午前十時の映画祭15「七人の侍」を観る
今日は盟友N氏と午前十時の映画祭15「七人の侍」【新4Kリマスター版】を観てきました。今年の午前十時の映画祭の目玉といっていい3週間上映で、朝の回は大型スクリーンでもあるBESTIA enhancedの劇場でした。
ちなみに「七人の侍」はスタンダード収録(アナログテレビでいう4:3サイズ)のため、BESTIA enhancedであっても面積中央のほぼ1/3程しか映し出されません。真ん中でかつ最後列よりも少しでも前の席をオススメします。ちなみに夕方の上映回は200席規模ですが、同様の注意が必要です。詳しくは皆さんの行かれる劇場情報を確認の上ご検討下さい。
「七人の侍」は黒澤明監督による1954年公開の日本映画。野武士の襲撃に備え、長老の進言で侍を雇う村と雇われた侍たちの戦いを描いた時代劇。世界的に今なお邦画No.1を誇る名作です。この作品は30年程前に黒澤監督のメモリアルイヤーに都内でリバイバル上映され、それを観て以来の劇場鑑賞。今、最高の条件でこの作品を観られて幸せです。
野武士と村人、侍たちの戦いながら決して暗く映らないのはこの映画の醸すユーモアの成せるところなのでしょう。これまで観た黒澤作品全てに言える事で、それを体現するキャラクターたちの素晴らしさもあります。そこに黒澤の盟友でもあった三船敏郎の存在は欠かせません。本作では七人目の侍、菊千代を演じています。
この映画の素晴らしいのはバランスです。悲哀も然り、シリアスに笑いも。特に侍たちのキャラクターのコントラスト。暴れ馬のような菊千代、冷静に事を分析し指揮する勘兵衛、戦友にムードメーカー、剣客、若い浪人と適材適所、見事なキャスティングで紡がれていきます。
黒澤作品の常連陣が起用され、若い村人では土屋嘉男、年配の村人は藤原鎌足やズビズバーこと「老人と子供のポルカ」左卜全が出演しています。村人たちを演じる面々は本当に痩せ細って農民にしか見えません。ちなみに今の時代劇の演者にここまで究極の状態を求めるのは酷でしょう。
もちろんこの映画の活劇シーンはとにかく素晴らしいの一語ですが、背景にある人間ドラマに惹き込まれます。特に志村喬演じる勘兵衛の言葉は一つ一つ含蓄があり、かつ重いです。この映画における志村喬の冷静な様はデンゼル・ワシントンの演技を思い出させました。きっとデンゼルの根幹には勘兵衛が生きているのかもしれません。
またインターミッション5分、207分の上映時間も全くダレる事はありませんでした。この頃、橋本忍らと共作し脚本を仕上げていく黒澤作品。40年代から50年代は日本映画界全盛、黒澤作品は年1本、ないし年2本作られていましたが、この「七人の侍」だけは2年のインターバル(もちろん準備はそれ以上)を経て作られています。物語や村のセットも含めて今の映画では作る事ができない緻密さ、演出や演技の中にリアリティが込められているのです。
70年以上前に生み出されたこの作品に対し映画ファンのみならず、日本人として誇りを持って観て欲しいです。
追伸.
あと日本の政治はもっと日本発の文化(邦画、日本車)を大切にして欲しいですね。余計なお世話ですけど。
| 固定リンク



コメント