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2024/11/01

「十一人の賊軍」を観る

今夜はファーストデー、ズバリ映画が安い日なので「十一人の賊軍」を観てきた。「仁義なき戦い」脚本で知られる笠原和夫のプロットを「碁盤斬り」の白石和彌監督が手掛けたエンターテイメント作品。1886年新潟新発田藩の家老溝口内匠は藩を守るために官軍、同盟軍との狭間である戦略を思い立つ。

「十一人の賊軍」とは溝口の奇策、新潟湊の砦を守るべく集められた者たち。今風に言うならば幕末「エクスペンダブルズ」なのだが、個性ある面々が物語を彩る。「仁義なき戦い」のドキュメンタリーで笠原氏の作り込みの凄みは知っているが本作でも健在。プロットを活かしたディテールで描かれる。

東映で時代劇を、笠原作品を撮る意気込みを冒頭の東映マークから白石監督らしい拘りが嬉しい。映像、殺陣の撮り方もそんなオマージュに溢れている。物語は2時間35分の長尺ながら緩急を織り交ぜ巧み。初戦、官軍を追いやった賊軍たちだったが、その後彼らに大きな試練が訪れる。

この映画は笠原原案もさることなら「七人の侍」へのオマージュも感じる。物語の山場、雨の中での激闘はまさにそれ。また山田孝之演じる政はその風貌からも「七人…」の菊千代だし、意外と山田が三船敏郎に似ている事に気づかされた。

一方で「侍タイムスリッパー」の殺陣と方向性の違いを痛感。「侍…」は1対1の凄みと重みが魅力だったが、本作の官軍との激闘はハイスピードチャンバラ、PG12で徹底的にぶった斬るバイオレンス描写。暗いシーンも多いが、見せるところはきっちりと見せて生々しいのでご注意を。

次々と命を落とす賊軍たち、新発田藩の顛末を知るゆえに物語の結末はほろ苦い。そんな中、時代の夜明け、想いが伝わるラストが救い。若手とベテランが合間見える殺陣と頭脳戦、迫力ある爆破と見応えたっぷりのダイナミックな時代劇だった。

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