午前十時の映画祭15「八甲田山」を観る
今日は盟友N氏と午前十時の映画祭15「八甲田山」を観てきた。1977年公開の日本映画。配給は東宝だが、松竹と東映所属のスタッフ・キャストが名を連ねる大作。主演は高倉健。まさか令和の世、「新幹線大爆破」に続き2週連続で健さんの主演作品を映画館で観るとは思いもしなかった。
時代は日露戦争を目前にした明治35年、厳冬下の作戦調査目的も兼ねて雪中行軍を計画した弘前第八師団。これに参加する事となる弘前第三十一連隊と青森第五連隊の運命が描かれていく。率いる徳島と神田は各々自分の隊から出発、八甲田で合流する事を約束したのだが….
優れた軍人である徳島と神田共、非常に困難である事を認識しており、達成のために細心の注意を払っている事が見えてくる。だがそうさせないのは軍隊の論理で歯車の狂う過程、悲劇的な結末を迎える様は見るに堪えない。まるで今の日本の政治を見ているようだ。
閑話休題。挿入される春夏の東北の風景はカラフルも、いざ雪中行軍に入るとモノクロ映画と見間違う位に色彩を失う。映るのは雪、吹雪に青ざめる表情。防寒もままならぬ時代に次々と息絶えていく。この過酷な撮影の向こうで実際に雪中行軍し遭難した方々の姿が浮かび上がってくる。
本作は今回初見。子供の頃、記憶に刷り込まれた「天は我を見放した」ではなく本当のセリフは「天は我々を見放した」に愕然とする。そして言葉の主が神田=北大路欣也であった事にも。弘前第三十一連隊と青森第五連隊の運命の違いにも驚くが、その後日露戦争に従軍した本作生還者の運命こそ戦争の切なさを物語る。
BESTIA enhancedでの鑑賞となったが、木村大作撮影のロングショットは美しくも雪中行軍の過酷さを余す事なく伝える。そして画になる存在感は健さん。尊敬と再会を誓った神田との対面。その無念さは徳島=健さんの表情を通して深く伝わってきた。
追伸.
この作品も規模が大きく東宝オールスターキャスト、故に田崎潤も。相変わらず丹波さんはセリフがほとんど無かった。加えて名バイプレイヤーのオンパレードで加藤嘉に大滝秀治、花沢徳衛、丹古母鬼馬二等などが脇を固める。個人的には、案内人を演じた若き秋吉久美子が美しく記憶に残った。
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