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2023/12/16

「ボルサリーノ」【午前十時の映画祭13】を観る

今日は盟友N氏と午前十時の映画祭13「ボルサリーノ」を観てきた。ジャン=ポール・ベルモンド、アラン・ドロン共演、1970年公開のフランス映画。盟友N氏とは二人が熟年期の当時「パリ警視J」(ベルモンド)「危険なささやき」(ドロン)を映画館へ観に行ったが、まさか21世紀に「ボルサリーノ」を一緒に観るとは思わなかった。

子供の頃、山田康雄、野沢那智の吹き替えで何度もテレビ放送されていたのを思い出す。そしていすゞジェミニのCM「街の遊撃手」でお馴染み、あのテーマ曲が何とも心地良い。とはいえ内容は子供向きじゃないし、ストーリーはほとんど忘れているんだな。ただラストシーン、忘れていた記憶が甦ってきた。

タイトルの「ボルサリーノ」は帽子の名前。ただカペラは中盤までハンチング帽だし、二人が揃ってボルサリーノを被るのは後半成り上がってから。映画の中で「ボルサリーノ」は立身出世の象徴。ベルモンド、ドロン二人が被るからかっこいいのだ。何処かの国の副総理が好んで被っているが、貫禄溢れる二人の前では霞んで見えてしまう。

1930年マルセイユを舞台にロック(ロッコ?どっち)とカペラの二人が裏社会で成り上がっていく姿を描くストーリー。ベルモンド、ドロン共、30代後半で若さと男の色気が溢れる。ストーリーを忘れていた理由の一つ、ズバリ主演の二人を観るための映画だから。冒頭、二人が殴り合いながら交友を深めていくシーンなんて笑ってしまう程に長かったりして。でもそれが楽しい。

そして湖のシーンは女性ファンへのサービスショット。長身の二人、タンクトップ調の水着は露出する部分の肉体が鍛えられ、さすが大スターと思わせる。全編、2枚目半のベルモンド(あの「コブラ」のモデルと言われる)がこれまたカッコ良く、対照的にドロンの美しい色男ぶりに同性ながら見惚れてしまう。

もう一つ印象的なのは作品の味わいを表すテーマ曲、劇伴の数々。ほぼ全般、聴き慣れたあのテーマ曲が中心、それだけにコメディ調でドライな印象を受ける。ただ物語はフランス版「仁義なき戦い」とも言うべきギャング抗争を描いており、銃弾が飛び交い血生臭い(物語が暗転するプロットの間、テーマ曲は封印)。この両者のアンバランスな組み合わせがこの映画の魅力でもある。

さてこの作品に続編「ボルサリーノ2」があったはず。どうなってたかN氏にも聞いてみたが、答えは出て来なかった。このまま知らないほうがいいのかな。それなり評価されていれば「午前十時の映画祭」にラインナップされただろうし。

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