「π<パイ> デジタルリマスター」を観る
今日は「π<パイ> デジタルリマスター」を観てきた。1998年製作の奇才ダーレン・アロノフスキー監督最初期の作品。数に関し高度な知能を持つマックスが陥る狂気の世界。やがてマックスはある導き出した数に心身共に囚われていく。
数に纏わる疾走、いや暴走。正直、前半の展開に根負けしてしまい、寝落ち寸前までいくところ(丁度、駅のホームのシーン)を突然の轟音で我に返った。その後、怒涛の展開を見せてグイグイと話にのめり込んでいく。変貌するマックスの姿にパンク色が強く映り、かつ物語も中毒性が強い。
先日観たクリストファー・ノーランの「フォロウィング」以上に、この「π<パイ>」は難解を究めたストーリー。ただアロノフスキーは劇中、ユダヤ人の男にあの数の真意を語らせている。難解さを売りにする、いや徹底するならばそれを止める事はできたはず。作り手によるある種の優しさなのか。
そのおかげで何故人々がマックスを狙うのか明確になって、かつ何故彼が最後にあの行動をとったのかもよく解る。それがこの映画にとって良かったかは判らないけど。ただ作品の成功でアロノフスキーは現在までキャリアを重ねる事ができたわけだし。
またこの作品を観ていて、マックスを演じたショーン・ガレットに頭が下がる。狂った世界観に狂気の演技。演技プランなんか無さそうだし、アロノフスキーと演出上どのようなやり取りがあったのか。この物語を具体化したのはショーンの力も大きいのだから。
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