Netflix「マエストロ: その音楽と愛と」を観る
今日はNetflix「マエストロ: その音楽と愛と」を観た。ブラッドリー・クーパーが監督、主演、脚本(共同)を手掛けた世界的音楽家レナード・バーンスタインの半生を描いた伝記映画。今年のアカデミー賞でも作品賞を始め、監督賞、主演男優賞、女優賞などにノミネートされている。
物語はモノクロ映像で若い時代を、中盤でカラーとなり晩年のバーンスタインを描いている。ただ彼の音楽性を追う作りではなく、あくまで彼と妻フェリシアの関係性を軸に進んでいる。前半はシームレスに人生と舞台劇を織り交ぜた音楽映画的な趣き。やがて彼の性的嗜好がフェリシアとの結婚生活へ影を落としていく。
バーンスタインの音楽的偉業は誰もが知るところ。だが音楽制作に関するエピソードはそれ程描かれず物足りなく感じる。敢えて脚本上外したと思うが、人間ドラマを見たい筋なら正解かもしれない。ただ軸となる物語で、バーンスタインの奔放な部分に共感できなかった。一方、彼と名声を享受する妻フェリシアの苦悩が伝わってくる。彼女を演じたキャリー・マリガンが良かった。
もちろんバーンスタインを演じたブラッドリー・クーパーも本人の雰囲気を再現。メイクアップ進化の凄みか、冒頭のインタビューシーンからバーンスタインその人になっていた。しかし音楽のほとんどはバーンスタインの楽曲ながら、全編通すと音楽映画的側面は小さく感じた。物語のせいもあるが効果的に融合していないというか。
彼の人生の重要なエピソードにニューヨークフィルでの指揮者起用が挙がっている。もちろん才能あっての出来事だが、彼曰くそこに運があったという。「ナイアド」を観た時も偉業達成に運は不可欠と感じたが、運を引き寄せるのもその人の力なのだと思う。
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