「太陽と桃の歌」を観る
今夜は映画納めという事で「太陽と桃の歌」を観てきた。第72回ベルリン国際映画祭金獅子賞受賞したスペイン・イタリア合作。スペイン北東部にあるカタルーニャ地方を舞台に桃農家の前にソーラー建設が立ちはだかる。そんな大家族の姿をナチュラルに描いていく。
個人的に色々あった今年最後に観るべくして現れた作品。ある季節の桃収穫までを描いているのだが、先の通りに借地の桃畑返還が引き金となって家族間の歯車が狂い出す。とはいえ、小さな歯車の狂いであり、そこにリアリティーを感じる。
またリアリティーが強い所以はドキュメンタリー風に撮られている事。しかもやや距離を置いた映像的なドキュメンタリーでなく、演技が演技に感じない点で特に子供たちの姿はナチュラル。冒頭、重機が現れて遊び場を失う様から見入った。
ナチュラルな展開ゆえに一般的な映画のダイナミクスはこの作品にない。大家族ものでいえば「ビッグダディ」ではなく「石田さんチ!」っぽい。しかも音楽らしいBGMは無く、子供たちが踊る時の音楽と邦題であり劇中で少女が歌う「太陽と桃の歌」だけ。素朴でシンプルな歌詞がこの作品を物語る。
この作品で家族間の軋轢が波及していく様は他人事に見えない。そんな中で女性監督らしい視点は子供たち、女性陣の振る舞いにも現れている。だからこそもう一度家族は一つになっていく。一方で冷静な視点も忘れていないし、対照的なエンディングが複雑な余韻を残す作品だった。
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