「Winny」を観る
今日は仕事帰りに映画「Winny」を観てきた。2002年に開発されたファイル交換ソフト「Winny」。その利便性の反面、普及とと共に違法な使い方から社会問題となっていた。著作権違反ほう助を名目に開発者金子勇氏は逮捕。だが開発者=犯罪者とする警察に異論を呈し、弁護士たちが立ち上がる。映画は彼らとその行方を描いていく。
「食べるためのナイフを殺人に使ったら、ナイフ職人を罪に問えるか」と例える通り、技術の有用性と倫理観を突きつける。そして逮捕までの空白の2カ月が示す権力側の意図。やがて金子氏を封じる如く長きに渡る裁判が始まる。だがその終わりの虚しさ。まさに権力が技術を殺す。この映画を通し、かつて技術立国だった日本の最後を描いているのかもしれない。
裁判で執拗に論点をずらす検察。だが物語は並行して起こるもう一つの事件を起点に権力側が恐れていた意図を晒す。今や20年経って進化したネット社会。国はその技術を取り込み、監視と世論誘導まであり得る時代。一方で吉岡秀隆演じる警官が危険に遭う姿を見ると、金子氏が技術追求した匿名性こそ今の社会で重要なのだと思う。
この映画は優れた法廷ドラマでもある。弁護士チームのバランスといい、それを再現する個性的な俳優陣の演技。特に吹越満演じる秋田の冷静な分析と戦略。映画を超えてその視点に唸る。またチームを率いる壇を演じた三浦貴大が素晴らしい。ただそれも純粋にプログラム作りに勤しむ金子氏が居てこそ。東出昌大に実際の金子氏の姿が重なった。
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