「哀れなるものたち」を観る
今日はエマ・ストーン主演「哀れなるものたち」を観てきた。「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督作品。昨年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞、米アカデミー賞作品賞にもノミネートされている。予告編から相当クセの強い作品と様子をみていたが、サービスデイを利用して観てみる事にした。
一部モチーフはフランケンシュタインだが、決定的に違うあるプロットが強烈。そこを発端とし、エマ・ストーン演じるベラの冒険が始まる。言葉、身のこなし、そして物議を醸す過激な描写をもって、赤子同然から独り立ちした女性への道程が描かれていく。ただR18+指定ゆえに露骨、エログロ共々それなりの覚悟は必要。
物語全般、全てのシーンでアート色が強く凝った映像を打ち出し、時にレトロフューチャー(実際は18世紀末?19世紀初頭?)な箱庭感が楽しい。また「女王陛下のお気に入り」と同様、超広角(魚眼)構図が印象的。加えてモノクロ、ベラが一線を超えた後からの色彩美も素晴らしい。大人のためのお伽話。徐々に重みを増していく物語、独特の音楽共々、劇場体験は必須。テレビサイズでは映像の持ち味は出ないだろう。
進行と共に自我に目覚めていくベラの言葉、本能のまま性と向き合った彼女の変化過程も興味深い。正直、それら描写が人によって許容できるかどうか。単なるエログロに陥らないのはエマ・ストーンの熱演、父親代りのウィレム・デフォーの存在感、まさにハルクばりマーク・ラファロの艶技の賜物。
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