「国境ナイトクルージング」を観る
今日の二本目は中国、シンガポール合作映画「国境ナイトクルージング」を観てきた。北朝鮮の国境に近い中国の街、延吉を舞台にツアーコンダクターのナナ、ツアー客のハオフォン、ナナの男友達シャオたち3人の姿と街の様子を通して描く青春ロードムービー。
予告編を観て興味を持った映画で想像と同じだったところ、予想外だったところがあった。前者はアンニュイな青春映画だった事、後者は延吉という異文化の交差する街の魅力。中国語とハングルが街中に溢れ、食事にファッション、観光等で文化が入り乱れる。これは先日観た「熱烈」とは違う中国。
それでいて夜の延吉は「熱烈」同様に賑やか。「熱烈」よりも都会で無いが、誰もが現金で無く電子決済は当たり前(だから劇中、スマホを落としたハオフォンは苦労する)。重低音満載のディスコで踊り狂う若者たち。ただ街を少し離れれば奥深い山が待っている。中国の広大さに加え、こうした知見は映画ならではと思う。
本作はそんなオブラートで包んだ青春映画。怪我で夢を絶たれたナナ、影のあるハオフォン、街に鬱屈するシャオの奏でる恋愛模様。時にプラトニックだが情熱的。中国映画ながらPG12なのは想像を掻き立てる描写がある故。ただ恋愛もオブラートの一つであり、彼らが自己探求する過程が描かれていく。
中国映画らしからぬ映像スタイルはシンガポール合作の影響もあろう。イメージやセリフの断片から物語の行間を読み取るもそれも本意じゃあるまい。一般論で語られる中国と違う姿が見られただけでこの映画に満足できた。
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