2026/04/22

午前十時の映画祭16「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を観る

今夜は午前十時の映画祭16「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」を観てきました。1995年公開のアニメ映画。押井守監督の海外での知名度が上がるきっかけとなった作品でジェームズ・キャメロン監督の本作への絶賛や、のちに公開された「マトリックス」への影響も散見されます。

午前十時の映画祭で動員が見込まれる作品は夜の上映回を設けています(昨年であれば「七人の侍」)。18:00の回でもそこそこの客が入っていました。残念ながら2K上映でしたが、中クラスのスクリーンは嬉しかったです。

物語は近未来、高度に発達したネットワークと義体テクノロジーの中、人形使いと呼ばれるハッカーを捜索する公安9課、草薙素子(CV:田中敦子さんのクールな声が素晴らしい)らの活躍を描いています。クライマックスでは素子が対峙する中、人形使いの真意が語られていきます。

その内容は正直、難解。でも何処か理解できそうな感覚を持ちますが、結局はその真意の全ては解らない。だからもう一度観たくなる作品なのです。ただこれは押井守の演出力よりも、伊藤和典脚本によるものだと思います。同じ伊藤脚本による劇場版「パトレイバー1,2」(以下、パト1,2)も全ての謎、真意を理解するのは難しい、その匙加減が実に秀逸なのです。

残念ながら伊藤和典が離れた続編「イノセンス」は難解さだけが一人歩き、いや独りよがりな自身による脚本に押井守の悪い面だけが出てしまった気がします。本作は何度も観る魅力を持っていますが、「イノセンス」は映像の美しさだけ印象的で、いまだ劇場で観た一度きりのままです。

本作は「イノセンス」に比べ作画力は劣りますが(CGもパト1レベル)、冒頭のダイブやアクションシーンの数々と哲学的なセリフによる緩急が見事です。川井憲次による音楽も映像のエキゾチックさを補完していました。仕事上、生成AIの進化に舌を巻く日々ですが、30年前のこの作品が描く世界へさらに近づいたのだと実感しました。パト1同様、先見性を感じる作品ですね。

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2026/04/05

午前十時の映画祭16「AKIRA」を観る

今日は盟友N氏と午前十時の映画祭16「AKIRA」を観て来ました。大友克洋原作・監督による1988年公開のアニメ映画で我が血肉となった作品の一つ。盟友N氏は初、私は約6年ぶり(前回はコロナ禍のIMAX上映)のAKIRA詣、今回はBESTIA上映なので最大級スクリーンでの上映が嬉しいところです。

これまでこのブログで何度も触れて来たように「AKIRA」はレーザーディスク、Digital Sound(リニアPCM)のおかげで擦り切れる程に観てきた作品(のちに漫画版も読破)で手書きアニメの凄みはクライマックスに集約されています。そして何より得体の知れなさを表す芸能山城組の音楽は「観るよりも感じろ」を体現するものです。

さて今回観た印象、特に音についてなのですが、IMAX版やかつてのレーザーディスク版とも違うマスタリングのようでした。低音やサラウンドの明瞭度が後退した感じだったのです。ズドーンと来るはずのタイトルや金田のバイクがアクセルを吹かす所等、やや拍子抜けしました(事後確認したところIMAX版もフラットだった様子)。やっぱり我が至高の音はレーザーディスク版です。

それでも大スクリーンで観る「AKIRA」は至福の時間でした。沁みついたセリフ群に時々シンクロしたり、ニヤッとしたり。「さんを付けろよデコ助野郎」なんてね。21世紀になり、死語になった言葉も少なくありません。また劇中に登場するテレビが薄型で無いもの、ある意味時代ですね。

オリンピック会場からクライマックスに至るまでのシークエンスは何度観ても圧巻。鉄雄が巨大化、制御を失っていく姿、その後”宇宙”が生まれていく様、そして終局まで「燃えよドラゴン」よろしく「考えるな、感じろ」を地で行く展開で、鑑賞中はクラシック音楽を聴く時と同じ境地だと思います。

映像はIMAX版と同じ4Kのようですが、やはり画の力だけでいけばIMAX版が最高でした。「AKIRA」は画面が大きい程に真価を発揮するアニメだからです。カットによっては手書きだと実感するシーンもあるのですが、大半のシーンは情報量の多さに圧倒されます。

正直、永遠にハリウッド(実写)リメイクしなくて良いですよ。この機会に是非、歴史的名作「AKIRA」詣をオススメします。

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2026/02/05

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」を観る

今夜は「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女」を観てきました。前作公開の2021年から5年ぶりの続編。一応、本編上映前に前作のおさらいはあるのですが、観たのは劇場一回のみでほぼ忘れていましたね。本作は前作以上に「逆襲のシャア」の影響を受けた作品でした。

