「敵」を観る
今日は盟友N氏とラーメンを食べた後に映画一本目、長塚京三主演「敵」を観てきた。筒井康隆原作、「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督・脚本作品。妻を亡くして余生、一日一日を完璧に過ごそうとしてきた元大学教授の渡辺。そんな彼に迫る疑念「敵」によって心身の境界が崩れていく。
「桐島…」が刺さらなかった故に疑問を持って観始めたが、長塚と全編モノクロで撮られた世界観、生活感溢れる映像が面白く映った。床を掃く姿、包丁さばきに食への拘り、キムチ絡みのオチまで素朴さとユーモアに溢れる。
そんな淡々と日々を過ごす渡辺の崩れ方こそ「敵」の為せる技なのだろう。作品中、あえて「敵」に関し言及していないが、その結末に誰もが控えるその姿が見えてくる。物語がモノクロで語られるのも「敵」に対する暗喩なのかもしれない。
渡辺に近づく女性陣。静かに、時にどぎつさを放つのは黒沢あすか演じるキャラ。彼女だからこそ本音を渡辺に突き立てる。一方で今最も注目される俳優、瀧内公美と河合優実が渡辺を翻弄、その様が可笑しい。この他少ない登場人物ながらそれぞれに毒があったり、滑稽だったり。
ただやっぱりこの作品の魅力は戸惑いと受け入れ体現する長塚京三その人。自分もその年に達した時、同じ心境になれるかなぁと。またこの作品を観て後半、昔読んだ筒井康隆の短編に似た味わいを感じ何処か懐かしく思った。
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