静岡シネギャラリーで「狂い咲きサンダーロード」を観る
「ふつうの子ども」鑑賞後、昼ごはんと駅周辺散策を挟んで静岡シネギャラリーで2本目、今回遠征の最大目的、「狂い咲きサンダーロード」を観てきました。1980年公開の日本映画。今回45周年を記念してリマスター版が公開される運びとなりました。監督は石井聰亙(現:岳龍)、主演は名バイプレイヤーの若き日の山田辰夫。
この映画も「グロリア」と共に別冊宝島の「このビデオを見ろ!」で紹介されるもなかなか観る機会が無かった作品。公開は「マッドマックス」の翌年ながら製作期間を考えれば同時期に生まれたもう一つの近未来バイオレンス作。スプレーで”1989年”と書かれているシーンもありました。
そんな近未来ながら70年代の余韻(学生運動、反体制、暴走族)を感じさせ、前半はノーヘル、喫煙、◯学◯春と今ならコンプラ違反になりそうなシーンの連続です。でも物語に流れる疾走感が魅力で知らぬ間に惹き込まれていました。その疾走感は主演、山田の魅力とバックに流れる音楽にあると思います。
音楽は泉谷しげる(オープニングクレジットは彼の名で)を中心にPANTA、モッズらの楽曲が流れます。殊更、アルバムを買っていた泉谷の「電光石火に銀の靴」が冒頭から流れると一気にギヤが上がりました。ポスターアートや美術も泉谷によるものらしく、多芸ぶりに驚かされます。この後、俳優業へ進出していくのですね。
主演の山田辰夫さんは2009年に亡くなりました。出演した多くの作品の中で印象を残しています。そんな彼の珍しい主演作ですが、若き日の溢れ出しそうなエネルギー感で終始眩しかった。物語後半、体の自由を奪われ、再び立ち上がった時にさらに猛烈なエネルギーを放つのです。その源は石井監督とのシナジーなのでしょう。
ちなみにラスボスは若き小林稔侍。◯翼で◯◯愛者とある種時代を先取りした設定に驚かされます(この他に少年薬売人とか)。物語上、山田演じる仁をスカウトする訳ですが、同じ仲間だった茂と夜を共にするシーンがあるように仁との関係は観客の想像に委ねられています。銃を撃ち合うクライマックスでそんな二人の最終決戦が描かれていきます。
独立系で製作された作品ゆえ、低予算は否めません。でもそれを大きく上回る熱量がこの作品に込められています。ゲリラ撮影しかり、大人数(本物の不良少年たち?)を使った乱闘シーンとか、今の時代では描けないプロットの連続です。英題は「Crazy Thunder Road」ですが、タイトルにある”狂い咲き”こそよりその名に相応しい作品だと思います。(おしまい)
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