「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を観る
エヴァとは超SF、超リアリズム、そして純文学だと思う。テレビシリーズ、旧劇場版も同様ではあったが、本作はより色濃くかつバランスがいい。序盤の味わいは「アベンジャーズ/エンドゲーム」を思い出す生活感溢れるリアリズム。だが物語が進むたびエヴァらしい超SF描写、圧倒的情報量で人類補完計画、碇ゲンドウの野望が繰り広げられていく。
その行く末はパーソナルな部分に斬り込むエヴァらしさ。ある種呆気に取られ、扱いがぞんざいだった旧劇場版と異なる救済。本作ではシンジだけでなくほぼ全てのキャラクターに及ぶ。特に碇親子の関わり方は作品、形は違えど「エンドゲーム」におけるトニー・スタークの立ち位置に近いかもしれない。
徹底して嫌なものを見せ、現実へ帰れと突き放した旧劇場版。本作では同じ轍を踏まずに降り立つ着地点。第三作Qにおけるエヴァの呪縛、14年がここで効いてくる。 言いたい事は旧劇と同じでも、その殻の破り方が違う。むしろこの語り口はまるで観客に寄り添うようだ。キャラクター、監督スタッフ、そして観客の心の救済。もう「気持ち悪い」なんて言わせない。まさに大人の終劇。
それにしてもエヴァらしくSF描写が凄い。想像をはるかに超える冒頭のエピソード、新エヴァシリーズ、怒涛の戦闘に世界観。劇中経過14年あっての更なるオーバーテクノロジー。旧劇あっての点もあるが、人類補完計画、フォースインパクトと凝視。これまでの伏線回収にこぼれ落ちるほどの情報量とセリフ。もう一度観るか、IMAXもありかなんて思わせる。
けどエヴァはもう卒業でいいんじゃないか。本作で俺の呪縛は完全に解けたよ。きっと庵野監督も。エログロ無し、物語として序盤のリアリズム描写に惹かれたし、そのおかげでメッセージはちゃんと受けとった。今だからこそポスターのキャッチも強く伝わる。もし次に観る時はあくまでSFとして エヴァの世界観に浸りたい。
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