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2023/06/01

「波紋」を観る

今日は映画の日で一本目「波紋」を観てきた。オレ的に"日本一美しいバイプレイヤー"と思う筒井真理子主演作。監督は「かもめ食堂」「川っぺりムコリッタ」の荻上直子。東日本大震災を境に失踪した夫、義父を背負い心の拠り所を新興宗教に求めた主人公の今の姿を描いていく。

主人公の依子が救いを求める姿と顛末。宗教は救いの先の一つ(胡散臭さを伝える上で機能)だが、それをどうこう批判する作品ではない。発端となる夫の存在こそがカギ。さらにパート先、息子の帰宅と様々な出来事が降りかかる度、主人公の周りに広がる波紋。

だがあくまでブラックコメディー。ポスターに書かれた「絶望を笑え」の文字が結末を物語る。そこまでの葛藤、最後のパフォーマンスと筒井の独壇場。たぶんほとんどの観客が呆気に取られるの必至。先週「ビバリー昼ズ」に筒井が出演した際にネタバレしていたが"なるほど"と思った。主人公は踊らされるより、自ら踊る事を選んだのだろう。

そんな筒井の夫を演じるのがこれまた名バイプレイヤー光石研。頼れそうで頼れ無さそうなイメージ。作中の依子への観客の目線は彼と同じものなのかも。加えて芸達者ばかりの共演陣。キムラ緑子、江口のりこに平岩紙らがまばたきせずの新興宗教の場や、スーパーでの迷惑客の柄本明も可笑しかった。

主たるテーマでは無いものの、大震災と水を巡る出来事に何か込められたメッセージを感じる。コロナという大厄の前でも大衆の行動は全く変わらなかった。そしてニュース映像は無いが、あの人の音声が流れるだけで滑稽。今となっては皮肉に思える。この映画を通し、あの頃の混乱を改めて思い出した。

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