アデレード襲撃を進めるハサウェイたちと連邦軍ケネスの対決を軸に彼らに関わるギギ・アンダルシアが物語を彩ります。ただ正直、前半はタルいです。ハサウェイ自身は主人公として地味。マフティー、連邦各々の組織内の人間模様が描かれますが、少々平板に感じました。

それよりも驚かされるのが映像クオリティの高さです。見どころはズバリそこ、キャラクターを除けば実写と見間違う程。建物に風景、波間に至るまで、まるで実写をトレースしたようなクオリティ。中でも風にはためくカーテンは本物かと思う位に凄かったです。

メカ描写もクオリティが高いのですが、個人的にクスィーガンダムの重厚過ぎるモビルスーツ戦は好きでありません。あのデザインだから仕方ないのですが、富野ガンダムのような躍動感ある演出がないからです。ただクライマックスはまんまでしたね。ここの演出を富野御大はどう思うのでしょうか。

また前作同様、暗いシーンがあって観難かったなぁと。今回は海外公開を意識した楽曲、特にエンドロール(個人的にネット上でアーティスト共々ネタバレしていましたが….)。それよりも最後を飾る次作がなるべく早く公開される事を祈ります。

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2026/01/11

「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」を観る

Netflixで「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来」を日本語吹替版で観ました。2019年製作の中国アニメ。人間と妖精が共存する世界で人間社会との軋轢をめぐり、霊力ある者たちの戦いを描いたファンタジーとなっています。

実は盟友N氏が近日、この「羅小黒戦記」の続編を観に行くという話を聞いた事、さらに先週の「佐久間宣行のANN0」で同じく続編をプッシュしていた事から、その前作に当たるこの作品のチェックを入れるべく観てみました。もし面白ければその続編を観ても良いかと。

昔の中国アニメの流れを汲んでいる点は線が太めなキャラクターデザインに表れています。しかも可愛めに施されるも、確かにスピード感があるバトルは見応えがありました。この辺の表現は日本アニメと大きな差を感じません。ただ製作国云々でなく、個人的にこの手の作品に興味が無くなっているようです。

この作品は連続シリーズの前日譚という位置付けらしく、ある程度キャラクターへの思い入れが前提に作られた気がします。そのせいか前半、ムゲンとシャオヘイの件が少しダルかった。ただ電車バトル以降のムゲンとフーシー側の攻防からエンジンが掛かった感じです。

キャラクター的に黒猫の妖精シャオヘイ(日本版の声は花澤香菜)が人気になるのはよくわかります。バトルもの自体、”手を替え品を替え”の中で似たものになってしまうのですが、一見さんには少々ツラい作品なのかも。現在公開中の続編は好評のようですが、配信でいずれ…という結論です。

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2025/12/26

「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」1クール目を観る

「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」1クール目、第12話までを観ました。今年は珍しくテレビアニメにハマった年、たった二作のみだけど。

春シーズンは「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」で盛り上がり、そして冬シーズンはこの「東島ライダー」です。しかもこれまた今のアニメに珍しく2クール放送という話。毎回激アツ展開がもう1クール続くのです。

さてこの「東島ライダー」は「ハチワンダイバー」(仲里依紗がヒロインを演じた実写ドラマ観てました!)の柴田ヨクサル原作による作品。物語は1号、V3やストロンガーなど昭和ライダーへのオマージュに溢れており、しかもパロディとシリアス感の絶妙なバランスが特徴です。

ショッカーが存在する世界にライダーごっこを超えたなりきりライダーたちが挑む構図。蜘蛛男と東島ライダーの対決や、なりきりライダー同士のトーナメントがあったりとどのバトルも面白かった。

劇中、東島丹三郎はタイトルキャラで主人公っぽいのですが、実際は狂言回し的なポジションです。とはいえ、底知れない強さを感じます。V3の一葉やライダーマンの二葉兄弟に、二葉の彼女でショッカー戦闘員のユカリスとどのキャラも濃く立っています。

でも中でも好キャラなのが、口上は「電波人間タック!」ことタックルの岡田ユリコですね。柴田ヨクサルの描くキャラらしく本家よりもグラマラス。東島丹三郎が相当イカれてるので多少和らいで見えますが、この子も十分にイカれてます。しかも圧巻のセクシーアクション、電波投げを繰り出していくのです。

