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2023/11/15

「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観る

今夜はレオナルド・ディカプリオ主演、マーティン・スコセッシ監督作品「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を観てきた。上映は3時間を遥かに超える206分の長編。だが一切ダレる事なく主人公たちの行く末に引きつけられる犯罪劇。かつアメリカの暗部を描いた歴史劇でもある。

オセージ族たちの住むオクラホマの原野。そこである時、石油が掘り出される。オセージ族はその利権に飛びついた白人たちを受け入れ、彼らとの間に社会が生まれた町となった1920年代。鉱業権を持つオセージ族の人々が謎の死を遂げていく。同じ頃、伯父のヘイルに町へ呼び寄せられたアーネストはオセージ族の女性、モリーと出会う。

激動の20世紀初頭、突然生まれた富に湧く先住民=オセージと親しき隣人=白人。彼らの関係性、侵食されていく様が生々しい。この作品、犯罪劇の側面はスコセッシらしく手際のいい簡潔な演出。一方、単に事の成り行きを追うだけでなく、オセージ族の文化へのリスペクトが溢れ丁寧に描かれている。絶えず感じる脈動、血が通った作品と表すのが相応しい。

そんな言葉が浮かぶのも、スコセッシの演出だけでなく「ザ・バンド」のロビー・ロバートソンの音楽による部分も大きい。スコセッシに「ザ・バンド」といえば「ラスト・ワルツ」(1978年公開)。音楽を撮らせたら上手いスコセッシの原点。少なからず二人の関係性がこの作品の良さを押し上げているのだろう。映画を支えたロビー、エンドロールのテロップと共にR.I.P.

もちろんドラマ部分が素晴らしい。ディカプリオにデ・ニーロと一見非常に濃いキャスティング。だが二人のスターが中心にいる故、この長編は張り詰めた緊張が漂う。さらに助演陣も素晴らしく犯罪劇たるこの作品を支える。中でもモリーを演じるリリー・グラッドストーンが本当に良かった。事態に変化していく表情、観る側として感情移入せざる得ない。

物語は嫉妬と人種差別、表面的な文化の理解に白人たちの建前と本音が絶えず交錯する。判っていてもそこに取り込まれていくオセージたちが悲しい。この映画が彼らの痛みの全てとは言わないが、その断片だけでも知る事が重要。その存在意義は「福田村事件」に相通じる。しかも大企業Appleが製作してるんだよね。これもアメリカの懐の深さか。 今年観た劇映画の中でNo.1の作品だったと思う。

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