「ソウルの春」を観る
今日は「ソウルの春」を観てきた。1979年大統領暗殺に端を発した民主化の流れの中、軍部内のクーデターと鎮圧軍の攻防を描く実話ベースのポリティカルサスペンス。クーデターの首謀者があの人となれば、その結末は推して知るべし。
当時、小坊だったが、父がよく「全斗煥、軍人、クーデター」とそのニュースを話題にしていた事を思い出す。子供ながら何気にテレビ画面から悪人臭を感じていた。なおその頃報道では「チョン・ドファン」と発音していたが、本作はチョン・ドゥグァンとなっている。
本作はチョン保安司令官率いる反乱軍とイ・テシン少将たち首都警備軍の対峙、あるいは私欲対大義のぶつかり合い。冒頭、現れるドゥグァンは絶対的な人物でない事に驚く。だが12月12日たった一日の間に両者の勢力図は目まぐるしく変わり、やがてドゥグァンに流れが向いてくる事になる。
目的を達した時、権力の頂を噛みしめるドゥグァンの凄み。しかもその後は史実の通り。演じたファン・ジョンミン(「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」等)はその風貌と相まってチョン・ドゥグァンにしか見えない。劣勢から優勢への心理的な演じ分けまで見事。
チョン・ウソン演じるイ・テシンの正義感は対局。長塚京三似のルックスと相まって心の何処かで応援したくなるが….上層部でさえ情勢の変化に偏向、ドゥグァンの狂気と彼を後押しするハナ会の結束の前に転機を迎える事になる。142分の上映時間ほとんどに緊張感が漂い、画面から目が離せない。
日本向けに説明テロップを挿入し、おかげで群像劇として理解し易かったし良く出来ている。必ず正義が勝つわけではない。だからこそ政治に目を向けるべきとも思う。この45年前の出来事の後、長き軍部中心の政権となる韓国。金大中事件や近年、公開されてきた韓国史実ものに繋がり、それらの起点の一つになる作品として見逃せない今年トップクラスの力作。
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