「逆転のトライアングル」を観る
今日は昨年のカンヌ映画祭最高賞パルムドールの「逆転のトライアングル」を観てきた。調べてみると原題「TRIANGLE OF SADNESS」は"眉間のしわ"を意味する美容業界用語らしい。だがこの作品を最後まで観るとそれだけに留まらない"トライアングル"が見えてくる。
インフルエンサーで女性モデルヤヤは恋人でモデルのカールと豪華客船の旅へ出た。そこに乗り合わせるセレブ達。彼らは金に物を言わせて乗務員に無理難題を突き付ける。そんなある日、キャプテンディナーと題される夕食パーティーが催されるも荒れた海に船酔いが続出する船内。その翌日ある事件が起きてしまう。
冒頭から社会風刺、世間を皮肉る毒のあるセリフの連続で如何にもカンヌが好みそうな作品。こういうのオレも好き。本編は2時間半近いのだが、中盤からまるでゾーンに入ったように観入ってしまった。生きる世界、環境が人の立場を変えるのか。コロナ禍にウクライナ紛争が続く中、自分ならどうなるかと観終わった今も考えてしまう。
舞台となる豪華客船こそ格差社会の坩堝。だがこの映画はその構図だけに非ず。メインは群像劇で一人一人の個性も面白い。予告編は少々ネタバレし過ぎかと思ったが、実は邦題で示される"逆転"が引き起こす出来事こそが真骨頂。第一章でのヤヤとカールの微妙な関係がやがて伏線となっていく。
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