「市子」を観る
今日は午前に時間ができたので、映画「市子」を観てきた。杉咲花主演、同棲した女性がプロポーズの翌日に失踪、だがその背景にある事件との繋がりが....主人公市子の生い立ち、家族、過去に迫るミステリー。様々な人々の証言の中で語られる市子とは。とにかくやるせなさに満ちたストーリー。
(予告編は観たかもしれないが、)今回情報を入れずに観た。冒頭、幸せを満喫するカップル。だが観客はそれが束の間の幸せだったと後に知る事になる。小学生時代に遡り、裕福とはいえない生活をする市子。友達との思い出も最後は家庭の事情が許さない。進学しても何処かに寂しさが伴う。やがて負の連鎖が市子を追い詰めていく。
徐々に明らかになる市子の人物像。だが最後まで彼女に共感と感情移入する事ができなかった。それはある病に関わる描写があったから。テーマとして「ロストケア」のように皆が関わらずにいられない老いと死なら受け入れよう。でもこの作品で扱う病は実在するし、現にそれと戦っている人たちもいる。対して、市子のある行為がどうも心に引っ掛かって仕方がない。
それを除けばミステリーとしてよくできている。冒頭、幼い市子が言っている意味がよく解らなかったが、家族の関係性が明らかになる事で明確になっていく。観る側として物語をどう締めるのか、市子の行く末が気になってくる。その結末は物語の中で多くを語らずとも、市子の望みを暗示させた。結局、負の連鎖は止まらない。
杉咲花の時にドキッとさせ、生々しさ、怖さを感じる表情と演技。彼女だけでなく他の演者も熱演。物語は巧みに作られているから最後まで飽きさせない。ただ一つあの病気に関わる描写だけがね....。
追伸.
劇中に後藤という刑事さんが出てくるのだけれど、市子の彼氏のスマホへの着信が「後藤刑事」だったんだよなぁ。そこだけはあまりにストレート過ぎてウケてしまった。
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