彼らなりきりライダー同士の人間模様、化学反応に加え、ショッカーになりたい男の中尾の悲哀。古風なヤクザでCVはドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」「べらぼう」でも活躍した津田健次郎を配し、その役柄の幅広さには恐れ入ります。

街に蔓延る戦闘員たち。そして蜘蛛男で始まり、第12話ではもう一人の怪人が…今後ショッカーがどのように描かれていくかにも興味があります。

この他、特筆すべきはOPテーマ曲「Wanna Be」。思わず配信で買ってしまいました。今風のAメロ、BメロからCメロへの変節が聴きどころ。そこからのボーカルが松崎しげるだからです。熱血を表すような歌詞と相まって一気に惹き込まれます。昭和ライダーを彷彿とさせるムービーもいいですね。

そんな「東島ライダー」あと1クール、楽しませていただきます。

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2025/10/30

「ホウセンカ」を観る

今夜はシネマサンシャイン沼津で上映最終日となる「ホウセンカ」を滑り込みで観てきました。「オッドタクシー」のクリエイターチームによるアニメーション作品です。

物語の舞台は1980年代末のバブル突入期。地価高騰の流れはヤクザたちをも潤し、その一人、阿久津は内縁関係の那奈、彼女の息子健介と一緒に暮らしていました。だがやがて健介に重い病気が見つかり、多額のお金が必要になってしまいます…

幸せに暮らす阿久津がバブル期に我を失い、ある出来事を境に那奈と離れ離れに。その過程がとても切ないのですが、(明らかにミラクルさん=)ホウセンカの登場でユーモアをもって阿久津の思いが描かれていきます。

柔和なキャラデザインと現実味ある美術も良かったです。絵が得意な阿久津を表す上で非常に重要だったし、また冒頭の花火大会とその伏線、対となるシーンといい、阿久津の人生にリアリティを感じつつ、ファンタジー色の塩梅が実にマッチしていました。

また昨日の旧劇エヴァ同様に阿久津と那奈の会話がとても今の俺の心に刺さりました。人生の大きな分岐点に来ているからだと思います。劇中の阿久津のように一発逆転といきたいところですが、とにかく今は慎重に静かに粛々と過ごすしかないです。

ちょっと不器用な阿久津の人生に感情移入しつつ、彼の思いが彼女へ届いたラストシーンが良かった。いつか同じように思いが届くといいなぁと。それと「オッドタクシー」は未見なのでこれを機に観たいです。

追伸.
クルマ好きには時代を表すようなベンツ190E、シビック、そしてアクアの登場がとてもリアルでした。あとエンドテーマにもなっている「Stand by Me」の劇中の扱い方が良かった。家族との生活って小さな喜びの積み重ねに尽きるのですよね。

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2025/10/29

「新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に」を観る

今夜は月1エヴァとして現在リバイバル上映されている「新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に」を観てきました。1997年公開のアニメーション映画。庵野秀明監督がその後、袂を分つ事になるGAINAX製作で最後の作品。配給は東映ですが、スターチャイルドやテレビ東京のロゴもオープニングを彩って懐かしいです。

本当は今回の月1エヴァで「シト新生」(=魂のルフラン)も観たかったけれど、予算と予定上無理と判断。せめてこの旧劇場版だけはどうしても観たかった。皆が期待した真(シン)の人類補完計画に対し展開された映像の数々。あの夏、鑑賞後に何とも言えない空気に包まれた劇場の事を今も忘れられません。

あの頃の場末の映画館と違い、シネコンの音と映像の素晴らしさ。音響、サラウンドとそのセパレーションの良さも多くのシーンで感じました。”偽りの再生”直前のアスカに対する囁きの数々が生々しかった。

しかも今回はBESTIA上映なのでスクリーンも巨大。おかげで補完計画の中で登場する白い綾波のスケール感に圧倒されました。”偽りの再生”でのエヴァ弐号機の活躍も良かった。これは劇場で観るべきです。あと残り二日間しか上映はないけども…

物語はテレビシリーズ第二十四話から受けた第25話「Air」と第26話「まごころを、君に」が描かれていきます。特に「Air」はタイトルの通りにバッハの「G線上のアリア」がフィーチャーされたエヴァシリーズと弐号機との対決シーンが素晴らしいです。この曲を通して残酷な描写をこれ程に美しく見せてくれたのはこの旧劇場版と「Se7en」だけです。

第25話「Air」に関しては「もののけ姫」同様に生きる事への渇望に尽きます。自棄になるシンジに対して”偽りの再生”でのアスカに心動かされます。アスカにしろ、ミサトにしろそのセリフの一つ一つが今の俺の心に刺さりました。そして泣けました。あの夏には全く感じた事が無かったのに。

