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2023/09/18

「ミツバチのささやき」【午前十時の映画祭13】を観る

今日は午前十時の映画祭で「ミツバチのささやき」を観てきた。1973年スペイン映画、日本では1985年に公開された。その当時、果物を差し出す主人公アナのカットが紹介されていた事を思い出す。目がクリっとした可愛さで観る者の心を鷲づかみ。ちなみに今回の映画祭の紹介でも同じカットが使われていた。

物語は内戦終結直後のスペインが舞台。養蜂を営む父と母、アナとイザベルの幼い姉妹の姿が淡々と描かれていく。物語の中心はアナ。劇中、住む村にやってきた映画興行。その残像を追うよう現実に入り込んでいく。やがてやって来た負傷兵を介護するアナだったが....

と書くとシンプルに思うが、結構難解なファンタジー。実は今回の上映前後に町山智浩氏の映画解説が付いており、製作当時のエピソードが語られる。ただ町山氏曰く「DVDで判る事」とあるように、独裁政権が倒れた後に製作スタッフから改めて発言があったとの事。政治批判を作中に潜ませる映画は少なくないが、この映画はかなり難しい。

でも観ていて気付いたのは「これ、パンズラビリンスじゃねぇ?」。すると上映後に町山氏も言及していた。製作当時の時代を考えれば徹底的に奥に隠した形。最適解としての「ミツバチのささやき」だったのだろう。民主性を取り戻せば、判り易い「パンズラビリンス」のように描く事ができる。

だが何故、午前十時の映画祭でこの作品が選ばれたのか。今の社会に対する危機感ではないかと思う。あえて解説付きでの上映だし。映画界はリベラル。自由を謳歌できる今だからこそ、ここ数年著しい傾右化への警鐘なのかも。

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