「女王陛下の007 4Kレストア版」を観る
今日は盟友N氏と60周年リバイバル上映企画『BOND60 007 4K レストア』の一作、「女王陛下の007」を観てきた。1969年公開のご存知シリーズ第6作。ショーン・コネリーがボンド役降板後に白羽の矢が立ったのはモデル出身のジョージ・レーゼンビー。主演のネームバリューから興行的に色々と言われる作品だが、007ファンの間では隠れた名作。
物語はベッドラム作戦のために辞職したボンド、その中で出会うトレーシーとのロマンスが描かれていく。他作ではセクシーさを強くアピールするボンドだが、本作では本気でかつソフトに。運命的な出会い、次々と危機を潜り抜けながら愛を育む二人。ブロフェルドの野望を阻止し幸せの絶頂を掴むボンドだったのだが....
テレビやソフトで何度も観た作品だが、盟友N氏はどうやら観ていなかった様子。「ノー・タイム・トゥ・ダイ」との関係性、そこでのサッチモの「We Have All the Time in the World」の使い方を説明すると「そういう事か」とひと言。ただ「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の物語の顛末に対し、あの映画の中でのこの曲のあざとい使い方は個人的に今も納得がいっていない。
この映画はラブストーリー、それでいてボンド映画の王道を往くストーリーでもある。最も注目されるのは山頂にそびえる敵要塞と雪山シーン。まんまノーランの「インセプション」でオマージュされたし、スキーシーンは「私をスキーに連れてって」とか世界中の映画に影響を与えた。とにかくアクションと空撮が素晴らしい(挿入されるスクリーンバック撮影はクラシック・ボンドではお約束)。
4Kレストアの恩恵か、山小屋での二人のやり取り、市街のシーンとか所々ハッとさせる映像をみせてくれる。レーゼンビーのやや軽いボンドぶりも若さ溢れるアクションシーンが補う。そしてトレーシーを演じるダイアナ・リグの気の強さと脆さ、美しさ。オープニングで映像コラージュされる歴代ボンドガールに勝るとも劣らない。いや劇場で観て彼女こそナンバーワンだと思う。
登場するアストンマーチンはDBS。クラシック・ボンドといえばバーナード・リーのM、ロイス・マクスウェルのマネー・ペニー、デスモンド・リュウェリンのQとおなじみの面々。彼らからの祝福を受けるボンド...テリー・サバラスと赤毛のオバサンのしぶとさと結末の呆気なさ。言葉少なに言葉を絞り出すボンドに感情移入。次作は「ダイヤモンドは永遠に」と入るクレジットに冷静さを取り戻す。コネリー・ボンドも劇場で観たい。ああどうしよう...

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