第26話「まごころを、君に」は”現実を受け止める”というテーマはもちろん、シンジとアスカとのやり取りがあの夏はただの茶番に見えたのだけれど、何故かアスカの行動、言葉が◯◯の◯◯◯の姿が重なりました。終劇直前の最後のセリフは今、俺に投げ掛けられるそのものです。

閑話休題。新劇場版はこの旧劇場版に比べて非常に分かりやすい作品になりました。でも反面、実はこのわかりにくさが旧劇場版の魅力だと思うのです。しかも冒頭からこれでもかと嫌なものを見せていく。対して新劇場版はあらゆる面でトリートメントされて美しい。同じ作品でこれ程の違いはありますが、旧劇場版の雑味やケレン味は大きな魅力です。

“エヴァンゲリオン”という言葉には福音の意味が含まれています。新劇場版よりも(テレビシリーズと)旧劇場版の方が福音という点で今の俺には相応しい作品でした。だから月1エヴァで新劇場版を観に行くつもりはありません。(おしまい)

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2025/10/26

「もののけ姫(4Kデジタルリマスター)【IMAXレーザー】」を観る

今日は「もののけ姫(4Kデジタルリマスター)【IMAXレーザー】」を観てきました。宮崎駿原作、脚本、監督による1997年公開のアニメーション作品。最後のセルアニメらしく手書き感が懐かしいです(一部CG処理はあるみたい)。

先日のパトレイバーといい、今やってる旧劇エヴァといい、2025年ですよ。いいものはいいって事でしょうが、確かにこの作品も凄かったです。公開当時、映画館の階段で大行列に並んだ事が思い出されます。

今回、IMAX向けのリストレーションが施されたそう。大画面に耐えうる点も凄いのですが、改めて小さなキャラ、細かい動きにまで気配りされた映像に驚かされました。あとオーケストレーション等で音が分厚いんです。さらにシシ神が現れる水辺での音響、コダマの包囲感とか、IMAXの大画面との相乗効果でその世界観に没入できました。

物語は自然回帰と共存、人間のエゴ、若者や生きる者への希望等など、挙げていけばキリがありません。ジェームズ・キャメロンが(おそらく)「アバター」4部作で描こうとしている事を宮崎駿はこの一作に込めました。最終的にはキャッチフレーズにもなった「生きろ!」の一語に尽きます。それしかないです。

エンドロールで改めて、声の出演の方々の名に驚かされます。森繁さんや森光子さん等鬼籍に入られた方も少なくありません。スタッフでは作画に金田パースでお馴染み、金田伊功の名を見逃せませんでした。とはいえ、宮崎作品のため、味は封印されていたようですが。

最近は金曜ロードショーでしかお目にかかれない本作ですが、IMAXで観られるなんて長生きするものです。ほぼこの日の初回は満席。IMAXポスターもいただきました。ちなみにこの「もののけ姫」を皮切りにジブリの旧作がリストレーションされる模様。重厚なテーマの宮崎アニメも良いですが、次は「ラピュタ」あたりをIMAXで観たいですね。

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2025/10/18

「機動警察パトレイバー2 the Movie」を観る

今日の劇場2本目「機動警察パトレイバー2 the Movie」を観てきました。ヘッドギア原作、押井守監督による1993年公開の日本映画。脚本を担当した伊藤和典曰く「(パトレイバーを)終わらせるための…」作品です。それゆえ押井色が好き勝手濃く出ており、淡々と物語を描いています。

もし映画ジャンルにクーデターものがあるとしたら、少なくとも本作以降に公開されこの作品を超えるものは出ていないと思います。以前このブログで「亡国のイージス」VS「機動警察パトレイバー2 the Movie」という記事を書きましたが、本作はサスペンスとして一級品だし、しかもエンターテイメントとしても優れています。

さてこの作品を劇場で観るのが2回目、それ以外はDVDです。正直、「第一作程好きでは無い」のがこれまでの感想。今回、観た後もその印象はあるのですが、それでも面白かった。それは何故か?「終わらせるための…」作品ではあるものの、その理由は脚本が伊藤和典である事が大きいと思うのです。

伊藤さんによる適度なブレーキ、特にエンターテイメントとして解り難い物語を噛み砕くのに長けています。伊藤さんの脚本はあれだけのプロットを見事に組み上げた第一作、本作でも亡国論や危機感煽る様を的確に見事な視点と切り口で描いていきます。アニメでは「攻殻機動隊」を最後に押井監督とは組んでいません。続編「イノセンス」の難解ぶりは押井脚本、伊藤さん不在が最大の理由だと思っています。

