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2025/07/12

午前十時の映画祭15「砂の器」を観る

今日は盟友N氏と午前十時の映画祭15「砂の器」を観てきました。1974年公開の日本映画で橋本忍・山田洋次脚本、野村芳太郎監督作品。国鉄蒲田操車場で起きた殺人事件を追う今村は被害者が残した「カメダ」という訛り言葉を頼りに捜査し続けていた。そんな中である音楽家の存在が浮かび上がってきます。

松本清張原作、物語前半は今村が秋田から山陰、石川、大阪とトラベルミステリー風に旅情を交えての捜査、後半は和賀英良とその父との過去に遡り、芥川也寸志作曲の「宿命」を壮大なオーケストレーションで、そして今村を演じた丹波哲郎の独壇場、説得力ある語りと共に描かれていきます。これ程にセリフの多い丹波さんは初めて見ました(苦笑)。

でも本当にこの作品の丹波さんが良いのです。捜査の一環での出張も旅情を詠んだり、食を楽しんだり。丹波さんの演技と存在感のバランスが最もこの作品で脂の乗った時期では無いでしょうか。東宝作品での出演作はキワモノ感が強いのですが、同じく丹波さん主演の「人間革命」も怖いもの見たさは少しだけあります。

丹波さんの他、緒方拳、渥美清、加藤嘉他昭和の名優が多数出演します。これも個人的、古い日本映画を観る楽しみの一つなのです。中でも花沢徳衛さんが良かったですね。現地の人と見間違うくらいに表情も地方訛りもシーンに同化していました。

この作品は何度か映像化されているだけにその時代性が重要だと思います。この映画は辛うじて戦前生まれの和賀が描けるギリギリのタイミング。のちのドラマ化ではそこを設定変更で凌いでいますが、父親のハンセン病と戦前の差別が和賀の人物描写に大きな影響をもたらしているのは、彼の幼少期の表情から強く伝わってきます。

同時に「砂の器」という昭和を味わいました。捜査も泥臭く汗を流し、現場に脚を伸ばして真実に近づいていく。今ならSNSやネットを使ってそんな苦労も端折られてしまうでしょう。また原作を引用しているのでしょうか、挿入されるテロップが小説を読み進めているような感覚を持たせます。最後に流れる一文は現代にも通じるメッセージですね。

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