「ルックバック」を観る
今日は「ルックバック」を観てきた。「チェンソーマン」の藤本タツキ原作によるアニメーション映画。原作者の黎明期を反映させたと思われる過去への憧憬、そしてクリエイター達へのレクイエム。しかしながら新たな渇望の下、創作に向かう主人公の姿が描かれる。
この映画は58分の短編。特別料金1,700円均一でハードルを上げてしまうが、終始がっつり気持ちを掴まれた作品。軽妙に始まる本作だが、マンガ、アニメファンには避けては通れない出来事が形を変えて控える。その顛末にタランティーノ作品を彷彿とさせるが、原作者もタラのファンだと知って納得。
この語り口をみて、マンガ最良の映像化はアニメーションだと改めて思い知る。所詮、実写化なんて映画会社、メディアのエゴ。原作マンガは未読だが、おそらく原作を正しくトレースしたのだろうと思う。コマの行間を補うような大胆かつ映像作りに魅了された。感情を揺さぶる映像美も素晴らしい。
物語は貪欲で切磋琢磨する主人公たちの成長が小気味よく描かれており、その積み重ねも琴線に触れる。ちょっとドライな藤野と京本の関係性も物語の顛末と相まって心に沁みた。(昨日観た)重厚さを装った凡長な大作よりも、短編でも濃密な本作のほうが遥かにいい。
この作品を観に来ていたある家族、母親が小学生の息子に「わかった?(どうだった?の意味だと思う)」と聞いていたが、やはりあの出来事をどう受け止めるかはあるだろう。ただ主人公たちが何かを掴み、物作りをする姿は何らか刺激になるはず。子供たちには最高峰の映像と共に本作を映画館で観て欲しい。
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