズ演奏のシーン。「THE FIRST SLAM DUNK」同様、モーションキャプチャーはマンガを超えた迫力を演出。映画を通してまるでライブを観ているようだった。音楽は上原ひろみ。彼女のセカンドアルバム「Brain」は持ってるせいか、曲(特にメイン曲「FIRST NOTE」)の端々に彼女のメロディーを感じ、劇中のアンコール演奏は堪らなかった。

ライブが大きくなるたび劇中の3人を支えた人々の気持ちに感情移入、物語と音楽の織り成すシナジーに気がつけば涙が。年のせいで涙腺が弱くなったのか、いやこの映画が良かったのだ。原作を読み直し、読み進めたくなった。もちろん続編「BLUE GIANT SUPREME」映画化にも期待。

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2023/01/30

「S.H.Figuarts アメイジング・スパイダーマン」商品化中止と購入計画変更

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プレミアムバンダイから届いたメールに茫然自失。何と「S.H.Figuarts アメイジング・スパイダーマン」商品化中止の知らせだった。商品は「交換用頭部2種」「取れたマスクパーツ」が肝でマスク無しの頭部を再現が大きな売りだった。だが「商品化進行上の事由により、現状の仕様での商品化が難しい状況」とあり、マスク無しの3人を並べる夢は潰えた。

ツイッター界隈では肖像権がクリアできなかったのでは?と噂が錯綜しているが、本当のところは不明。ただ「交換用頭部2種」「取れたマスクパーツ」を除いた仕様で発売されるとの事。しかも3カ月連続で予約を受け付け内、「S.H.Figuarts フレンドリー・ネイバーフッド・スパイダーマン」・「S.H.Figuarts スパイダーマン[インテグレーテッドスーツ]-《FINAL BATTLE》EDITION-」の2種もキャンセルを受け付けるときた。

実は3商品とも予約していたのだが、「...[インテグレーテッドスーツ]-《FINAL BATTLE》」だけは若干の迷いも勢いでポチッとしてしまっていた。そもそも既発の[インテグレーテッドスーツ]を持っているのでダブってしまう。だが素顔の3人が並ばないのであれば、あえて《FINAL BATTLE》版に拘る必要は無くなった。という事でこちらをキャンセル。

とはいえ、素顔で無くとも3体共揃えたい。素顔の付かない「【仕様変更版】S.H.Figuarts アメイジング・スパイダーマン」は予約決定。価格は7,700円(税込)と少し安くなったし、先の《FINAL BATTLE》版のキャンセル分財布の負担が無くなった事はとても大きい。東映版と合わせ、4人のスパイダーマンを並べる日はそう遠くないだろう。「おい、東映版も持ってるのかよ!」と自分にツッコミ。

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2022/12/29

「THE FIRST SLAM DUNK」を観る

今日は「THE FIRST SLAM DUNK」を観てきた。90年代週刊少年ジャンプに連載されたバスケマンガの金字塔。のちにテレビアニメ化もされて主題歌共々人気を博した。そんな「スラムダンク」だが、実はマンガ未読、しかもアニメは一度すら見た事が無い。

そんな自分でも今回の再アニメ化を知っていたものの、正直興味は無かった。外野から声優交代でひと騒動。ただ知らない身にはどこ吹く風。それでも1ヶ月前、あの予告編を観た時、これは何かが違うと感じた。一気に興味を惹かれ、今日の機会となった。

今回、原作者井上雄彦自らが監督する本作。映画が始まった途端、巻頭カラーでブチ抜き2時間読み切りマンガのよう。かつてのアニメをリセットした意味がそこにある。モーションキャプチャーでトレースした選手の動き、ドリブルやフェイントに靴の擦れる音が生々しい。

おちゃらけた描写はほぼ無く、山王工業高戦を軸にインサイドストーリーで紡いでいく。原作の主人公、桜木花道(それだけは知ってる)は狂言回しとしながら、ゲームメイクに存在感を発揮。湘北高校バスケ部の面々の短いエピソードを重ねながら、本作の主人公宮城リョータの姿を描く。

まさにこの映画はスポーツ観戦の感覚。それでいて人物の掘り下げも忘れていない。原作未読の自分でも、気持を鷲掴みにされる思い。原作ファンからはもっとエピソードがあるはずと言うかもしれないが、必要最小限に留めて劇的に演出していく。そのテンポ、緩急の巧さと迫力ある映像に唸る。

これは一種の映像体験かもしれない。だからといって物語に手抜きはない。今年のうちに観て良かった、まさに原作マンガに寄り添ったアニメと思う。もし同じ劇場で選ぶ事になるのなら、3時間の「アバター」よりも2時間の「THE FIRST SLAM DUNK」をオススメする。

