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2023/10/27

「福田村事件」を観る

今日は映画「福田村事件」を観てきた。ドキュメンタリー映画を数々世に出してきた森達也監督初の劇映画。1923年(大正12年)関東大震災に端を発したデマと朝鮮人弾圧を軸に、福田村で起きた事件を描いた人間ドラマ。観終わりエンドロールの流れる中、その物語に打ちのめされた。

大正デモクラシーに自由風土の流れに沸く国民。一方でアジアの大国として日本の軍事色が濃くなった時でもある。福田村事件はそんな時代の鏡のような出来事。この事件自体あってはならないものだが、実は今の社会がその方向に向かっているのでは、と思う。この映画と時代は移り変わっても、人間同士の生む軋轢とその根幹は変わらない。

この映画ではその結末に至る様々な描写が丁寧、説明的でなく画と出来事でみせていく。それぞれの家族の事情、戦争に引き起こす明暗、格差(地位、金銭、地域)等など。僅かな歪みは震災で大きなものとなり、均衡が破れた瞬間に更なる悲劇が始まる。やはりこの映画の見どころはその均衡が破れるまでにあると思う。

均衡の一つが村長と軍人会の持つ緊張関係。デモクラシーを追い風にする村長と国の勢いを味方にする軍人会。軍人会長を演じた水道橋博士の怪演(元気になってよかった)。事実を知った瞬間のセリフ、いつも(そんな取材対象へ)聞き手の博士が発するからこそ意味がある。新聞記者に迫られた村長(演:豊原功補)の苦しい果てのセリフも興味深い。

朝ドラ「らんまん」でも震災のエピソードとしてデマと弾圧が描かれたが、掘り下げが甘く少々わかり難かった。だが本作はその部分をストレートに映画ならではの描写力を使って訴えかける。物語も心に響くというより色々と考えさせられた。

久しぶりに映画パンフレットも買った。1,500円の豪華版でこれからゆっくり読んで熟考してみたい。

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