「開戦前夜」を観る
今日のために休みを取っていたのですは、勿体ないので映画を2本観てきました。1本目は「開戦前夜」です。実在した「総力戦研究所」を描いた史実ドラマ。冒頭である登場人物に対する描写に対し、エクスキューズが付いてましたが、その誰かはすぐに察しがつきました。ただその描写を差し引いても当時の世論の向く先は決まっていた気がします。
先日観た「日本のいちばん長い日」が第二次大戦の終わりを、本作はタイトルの通りに日米開戦の始まりを描いています。それぞれに原作や製作上の思惑があってか、東条の人物像に違いがあるところが興味深いです。ただ開戦と終戦時で明らかに社会事情は異なるものの、既に戦況は芳しく無く敗戦必至の実情に大差はありません。突き動かすものは感情だけなのです。
冷静に国力、戦況を分析していく総力戦研究所の面々。今もロシアによるウクライナ侵攻、米とイスラエルによるイラン情勢が今も続きますが、短期決戦で終わる戦争はありません。「必ず戦争は長期化する」という分析は資源のない日本にとって何を言い表すか、例え資源国を占領してもその先を数字で論破していきます。ことあれば”大和魂”という言葉が虚しいです。
もちろんロシアやアメリカは今般の戦争に際し、同様のシミュレーションは行っているでしょう。想定内の結果なのか?結局、為政者の思惑一つで方向性は決まってしまいます。この映画でいけば当時の内閣(近衛、東条共)は国民感情と軍部事情で退路を断たれたゆえの顛末と描かれています。また陸軍の士気は「日本のいちばん長い日」の頃と明らかに違います。
またこの作品では軍の中で少なからず反戦を心に秘める人たちも出てきます。ただ彼らは本意を表に出せず、総力戦研究所に全てを委ねるのです。開戦を前にした4ヶ月前、本当の内閣を前に彼らはどのような結論を示したのか。我々はその後の結果、敗戦の事実を知っています。そんな数字で始まるドラマは重い数字でまとめられていきます。
逆に日米開戦を止めていたらどんな日本に?「高い城の男」のようになったのか、または別の世界線なのか、それだけでなく戦争というものを色々と考えさせられました。豪華なキャスト陣もあって必見の力作だと思います。
追伸.
大河ドラマ「豊臣兄弟」が主従を入れ替え、猿だった池松壮亮が静かに東条たちと対峙していきます。逆に仲野太賀は「豊臣兄弟」よりもやや明るめ、大河ドラマ同様にお父さんの中野英雄も本作に出演していました。
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