「オールド・オーク」を観る
午前に続いて盟友N氏と伊東市の金星シネマで今日の2本目「オールド・オーク」を観ました。「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」の社会派、ケン・ローチ監督作品。イングランドの炭鉱町を舞台に、シリア難民の受け入れから起きる波紋を、主人公TJの営むパブ「オールド・オーク」を中心に描いていきます。
今年、ケン・ローチ監督は90才。予告編では彼の”最後の作品”(どうやら本人曰くらしい)と銘打っていますが、あくまで最新作です。むしろ前2作よりもさらに複雑化した社会事情を見事に反映させた手腕。彼といい、クリント・イーストウッドといい、老いてもなお冷静な視点、素晴らしい切り口、力強い作品を送り出す監督たちに感嘆します。
さて”複雑化した”と表しましたが、これまでのローチ監督作との違いは世界事情が反映されたことです。これまで通りに貧富の差や社会の分断化を描きつつ、本作で弱い者はさらに弱い者を叩く、と矛先はシリア難民たちに向かいます。そこで主人公TJは気づくのです。彼らがこの街に来る遥か前、炭鉱が斜陽を迎えた時からあった話じゃないかと。
経営でパブの別室解放に二の足を踏んでいたTJを推し進めた存在。難民でカメラマンのヤラとの交流や、彼を支える人々の後押し。住民全てが彼らを目の敵にするわけでなく、その根底には経済的後遺症の続く社会事情(格差に分断)があります。背景も含めてイングランドだけでなく、日本も含めて世界共通の問題なのです。
またシリア難民たちが直面する事実にも改めて考えさせられます。先日観た「シンプル・アクシデント 偶然」と繋がる事実であり、さらにイランとイスラエルの緊張状態にその点は線で結ばれていきます。しかも今の沈黙は次なる火種となるかもしれない…..
本作では綺麗ごとよりも今ある事実のほうが圧倒します。ただ切ない顛末に街で起こる小さな変化がこの作品の描く希望なのだと思います。
追伸.
冒頭、ヤラの一眼レフカメラ(キャノン)を巡る騒動があるのですが、カメラユーザーとしては直視できないエピソードでした。ヤラの気持は痛いほど判るし、そもそもアンタ(縦縞シャツの男)、それをやっちゃダメでしょうよと。
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