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2024/05/22

「碁盤斬り」を観る

今夜は白石和彌監督最新作「碁盤斬り」を観てきた。青春ものからヤクザ、そして仮面ライダーまでジャンルを問わない白石監督が草彅剛を主演に迎えた時代劇。長屋で浪人暮らしする元武士の男が、やがて彼を陥れられたある事実に直面する事になる。

白石監督は常に高い出来の作品を送り出すが、本作も素晴らしい。草彅演じる柳田格之進の生真面目さが反転する後半が大きな見どころ。ポスタービジュアルの格之進、彼の背景が見えてきた時、怒りだけにとどまらない感情が伝わってきた。そして最後までブレない格之進が渋い後味となってくる。

後半を活かす前半の物語もいい。萬屋源兵衛との出会いから交流を深めていく過程、碁の打ち手を通して互いの品格を享受する。手厳しかった商いの姿勢に反映され人柄まで影響していく。最近、判で押したような悪役の多かった國村隼が源兵衛を味わい深く演じている。

冒頭、さりげなく碁のルールを知らせるシーンも巧い。でも惜しむらく碁の事をもっと知っていれば作品をより楽しめたのだと思う。攻防の一端は観客らのセリフで伝わるが、勝負の臨界点は盤面の理解と相まって高まっていくはず。でもこの作品を観ていると素人でも碁を打ちたくなる事必至だろう。

もちろん白石監督らしい人間ドラマで人の持つ明暗、その描写も秀逸で先の格之進も然り、キョンキョン演じるお庚(こう)の女将ぶり、そして斎藤工演じる柴田の表の顔と真意。クライマックスは迫力の殺陣が控える。なおタイトルの「碁盤斬り」の意味は考えずに観たほうがいい。そのほうが絶対いい。

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