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2022/12/24

水木一郎「兄尊(アニソン)」を聴く

水木一郎さんの「兄尊(アニソン)」を聴いた。このアルバムを買ったのはリリース当時の1999年。バラエティ番組で水木さんの人気に火がついて、1000曲ライブを行なった頃。最強ベスト盤ながらこれまで好きな曲ばかりを選んでいたのだが、今回初めて一曲目から最後まで曲順通りに聴いてみた。

最高の作曲陣(渡辺宙明、菊池俊輔、小林亜星、羽田健太郎他)の作るメロディーが支えるように圧倒される歌唱力。ベストアルバムながら実は緻密に曲順が決められている事に20年後の今気づく。そもそも水木さんの歌はシャウト系に留まらない。バラードこそ際立つ力量。ボルテスVのED曲「父をもとめて」は沁みる。子供の頃、次回予告を待つよりもその唄を聴きたかったのだろうな。

そんな選曲とテンポの緩急が絶妙で全41曲はあっという間。楽曲は長くて4分、ほとんどが3分前後と子供達の聴く曲の王道。「マシンハヤブサ」「大鉄人17」「仮面ライダーX」等ソノシートやレコードで何度も聴いた曲が並ぶ。そして締めはライブのアンコールの如く「おれはグレートマジンガー」が気持ちいい。東映まんがまつりもマジンガーで締めてたよなぁ。

水木一郎さんを「アニキ」を呼ぶにはおごがましいと思いつつもリスペクト。「アニキ」の呼び名は前述のバラエティ番組「うたエモン」から始まったと記憶する。当時はいち視聴者、少し弄ばれてる感での登場だった。だがそれがうねりとなって1000曲ライブを実現。皆の心の中にアニキの唄が住みついていたんだね。地元のレコード店で予約特典にいただいた直筆サイン色紙は家宝です。

最後に水木一郎さんのご冥福をお祈り致します。

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2022/10/02

「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観る

Amazonプライムビデオで「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観た。ファーストガンダムの1エピソードをTHE ORIGIN版として映画化。冒頭「第15話を翻案」とテロップが入り、画はもちろん、物語にまで手が入った安彦タッチにアムロとドアン、子供たちとの交流が描かれていく。

先に言っておくと劇場で観るのを迷いつつ、ある助言を得て止めた経緯がある。ガンダムは自分の中で「逆襲のシャア」をもって終わっており、THE ORIGIN版は第1話しか見ていない。全シリーズを総括するターンエーガンダムを除けば、意外と思い入れが無い事にその時気付かされた。まもなく「今回の映画はまぁいいか」というスタンスに変わっていた。ちなみに今日からの「水星の魔女」もリアタイしないかも(まだプロローグも見てないし)。

さて本作。よく言えばファンサービスに溢れ、高レベルの作画に歓喜できる映画。綺麗にモデリングされたガンダムやザクがバトルし、破綻の無い映像と迫力に圧倒される。しかもアムロ役の古谷徹さんの集大成たる名演(ファースト中盤で成長前の微妙な時期)も良かった。そんな時、安彦タッチの表情が良く似合う。オデッサ作戦前にジムやコアブースターが出てくるのはファン向けの配慮なのかも。

その一方で物語における緩急が不足、1時間48分はちと長い。小さなエピソードにやや間延び気味な演出が必要以上に挿入されている気がしてならない。映画となれば断腸の思いでバッサリやって欲しいが、それすら安彦さんのやさしさに思ってしまう。そのせいかドアンの意思や戦争の残酷さが希薄になってしまった。ラストシーンがどことなく劇場版哀戦士篇が重なった気がして良かっただけに残念。

最後に一言。高い値付けの特別料金で上映されたこの作品。上映システムを理由にしているが、利益追求で選択した事に変わりない。最もこの作品を伝えたい子供たち、ファースト未体験者への門戸を広げる意味なら通常料金でこそ意味がある。結局劇場でこの作品を観なかったのは、バンナムへの抗議の意味が最も大きかったから。

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2022/06/19

「FLEE フリー」を観る

今日は映画館で「FLEE フリー」を観てきた。今年のアカデミー賞でも3部門にノミネートされたドキュメンタリー。遭遇した過去を語るアフガニスタン難民のアミンの姿をアニメーションで描いた。a-haの「Take On Me」で始まり、柔らかタッチながら次々と過酷な現実が突きつけられていく。

