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2024/11/08

「2度目のはなればなれ」を観る

今日は仕事帰りにマイケル・ケイン主演にして彼の出演最終作「2度目のはなればなれ」を観てきた。2014年夏、老人ホームで過ごすバーナードとレネ夫妻。そんな中、バーナードはフランスに向けて一人旅立つ。彼にはただ一つ目的があったのだ。夫妻の思い出とバーナードの道中を描いた実話。

マイケル・ケインといえばコメディからシリアスまで幅広いイギリスを代表する名優。個人的には「ミニミニ大作戦」や「リトル・ヴォイス」、クリストファー・ノーラン監督作品まで好きな作品は多い。そんな彼がこの作品を引退作に選んだ。スクリーンに映る表情に年のせいか何処か寂しさを感じてしまう。

邦題「2度目のはなればなれ」で原題は「The Great Escaper」。後者はある所以でバーナードがそう呼ばれるようになるのだが、その背景は夫妻にとっての「最初のはなればなれ」が深く関わる。時は第二次世界大戦で二人を分かつ。ただそれだけに限らない。戦争に向かう者一人一人に大きな傷を残した。

この作品はノルマンディー上陸作戦70周年記念式典を通して、最前線で戦った者たちの様々な傷跡を描いている。そこに敵味方は関係ない。終盤、負い目を感じるバーナードを妻レネの言葉が優しく包む。彼女の言う他愛のない日々の積み重ねがどれだけ尊い事か。それこそ戦争を知る世代の言葉の重み。

物語は実話ベースであるが、シリアスとユーモアのバランスが良い。そして夫婦愛。マイケル・ケインの存在感と共に妻レネ役グレンダ・ジャクソンのユーモアある演技が素晴らしい。この二人を通して老いた者の目線から見た現代、若者への寂しさも伝える。つい二人に同居している両親の事を重ねてしまった。

映画ファンにとってマイケル・ケインの去り際を刮目すると共に、様々なメッセージやテーマが伝わる佳作。 自分が老年期になった時、同じ境地になれるだろうかと思う。

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