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2024/11/03

「八犬伝」を観る

今日は「八犬伝」を観てきた。主題歌ジョン・オバニオン….の方ではなく「PERFECT DAYS」の役所広司主演、「ピンポン」の曽根文彦監督の最新作。滝川馬琴を主人公に「南総里見八犬伝」の創作、葛飾北斎らとの交流と並行して「八犬伝」本編の物語が展開されていく。

善が悪を征する里見八犬伝の世界に、虚をもって実を成す馬琴の想いが込められている。創作パートでの北斎との会話は軽妙で両者の性格を表して面白い。頑固な馬琴、だが彼の口伝えの物語に魅了される北斎。だが創作者のポリシーか、それ以上距離を縮める事はない。そんな北斎に内野聖陽がよく似合う。

一方、28年に及ぶ馬琴の創作活動を役所広司が熱演。歌舞伎座の件、鶴屋南北(演:立川談春)とのやり取りに刺激と迷いがぶつかり合う。同じ時代を生きた美術家、作家との交流。全般、曽根監督自ら手掛けた脚本に彼ら創作者の想いが込められているように感じた。

だが馬琴は創作活動は一転、家族との間に様々な問題が起きていく。そんな中でも馬琴の妻お百(演:寺島しのぶ)が愛息を慰めるように「病気が悪い」と諭した姿が今の我が身にめちゃくちゃ沁みた。役所と内野、寺島の演技も素晴らしいが、彼らの老いていく姿と特殊メイクの進化にも驚かされた。

ベテランたちの創作パートに対し、八犬伝パートは若手のエネルギッシュな殺陣、映像出身の曽根監督らしいファンタジックで豪快なビジュアルに観入った。宿敵玉梓を打ち取った八犬士たち。創作と八犬伝パートが交錯、そして原作者のみが許されるラストシーンは感動的だった。

追伸.
個人的に興味深かった次の二点。一点目は「侍タイムスリッパー」の先輩斬られ役、安藤彰則が玉梓の側近で顔芸共々活躍が嬉しかった。二点目は怪演ともいうべき玉梓、栗山千明は今すぐ二代目夏木マリ(1983年版の玉梓)を襲名すべきデス。今年は時代劇の当たり年だなぁ。

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