アニメで描く理由(一部仮名)に取材者の安全を担保する意味がある。例えばソビエト国内での出来事、一方的に金で解決させる内情の腐敗ぶりと恐ろしさ。そんな舞台となったマクドナルドの店舗前、今やウクライナ侵攻の果てのマック撤退と共に時流を感じる。ちなみにアミンが国外脱出する際乗ったのはウクライナ航空だった。

アミンたち家族は祖国を追われ、自由を求めるたびに大きな障害にぶつかり突き放される。戦争で振り回されるのは常に弱者。観る側に芽生えるその思いだけは変わらない。楽しい場面は皆無、とにかく淡々と描かれていくため、かなり観客を選ぶ作品ではある。

LGBTがクローズアップされる今とあって、アミン氏のもう一つの壁が明かされる。「家族に明かせなかった」と悩んでいた彼の解放が最後に控える。タイトル「FLEE フリー」はダブルミーニングなのだろう(追記:正確なタイトル和訳は「逃げる」。ダブル...というには意味合い違うかな)。

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2022/05/27

「ハケンアニメ!」を観る

今夜は盟友N氏からの久々の誘いもあり、「ハケンアニメ!」を観てきた。吉岡里帆主演、主人公が手掛ける初監督作と同じ時間枠で激突する中村倫也演じる人気監督の王子とのアニメ対決を軸に奮闘するクリエイターたちの姿を描く。

物語はオーソドックス。正攻法でぶつかっていく瞳、地力を発揮して視聴率競争を制す王子。だが周りが見え始めた瞳の番組が猛追、いよいよ両者は最終回週を迎える。そんな葛藤とクリエイター魂をお仕事映画アプローチで見せていて面白い。

作品に精魂込める監督、才能を見抜いたプロデューサーの想いは四者四様。それを表したような劇中アニメ2本のクオリティは折り紙付き。さらに周りを支える演者たちも個性的。中でもNetflix版「新聞記者」「カムカムエブリバディ」の小野花梨がいい味出してる。

この作品を観ると監督に徹する富野由悠季、プロデュースを兼ねる庵野秀明の違いを感じる。シンエヴァ以降の庵野さんのインタビューをみると、興収を意識した点は見逃せない。一方、劇中王子の最終回製作での葛藤は富野さんを観ているようだった。やっぱ富野さんは純然たるクリエイターなのだなと。

閑話休題。惜しむらくは前半の瞳の空回りぶりに対し、王子との直接対決まで物語の導引がやや物足らなかった事。それとセリフや描写にアニメネタが使われるのだが突然、異物のように思えたし、物語同様に正攻法でいって欲しかった。ただ一貫して好きなモノ作りの執念をみせてくれるのは嬉しい。

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2022/05/18

「頭文字D 5th stage」と 「頭文字D final stage」を観る

アニマックスで放送されていた「頭文字D 4th stage」と 「頭文字D final stage」を観終えた。プロジェクトDの神奈川エリア遠征、そして 「final stage」で待つ藤原拓海最大の敵とのバトルが描かれていく。

「4th stage」になってCGは格段に向上。クルマの見た目の質感はもちろん、サスと車体の挙動に至るまでリアル。OPのタッチを見て昔PS2でプレイしたゲーム「アウトモデリスタ」を思い出した。画のクオリティは「1st stage」から 「final stage」まで一定でない分、その変遷はある意味味わい深い。しかも作品をここまで楽しませてもらえば、あえてリブートされた新劇場版を観たいとは思わない。

見どころは多くあるが、やはり高橋涼介と北条凛、二人を結ぶ秘密と想いがぶつかる死を賭けた一戦。荒技も厭わない死神GT-Rと智を持って救済しようとするFC=RX-7。超高速バトルの中で明かされる過去。絶体絶命の状況でもう一つの想いがぶつかる。その結末、涼介と凛の姿が清々しい。もちろん拓海と信司、ハチロク同士のバトルは最大のクライマックスとなった。

「頭文字D」とは何と清々しいマンガなのか。最終決戦、息苦しい位に続くバトルを見届けるライバルたち。その一人一人にドラマがあり、気持ちのいい連中。最終話、その大団円には観ているこちらは感極まる。登場人物と同様、主役のクルマたちのは個性的で魅力に映り、 バトルを観ているだけで惹き込まれた。ラスト、拓海のインプとすれ違う86は明らかに続編を意識したのだろう。

樹のセリフじゃないが、やっぱFRが欲しくなる。現行ハチロクの購入、維持費を含めて絶対ムリ。ホント、F-SRを凍結したトヨタは罪深いよ。スイスポに不満はないけれど、3年前予定通りであれば操るステアリングは違ったはず。まぁいつか、FRスポーツを運転する日が来たらいいな。それはオレのプロジェクトD (ドリーム)という事で....(おしまい)

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