午前十時の映画祭15「時計じかけのオレンジ」を観る
今日は盟友N氏と午前十時の映画祭15「時計じかけのオレンジ」を観てきました。1971年公開、スタンリー・キューブリック監督作品。近未来のロンドンを舞台に暴力と欲に明け暮れる若者たち(ドルーク)を率いるアレックスの姿とその社会を描いていきます。
この映画、公開当時で比較すれば過激な描写で埋め尽くされています。それでいて美しい。レトロフューチャー「2001年宇宙の旅」と同様にキューブリックらしい映像美が見どころになっています。暴力にクラシックを重ねる組み合わせは本作が元祖なのかも。
初見はDVDだったのですが、だいぶ内容は忘れていました。でも記憶に残る強烈なシーンはいくつかありました。その一つがルドヴィゴ療法ですね。毒は毒をもって制す。眼を見開き、暴力映像を強制で観させられる姿はそのビジュアルと相まって印象的です。
そして全編、アレックス役のマルコム・マクダウェルに圧倒されました。冒頭での不敵な表情、暴力シーンでの「雨に唄えば」とのコントラスト。治療と社会復帰後の絶望感。第九を聴いて嘔吐する姿の後、エンディングでの復活はまさに人の本質を表しています。
その一方でこの作品の社会風刺も面白いです。時折見え隠れする管理社会、暴力に政治の駆け引き。今のご時世でR18+指定ですから、この作品の暴力とセクシャルな描写レベルが相当なものである事が伺えます。ただしあのオブジェ、露骨過ぎてかえって美的ですけど。
画角はヨーロピアンビスタで昔のテレビサイズに近い感じ。奥行きが強調されたり、やや広角気味なシーンもあり、映像的にも特徴がありました。ヴェートーヴェンの再生にマイクロカセットを使っていたところでは思わずニヤけてしまいました。
この作品を含め、キューブリック作品の日本語字幕は先日亡くなられた原田眞人監督が手掛けられています。特に本作は特徴的な未来スラングが出てきますが、この映画に潜む暴力性が字幕の中にも垣間見えてきますね。ここで改めて原田眞人監督のご冥福をお祈り致します。
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