「ワース 命の値段」を観る
今日はマイケル・キートン主演の「ワース 命の値段」を観てきた。9.11同時多発テロ犠牲者の補償を巡り基金を設立するアメリカ政府。様々な訴訟を手掛けるファインバーグは基金の先頭に立ち補償を進めようとしていた。だが7000人に及ぶ被害者とその家族の事情は様々。そんなファインバーグが対峙した軌跡を描いた実話に基づく物語。
同時多発テロが20年以上経った事に驚くが、エンドロールで知らされる現在も補償が続くという事実。その礎こそファインバーグが経験してきた事。方程式に命の値段の算出に事務的な対応では被害者家族の心に響かない。しかも基金設立の裏には国と企業の事情が見え隠れし、その狭間でファインバーグは壁にぶち当たる。
冒頭のファインバーグに感じたのは少々高を括ったようなところがあったのかも。そんな彼が特別管理人(基金責任者)として被害者の事情に向き合う。最初は基金プログラムの中で最も遠かった彼が、最後にはその最前線に立つ。ただ彼一人だけでなく彼のスタッフたちや被害者側のコミュニティを束ねるウルフの存在も欠かせなかった。
ファインバーグの心の変遷を映すようなマイケル・キートン、被害者ながら事を冷静に見つめるウルフを演じたスタンリー・トゥッチが素晴らしい。それだけでなく被害者の心に寄り添ったゆえの無念さ(映画で描き切れなかったケースもあったろうし)があったり、実際の被害者家族の思いを代弁するような演技も心を打つ。
この結末に多少なりとも政治と民意のバランスがこの基金を後押ししたのだろうと思う。一方で基金設立直後のファインバーグへアッケラカンとした電話(「あとはヨロシク」的な)を寄せるブッシュ大統領はリアルなのかもしれない。今の日本も似たものだろうなぁ。
追伸.
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