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2024/05/18

「将軍 SHŌGUN」を観る

ディズニープラスでリミテッドシリーズ「将軍 SHŌGUN」(全10話)を観終わった。17世紀日本に漂着したウイリアム・アダムスにインスパイア、創作されたジェームズ・クラベル原作小説が基となる。発刊当時、一大ブームとなって1980年代にドラマ化された。本作はそのリメイク的側面を持つ。

難破し日本に漂着したジョン・ブラックソーンは五大老の一人、吉井虎長の下で様々な経験をしていく。時は戦国時代。太閤死去の後、大老の一人石堂和成が権力を強める中、虎長、安針と名を与えられたブラックソーン、その通詞を任せられた戸田鞠子の運命が絡み合っていくのだった。

80年代に作られた時のドラマは見ているようでほとんど覚えていない。当時、テレビは家に1台だったし親のもの。むしろこのドラマを機に島田陽子が国際女優と呼ばれて、そののち裕也さんと色恋事があって、ワイドショーを賑わせて…当時のお子チャマはどうでもいい事ばかりが記憶に残ってる。

「ウイリアム・アダムスにインスパイア」とあるように家康は虎長、石田三成は石堂和成と別名が与えられて、歴史上の流れは沿うもののエピソードやディテールはあくまで作者、または脚本上の創作。ただ虎長の家紋は三つ葉葵だし、少なくとも目から入る情報は日本人にとって家康なのである。

このドラマに関する違和感は人それぞれ。まずロケーション上、日本っぽさの無さを感じる点は度々ある。例えば日本特有の木々では無かったり。それはあの「ラストサムライ」でもあった。しかし映像上の映えを意識した演出はあっても、佇まいやセリフ回し等をなるべく正そうとする試みは感じられる。

その点で出演兼プロデューサーの真田広之の存在感が大きい。日本人俳優が大挙し、かつ演技を重視した起用。このドラマにカタコト日本語は存在しない。エンターテイメントを知る真田だからこそ演出との匙加減(バイアス調整)も心得る。「ラストサムライ」でも同様の役割を担ったと聞いた事がある。

おかげでアメリカ製作ながら日本を舞台にしたドラマに引き込まれた。歴史家がみれば言いたい事は山ほどあるだろうが、これは史実に沿う大河ドラマではない。日本人も持つ機微、文化、これまでにない語り口等、世界の人々の心を掴む要因は多く感じられた。

中でも鞠子(細川ガラシャ)を演じたアンナ・サワイが際立っている。演技、佇まいに色香とまさに逆輸入された魅力に溢れた存在感だった。落葉の方(淀殿)を演じた二階堂ふみに引けを取らない。この他、藤を演じた穂志もえかは鞠子とは対極の新鮮な魅力を放っていた。

一方男優陣、真田広之は言うまでもなく、浅野忠信、西岡徳馬、平岳大、様々脇役に至るまで堂々とかつ神経の行き届いた役作り。そこは日本製作のドラマとは変わりない。

本作好評のもと、シーズン2、3の製作が決定の報。コズモ・ジャーヴィス演じる安針の行末、関ヶ原以降が描かれていくがそれも楽しみ。そして「ゴジラ-1.0」、WOWOW「TOKYO VICE」と共にエンターテインメントだけは日本の逆襲が始まっているのだなぁと実感した。

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