午前十時の映画祭16「怪談」を観る
今日は盟友N氏と午前十時の映画祭16「怪談」を観てきました。1965年公開、カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞した小泉八雲原作の世界的ベストセラーを映画化した小林正樹監督作品です。海外では八雲の付けたタイトル通りに「Kwaidan」。私は結構昔に輸入DVD(クライテリオン・コレクション)を購入して観ている作品です。日本映画なので字幕は要りませんからね。
映画は「黒髪」「雪女」「耳なし芳一」「茶碗の中」の4エピソードが選ばれています。前半は男女にまつわる物語、後半は侍の怨念、霊を扱ったもの。これら4つのエピソードの中でも「耳なし芳一」は異質です。外国の方にとっても琵琶の音、霊といった要素が絡み合い、かつ体に書かれた般若心経が異彩を放ちます。ちなみに輸入DVDのジャケットも芳一でした。
この作品前半2つのエピソードの女優陣、新珠三千代や岸恵子の美しさ、反面オチに至る怖さとその落差が興味深いです。恐怖に陥っていくのは三國連太郎、仲代達矢。物語は何となく判っていても、昔話の中の世界観と語り口に惹かれていきます。雪女が仲代演じる巳之吉を「美少年」と表すセリフにちょっと笑ってしまいました。
やっぱり4エピソードの中でも「耳なし芳一」が一番面白かったと思います。目の見えぬ芳一が侍の言葉に陥っていく過程。その霊の侍が丹波哲郎なのです。さすがは霊界の宣伝マン。芳一を演じる中村嘉葎雄の琵琶の演奏は音に合わせて演じていると思うのですが、全く違和感はありませんでした。全編、武満徹による音楽が日本的な恐怖感を演出します。
最終エピソード「茶碗の中」は先の3つに比べれば派手さはありませんが、身近にある怖さが面白いです。しかも恐怖に陥れられる版元がドラマ「必殺仕事人」の初代元締めを演じた中村鴈治郎。同時に八雲が著した書き手の恐怖が最も表されたエピソードだと思います。朝ドラ「ばけばけ」を観た方ならドラマと地続きの世界観と避暑にもってこいの作品です。
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