「最後の乗客」を観る
今夜は仕事帰りに「最後の乗客」を観てきた。「侍タイムスリッパー」の冨家ノリマサ出演のこれまたインディーズ映画。とはいえ、この作品の趣旨は「侍タイ」と大きく違う。タイトルの持つ意味、登場人物たちの紡ぐ関係性と違和感は終盤に向かって昇華されていく。
約55分の短編なので、あえて遠回しな描写は避けたのだろう。冒頭から作品の舞台、挿入される象徴、その映像から何となく作品のテーマは見えてくる。冨家さん演じるタクシー運転手の父親と娘、そして最後の乗客。それぞれの想いが深夜のタクシーで一つの区切りを迎える。
この作品の持つ違和感は映画ファンなら想像のつく範囲で理解できるし、今は特番となった某テレビドラマの一編と言われてもおかしくない。ただエンターテイメント性を極力排除したインディーズだからこそエンドロールの重みが伝わる。ラストはヒロインの区切りではあるが決して終わりでない。
「侍タイ」で冨家さんがクローズアップされた事が観るきっかけとなったが、海外の映画祭で取り上げられた理由もよく分かる。ただ一つのリアルが生む虚構、不器用な親子関係と救済。その描き方は東洋的でなく洋画に似た味わい。たまご入りのおにぎり作ってみようかな。
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