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2023/09/13

「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」を観る

今日は仕事帰りに「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」を観てきた。ご存知、クエンティン・タランティーノのフィルモグラフィーと人柄を出演俳優や関係者のインタビューで綴るドキュメンタリー映画。

この作品、タランティーノを描く作品であるが、彼自身へのインタビューは一切ない。あくまで彼と仕事をした者たちのコメントを重ね、撮影風景と共に映画監督=オタクたるタランティーノに迫る。その点で彼と組んだ人たちから見れば否定的な意見は出てこないし、多少バイアスは掛かっている。それでもタランティーノの映画へ取り組む姿が垣間見えるし面白い。

さてタランティーノにとって避けて通れないのが、製作で組むハーヴェイ・ワインスタインの事だ。このドキュメンタリーでもワインスタインとのエピソードが語られるが、偏屈で傲慢、そしてハリウッドを震撼させたスキャンダルに及んでいく。発覚後のタランティーノの姿勢は当然だが、当時実態を知らなかったか疑問はある(「キル・ビル」vol.2、撮影中の事故隠蔽の背景とか)。

このドキュメンタリーで物足りなさがあるとすれば、タランティーノの言葉はあっても過去のインタビューからの引用(テロップ)のみという事。年始に観た「モリコーネ 映画が恋した音楽家」のような深みが足らない理由だと思う。彼と3本組んだユマ・サーマンのインタビューも無く、先の問題と共に複雑な事情があったのではないか。

「レザボア・ドッグス」から「エイトフル・エイト」までの八作を時系列で追いつつ、初期の天才的な手腕から近作のような成熟した作品作りへの変遷が語られていく。ただ個人的には荒削りながら天才的な初期の作品が好き。なおこの映画はタランティーノ作品のカタログ的側面もあり、観ていない作品では少なからずネタバレになってしまう点は注意。

追伸.
やはりワインスタインの話は今の日本にタイムリー過ぎる。そして日米のマスコミの取り上げ方の差を痛感。日本のマスコミや経済界が動き、やっと日の目をみた問題も政治(の墓穴隠し)に利用されているような気がするし。あと「キル・ビル」は2部作でなく、1作品で描けていたら大傑作になったと今も思う。あくまで余談ですが。

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