「舞いあがれ!」を観る[完走?]
朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」を観終わった。もう4月になってしまったけどとりあえず感想を。
その前朝ドラ「ちむどんどん」は2週間で脱落。世間の評判もほぼ似た感じで次の朝ドラこそと高まる期待。「舞いあがれ!」は子役の名演と高畑淳子の熱演が相まってその期待に応えるようなスタートを切った。だが物語が大学を中退し航空学校篇が始まると迷走。実家の経営難、リーマンショック、父の急死と困難が続く中、主人公の夢まで迷走し、最終週は飛ぶ夢は2027年「五島を「空飛ぶクルマ」で叶えました」と結ばれた。
最後のオチが未来。ちょうど二日前にYahooニュースに「空飛ぶクルマ」の事が載っていたが、2億円の機体にまだ実用化一歩前の印象。だから未来の話で終わらせるのは少し安直な手法。空を飛ぶ夢、町工場、航空学校というアイテムからの既定路線かもしれないが、物語の盛り上がりとしては明らかに尻つぼみだと思う。
その一つに「イワクラのネジを航空機に使って欲しい」という思いのスケールダウンがある。大手重工メーカーのテストに受かったものの、事業集中への懸念とリーマンショックで断念。その補完に「空飛ぶクルマ」が使われた。町工場になにわバードマンの人脈が結びつく大団円と一見そう思わせるが、事業のハードルの高さをぼやかされた気がしてならない。
お仕事をドラマにするって難しい。まして少しでもモノ作りに関わる者から見れば、そういうぼやかしがズルさに思えてしまう。物語のディテール、リアルさが狭まっていくほどに感情は冷めていく。しかも資金難に喘いでいる時、投資家となった兄が手を差し伸べるのも既定路線。視聴者の誰もが「予想通り」と思った展開でその点で安易さを誘った。また幼馴染み3人の悩みと成長の物語として感情移入し難かった面があったかも。
リーマンショックで主人公が五島に戻るまでは許容していたものの、大阪篇に戻ったところでたまにレコーダーが録画トラブルで録れなかった回もあったり、観なかった時は適当に脳内補完。それでも問題は無かったし気にならなかった。たぶん物語に対する興味が無くなったせい。空飛ぶクルマの週は「最後はどうせCGだろ」とただ見るだけだった。
なかなか「まんぷく」や「カムカムエブリバディ」級の作品には出会えない。まして先週から再放送が始まった「あまちゃん」を観ると改めて脚本の重要さを思い知らされる。おかげで本当にキャラが生きている。本作の3人共作っていうのも1話完結の1クールの連続ドラマならまだしも、長期戦の朝ドラではキャラ変のリスクもあって視聴者の感情移入をスポイルしていたろうし。出演者の演技が良かっただけに残念なドラマだった。(おしまい)
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