ちなみに実写版「パトレイバー」も押井脚本、パラレルとはいえこの「パトレイバー2」を意識した作品でしたが、画も物語も大きく劣る出来だった事が思い出されます。ただし「攻殻機動隊」から6年後公開の「アヴァロン」では伊藤脚本、押井監督作として作られていました。こちらはいずれ観たいですね。

第一作同様、本作における先見性も見逃せません。ただこちらは悪い意味で。あまりにリアルが過ぎて似た風景が劇場公開の2年後にある事件として起きてしまいました。Z世代ではわからないでしょうが、ある年齢層以上は社会に衝撃をもたらしたあの事件です。ここではそこまでしか書きません。

この作品公開から30年以上が過ぎました。この映画で語られた世界は今そこにある危機として保守層の台頭で現実味を持ち始めています。劇中ではそれを代表するかのような柘植や荒川、対する後藤やしのぶのセリフに綱渡りのような怖さを感じました。ただそれでもそんな今の世界に生きるからこそ、本作での後藤たちの意思を支持します。

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2025/10/09

「機動警察パトレイバー the Movie」を観る at シネマサンシャイン沼津

今夜はシネマサンシャイン沼津で「機動警察パトレイバー the Movie」を観てきました。

実はココで 「パトレイバー the Movie」を観るのは3回目。それもこの5年間で。2020年コロナ禍での興行テコ入れがあって春は通常上映、夏は4DXで観ていました。どんだけ好きなんだ「パトレイバー the Movie」。だってしようがないじゃないか(苦笑)。

ほぼ感想は2020年春の時に書いてしまったし、それを今回も噛み締めるだけ。これまでDVDで何度も観てます。もうこの映画は俺にとって噛めば噛むほど味が出るスルメのような作品なのです。

ちなみにエンドロールの最後で改めて1989年公開だと思い知ります。Windows95より遥か前だよ。OSにコンピュータウイルスをプロットに持ち出した世界初の映画じゃないですかね?(AIはジョン・バダム監督の「ウォーゲーム」)と言っているけど。

脚本の伊藤和典さんはカズレーザーのBS番組「X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏」に出演した際、押井守に「3つの誓い」を”守”らせて作った作品と言っていました。だから押井氏らしからぬ展開や演出も多く、第一作が娯楽の王道を地で行っていたわけです。

ちなみに第二作は「終わらせるための…」作品だったから押井守は好き勝手に作ったようなのです。とはいえ、せっかくなんで翌週末からの「パトレイバー2 the Movie」も観にいきますけど。

今回、改めて発見した事が一つだけありました。(たぶん忘れてただけと思うけど、)香貫花クランシーがクライマックスで使う銃が44オートマグなんですよ。どうやって日本に持ち込んだんでしょうね?彼女なら裏の手いくらでもありそう。

ちなみに香貫花の声は井上瑤さんでクールで上から目線の声が刺さります。同じくクールな榊原良子さんのしのぶとは違った味わい。郷里大輔さんのひろみちゃんといい、本当に懐かしい声でいっぱいです。

あとやっぱり1989年から見た東京が懐かしいですね。松井刑事がジュースを座って飲むのが銭湯跡地だったり。あの下町情緒は無いのかなぁ。しかもこの作品はOSとかパソコン画面以外は手書きですから。この手書きアニメの味わい、Z世代にはわからないだろうなぁ。

そして何と言ってもこの映画がサスペンスとして第一級品である事。冒頭のダイブから帆場の真の目的が明らかになるまでプロットの連鎖に無駄がありません。しかも策士後藤さんの頭の斬れ味とセリフに痺れました。

一方でSFロボットアクションとしてサービスも忘れていません。さすがはヘッドギアの面々が押井守に「3つの誓い」を”守”らせただけの事はあります。

結局、今回もダラダラと(これまで以上に)感想を書いてしまいました。「この借りはいずれ、精神的に」とか、またいくつかのセリフがスクリーンと私、シンクロしてしまいました。だって「パトレイバー the Movie」が好きなんだもの(苦笑)。

追伸.
シネマサンシャイン沼津は今回の上映(一日一回)でココ最大級のスクリーン(296+2席)を用意してくれました。音は初回上映バージョンで画と共にじっくりと味わいました。残念ながら明日からはスクリーンサイズ(123+2席)が小さくなっちゃいます。

あと前回も売っていたと思うんですけど、「録音台本」買っちゃいました。「パトレイバー the Movie」のセリフをより噛み締められそうです。(おしまい)

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