「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を観る
今日はデヴィッド・クローネンバーグ監督「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」を観てきた。我が田舎のような土地でクローネンバーグの新作上映はなかなか無いのだが、本作はその機会に恵まれた。ヴィゴ・モーテンセンとレア・セドゥが主演、近未来を舞台にあるパフォーマーが出くわす出来事とその背景が暴かれていく。
特に前情報を入れず、クローネンバーグだからと心得て観始めた序盤の15分間は口あんぐり。だがまもなく繰り広げられていく映像の後、その世界観に惹き込まれていく。これはズバリ、クローネンバーグ版ノワール。次々と暴かれていく未来の闇にヴィゴ演じるソール同様悲しみが満ちてくる。
近未来とはいえ、特に明言されず。それが数年後でも、100年後でも通用するクローネンバーグのレトロフューチャー。謎の器具にソールとカプリースによる我々の想像を超えたアートパフォーマンス、融合した官能の世界。これを観ると舌ピアスなんて甘い甘い。この映画における価値基準の変化、クローネンバーグの想像力が恐ろしい。
彼の旧作同様、クローネンバーグの3点セットは健在。エロ、グロ、そして様式美。それを体現するレア・セドゥら女優陣。裸体を晒すも露骨な描写でない分、より想像力を掻き立てる。ただソールのセリフを借りれば我々の喜ぶ行為は「古い」らしい。だからといって自分はこのまま「古い」ほうで良いのだけれど。
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