「桐島です」を観る
今日は高橋伴明監督作品「桐島です」を観てきました。70年代連続企業爆破事件の犯人の一人だった桐島聡が昨年、末期の胃がんで入院した事で見つかったニュースがありました。この映画は桐島の逃亡生活を追いながら、社会の変化と時代に乗り遅れた男の人生、実話に基づいて描かれた作品となっています。
三菱重工ビル爆破事件で始まり、ここは当時の映像を交えているため、緊張感は否応無く高まります。幼少期にこのニュースを見たのを思い出しました。地下鉄サリン事件以降、鳴りを潜めた感がありますが、それ以前は日本でも海外のように大きなテロはあったのです。
連続企業爆破事件と入れ替わる形で日本赤軍が台頭。前述の事件の後、逮捕を逃れるために逃亡生活に入る桐島の姿が対照的です。日本赤軍はハイジャックを仕掛け、政府を相手に超法規的措置を引き出し、政治犯を解放させました。ただ派手なパフォーマンスにその志は如何なものかと疑問を感じざるを得ません。この映画を通して桐島の言動を見るとよりそれを感じます。
先行する組織や日本赤軍と違いをみせる「さそり」のメンバー。花火工場のように火薬を詰め、爆弾を仕上げる。そして爆弾設置も人的被害を避けるべく人払いまで行います。あくまで労働者たちから搾取する大企業への警告のための行動なのだと。その辺の心境は逃亡生活の姿にも現れています。
逃亡生活ゆえ派手な事はできません。でもその生活ぶり、言動が何とも琴線に触れるのです。仕事仲間や隣人を助けたり、音楽に興じたり。またこの作品は決して桐島をヒーロー扱いしている訳ではありません。あくまで人間桐島を描く事で現代日本が失ったものを教えてくれる気がします。
そんな桐島を毎熊克哉が演じますが、若き頃から晩年まで不器用ながら気概は変わらない姿を体現していました。桐島の心境を表す河島英五の「時代おくれ」。ブルース感、スチールギターを使った音楽、時代の空気を含めて高橋伴明監督の演出(出演する奥様共々共同プロデュース)も良かったです。
| 固定リンク



コメント