WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」を観る
WOWOWオリジナルドラマ「TOKYO VICE Season2」(全10話)を観終わった。マイケル・マン製作、ジェイク・エーデルスタインの手記を原案としたドラマシリーズ第2弾。主演はアンセル・エルゴートと渡辺謙で二人は製作陣に名を連ねている。
物語は前シーズンで東京進出を狙う戸澤が突然雲隠れの後、別人の如く復活。勢力を拡大する戸澤、抵抗する千原会、ヤクザ撲滅を画策する警視庁、そして戸澤が近づく権力とある事件の関連をジェイクたちが探っていく。
日本と東京、その時代(ミレニアム前後)を魅力的にかつアンダーグラウンドの世界まで映す。漂う緊張感、旧来ヤクザ独特の世界と戸澤の画策するビジネスヤクザのぶつかり合い。これらをエンターテイメントに昇華し最後まで力強い。本シーズンラストにクリフハンガー要素は無く完結編というべき潔さ。
ジェイクによる原作本で言及されたヤクザ幹部のエピソードがベース。結末はこのドラマと違うようだが、それでも反社会勢力(ヤクザ)と政治の関係性を描く事に手抜きはない。原作本を読めば実際もっと根深い事を知るが、このドラマのエンターテイメント性がある種の可能性としてオブラートしてくれている。
もちろんこのドラマの軸はジェイクと片桐刑事の絆。それぞれに大きな山場を迎え、家族と対峙していく。ジェイクは記者としての成長、片桐刑事は時代の狭間で警察組織の中で翻弄される。そんな中で”諦めない”長田警視との信頼、片桐刑事との相棒感が良かった。長田役には真矢みきがマッチしている。
行き届いたストーリー、英語のセリフ、スタイリッシュな映像とか適度なハリウッド感を押さえつつ、「将軍 SHŌGUN」と同様に日本製作陣、キャストの底力も感じた。ZX(ゼクロス)こと石田組長を演じた菅田俊、若手リーダーの佐藤を演じた笠松将の堂の入った演技、戸澤を演じた谷田歩のコワモテな存在感。
先の真矢みきに限らず、シーズン2全般で爪痕を残したのが若頭葉山を演じた窪塚洋介。戸澤ほどの知性はない暴走ヤクザ。何をやらかすか解らない怖さが伝わってくる。きっとこのドラマを起点に世界へ飛び出していく人材も少なくないだろう。
なおドラマに魅せられた方は是非原作本を読んで欲しい。できればジェイク自身が日本語で改訂したKindle版がオススメ。出版社を通さない強み、今ある日本の政治の混沌が透けて見えてくるはず。本シーズンの最終話、明調新聞の丸山に上司の社会部長が語る本音が今の現実と重なる。こういう点もこのドラマの魅力なのだろう。
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