「国宝」を観る
今日は「国宝」を観てきました。「フラガール」「流浪の月」の李相日監督の最新作。歌舞伎界を舞台に血縁無き世界に若く飛び込んだ主人公が栄光と挫折、そして立ち直っていく姿を描いた人間ドラマ。出演は吉沢亮と横浜流星でまさに新旧大河ドラマの座長が共演する175分に及ぶ大作です。
約3時間、小説を読み進めている感じで物語は進行。主人公・喜久雄と師事する花井半二郎の実子・俊介の二人を軸に30年以上に及ぶ友情を超えた絆、関係性が紡がれていきます。そこには嫉妬あり、血の宿命あり、梨園特有の厳しい世界です。
余程のファンでない限り、歌舞伎って相当遠いもの。かく言う自分もそうでした。でもこの作品を通して人生で最も長く、初めて集中して観た歌舞伎だと思います。もちろん演者の吉沢亮も横浜流星も歌舞伎は本職じゃないですが、スクリーン上ここまでの迫力を見せるのは二人の努力の賜物でしょう。
全編彼らの上がる舞台は見どころになっています。特にクライマックス、二人の演じた曽根崎心中は素晴らしく、光る汗に熱演が伝わってきます。劇場効果と相まって最高の席で観劇していると錯覚するくらいでした。この作品は映画館で無いと伝わらないドラマだと思います。
共演陣も良かったです。半二郎を演じた渡辺謙は格からしてピッタリ。特に襲名披露での顛末は圧巻の芝居を見せます。これを観ただけで大満足。半二郎の妻は寺島しのぶが演じ、自身も梨園出身の経験があるこその名演でした。また先輩女方の万菊を演じる田中泯の底知れない演技も印象に残ります。
華やかな作品ですが、重厚、骨太の映画を欲する方には特にオススメです。ちなみに歌舞伎といえば松竹ですが、エンドロールでも判るように配給の東宝だけでなく、東映も協力してこの映画が作られています。世界を目指した映画作りの新しい形かもしれませんね。
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