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2026/09/03

「私はあなたを知らない、」を観る

今夜は「私はあなたを知らない、」を観てきました。坂口健太郎主演、「兄を持ち運べるサイズに」の中野量太監督オリジナル脚本による作品。工場で働く契約社員の夕平と新入社員紗月との出会い、そして母を亡くした朝子の運命が交錯する人間ドラマ。ニッポン放送「上柳昌彦あさぼらけ」で「時には懺悔を」と共に採り上げられた作品でもあります。

「時には懺悔を」も素晴らしい作品でしたが、個人的にはこの作品のほうが刺さりました。「時には懺悔を」同様、家族がテーマの一つに挙げられますが、ややアプローチが違います。男女間の結婚観の違い、夕平の純粋さとその行く先、彼の目前であの言葉を聞いた時の昂りは感情移入なしに観られませんでした。それは危険な想いなのかもしれませんが。

何故なら他人事に思えなかったです。まず恋愛から結婚へシフトした時、当然経済力は求められます。それだけでなく二人の間で自己犠牲や様々な難題を乗り越えていかなければなりません。ただその関係性が終幕に向かうと急激な温度差が生まれます。この作品で痛烈に感じたのはその温度差の経過です。失う側へのシンパシーしかありませんでした。

そんな夕平の純粋さは危うさとの絶妙なバランスで坂口健太郎は見事に演じていました。また堀田真由演じる紗月も魅力的にかつ結婚への現実的な側面を体現。楽しい作品ではありませんが、二人の演技から家族、親子、子育てと改めて考えさせられました。朝子を演じた早瀬憩、倉田瑛茉も良かったです。

「あさぼらけ」の紹介はありましたが、それ以外の情報を聞かずに鑑賞も本当に観てよかったと思います。中野量太監督のストーリーテリングも見事でした。なお大好きなバイプレイヤーである渡辺真起子、滝藤賢一らが脇を固めています。「青春の殺人者」の原田美枝子がおばあちゃん役というのも隔世の感ですね。観た回の観客は私一人だったのですが、もっと評価されていい作品です。

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