「父と僕の終わらない歌」を観る
今日は盟友N氏と寺尾聰、松坂桃李共演の「父と僕の終わらない歌」を観てきました。イギリスで起きた実話を基に音楽を愛する父とその子、そして周囲の人々が紡ぐ人間ドラマ。アルツハイマー型認知症と診断された父が音楽をきっかけに家族は父らしさを取り戻していく姿…を巡る物語。
先日観た「うおっしゅ」はややファンタジー色を強めにあえて介護と距離をとって描いていましたが、この作品は予告編で感じたウェルバランスさは無く、かなりリアルな描写も挿入されていて驚きます。確実に「うおっしゅ」よりもしょっぱいです。いい話だけを求めて来た観客は面喰らうかもしれません。
ただ「うおっしゅ」のテーマへの距離感より、この作品のほうが今の家族の介護をする自分には腑に落ちます。急に本人が家の中で何か取り憑かれるように騒動が起きていくところは共感です。哲太の息子が父の知らなかった面を目にする反面、父は自分の事を忘れていく、あるいは過去に戻っていく過程も共感、実にもどかしい”あるある”かと。
音楽はさすが寺尾聰のパフォーマンスのおかげで聴き惚れます。しかしその一方で前述のウェルバランスの無さゆえに音楽の溢れる映画ではありません。だけど個人的にはこのテーマ、リアルさゆえに音楽が溢れる映画であって欲しかったです。またこれは演者のせいでなく、音楽に関する使い方の問題(特に後半)だと思います。
その一つ、音楽らしさを十分に感じなかった理由がネットを扱った描写です。ライブ場所はまだしも、リモートで観る人々の姿は何処か浮いてました。イギリスの実話でも動画から始まったとの事。きっと実際の場は言葉に表せないような状況だったんじゃないでしょうか。それが映像化できればこの作品はもっといいものになったでしょう。
あと息子さんを巡る状況はもし原作通りならいいですが、もしこの映画のために後付けジェンダーのエピソードなら問題かも。最近、映画を観ているとそのような扱いが多くて。あくまで余談ですけど。
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