「爆弾」を観る
今日は映画の日。「爆弾」を観てきました。別の事件で逮捕された男が突然、爆破予言を始め出す。やがて爆破は現実となり、警察と社会を恐怖に陥れていくサスペンスミステリー。爆破予言する男を佐藤二朗、対峙する刑事を山田裕貴(トップロールは彼)が演じています。
この作品、嫌いです。でもとても面白かった。137分間、画面に釘付け。セリフの応酬に聞き耳を立てて、佐藤演じるスズキタゴサクの意図を読み取っていく。もちろん観客に短時間で謎を解く事は難儀だけど、その結果が明かされる時、スクリーンでは躊躇いもなく悲劇が繰り返されていきます。
舞台のほとんどが取調室。そして爆破現場との行き来。それでも集中力が途切れないのは佐藤二朗の名演の賜物。彼は憑依型でないものの、今回のスズキタゴサクは運命的なキャスティングだと思います。他の演者ではシリアスになり過ぎて保たなかったでしょう。
この作品で嫌いなところは無差別殺人が続いていく事。とても生々しい。映画だから血塗れ、かなり強度な描写もあったりします。ちなみにPG12。ましてスズキタゴサクの真意が判ったとて、結局はそれがパーソナルな理由に帰結しようが、最終的に理不尽さだけが残ったから。
最後まで観て「太陽を盗んだ男」を思い出しました。主人公が原爆を作って日本を脅す。でも最後に爆発したかは観客に委ねています。そこが大人。対してこの作品は繰り返される無差別大量殺人そのものが幼稚。例えタゴサクの言葉に含蓄があろうともね。故に山田裕貴演じる類家の最後のセリフがそれを物語ります。
ただ本作の根幹(無差別大量殺人)を否定するとハリウッド作品をも否定する事になります。あちらは理不尽、無差別ありありだし。だから「嫌いだけど、面白かった」という結論です。むしろこの作品、ハリウッドリメイクあるかもしれません。
ズバリ、この作品の見どころは佐藤二朗を相手に染谷将太、渡部篤郎、山田裕貴とリレーで対峙する演技合戦で、これだけでも観る価値があります。またタゴサクの監視役を演じる寛一郎が詰め寄るシーンは声と演技にお父さんの佐藤浩市が重なりましたよ。
追伸.
何故か取調室のシーンは手持ちカメラっぽい映像で揺らぎが気持ち悪かったです。せっかくの演技合戦が台無しだし、演出への自信の無さの表れに感じました。
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