U-NEXTでドラマ「チェルノブイリ -CHERNOBYL-」を観る
U-NEXTでドラマ「チェルノブイリ -CHERNOBYL-」(全5話)を日本語吹替で観終えました。1986年ソビエト連邦、チェルノブイリ原子力発電所で起きた事故の発生からその顛末を追った歴史ドラマです。明かされる事故の真実と現場で死力を尽くす者たちの戦いを描いていきます。
事故確認指示を受けたレガソフ、現場指揮に指名されたボリス、遠く400キロ離れた研究所で異変に気付いたホミュックの3人を中心に物語は進みます。しかもこれだけの事故、敵は放射能だけではありません。エヴァの言葉を借りれば「人間の敵は人間」。大国ソ連の暗部も明かされていくのです。
終始、物語に釘付けでした。第1話で刻々と変化していく事態とチラつく死の灰が不気味に映ります。第2話以降、原発事故はそこから長きに渡る戦いが始まり、一つは事故の鎮圧、炉心を封じ込める事。もう一つは被爆との戦い。被爆者だけでなく医療従事者、何も知らない近隣市民まで広がっていくのです。そしてソビエト共産党とレガソフら3人の戦いも始まります。
事故現場では次々に難題が降り掛かるのですが、その対処に驚かされます。炉心を封じ込めたのは「バイオロボット」と呼ぶ人力なのです。無人重機を借り出すもソ連のメンツによって無駄に終わっていきます。ボリスの怒りがより強く伝わってきました。しかもボリスは指名されたのが党の駒扱いだった事に気づいてしまうのです。
この作品は歴史ものであり、人間ドラマです。敵対していたレガソフとボリスが死線を越え、身をもって真実を晒していく姿に心を掴まれます。そして第5話最後で流れる実在の二人の映像と重なるのですが、レガソフ役ジャレット・ハリスとボリス役ステラン・スカルスガルドの名演あってのものだと思います。ホミュック役のエミリー・ワトソンも良かったです。
我々はこの4半世紀後、東日本大震災で原発事故を経験する事になります。風化してはいけないし、一定の意識を持って動向を見ていく必要があります。このドラマを観る術は配信やパッケージソフトなどがありますが、本来この作品こそ地上波で放送すべきものだと思います。
唯一、このドラマの欠点は英語劇だという事だけ。ロシア人のドラマなので英語で違和感があるし、物語の難しさからいえば吹替の方が好ましいですね。
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