「佐藤さんと佐藤さん」を観る
今日は盟友N氏と「佐藤さんと佐藤さん」を観てきました。個人的に大絶賛していた「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督作品。司法試験を受けようとする佐藤タモツ(演:宮沢氷魚)と彼を支えようとする佐藤サチ(演:岸井ゆきの)の15年間を描いていきます。
二人は学友、そしてルームメイト、さらに夫婦として支え合う姿で進んでいくのですが、タモツに刺激される形でサチが先に司法試験に受かってしまいます。ここで二人の間に壁が生まれ始め、立場の逆転に至るのです。家計を支える立場からみれば、仕事を理由に言い訳ができる。サチが仕事から帰り、子供と遊ぶ姿は一般サラリーマンと極似していましたね。
20代後半から30代までの二人の生活の変化は我々のよく知るところです。密な二人の関係が、子供が生まれる事によって少しずつ希薄となり、お互いの嫌なところだけが見えてくる。藤原さくら演じるサチの友達が夫の事を愚痴りつつも、関係を保っているのは何処かに共感を残しているからだと思います。
この映画の二人は司法試験という共通目標からスタートしたのに、弁護士として忙殺されるサチと出遅れたタモツの行く末を見て、立場は違えど他人事に感じませんでした。特にタモツが祖母を看護するために実家に帰って悩む姿はまさに自分と同じ。看護別居は物理的な距離を作り、交わす言葉、文字の一つ一つが重くのしかかります。そんな本作を観ていて言葉が出ませんでした。
今の立場で無ければ気楽な気分で本作、二人の行く末を観る事ができたかもしれません。コロナ禍があって、介護があって、言い訳は沢山あるのだけれど、今の心持ちでは冷静にこの作品を観る事はできませんでした。(本作をどうしても観たかったから)観る前から覚悟はしていたのですが、本当にすいません。でもそれだけこの映画にリアリティを感じた作品だという事です。
| 固定リンク



コメント